第一印象は表紙で決まる! 好印象なデザインの仕方
森重さんいわく、資料作りで最初に意識すべきことはデザインのキレイさだということです。
「例えば、商談で自分の製品を売ることになった際に、表紙がキレイな場合とダサい場合では印象が大分違うんですよね。特にソフトウェアを販売する会社だと、形のない商品になるため、質の高い資料が求められます」(森重湧太さん、以下同じ)
では、具体的にダサい資料とキレイな資料の違いは何なのでしょうか?
フォントの統一性が相手への印象を変える。
「キレイな資料を作る上で、文字や体裁を整えることが大事です。例えば、文字のフォントがバラバラだったり、資料に載せている画像の画質が違ったり、文字の色が片方は赤なのに片方は青を使用しているなど、1つの資料でルールが整っていないのはダサい資料と分類されます。
逆にキレイな資料は、全体的に整理されていて、箇所によって文字サイズや色、フォントを揃えるなど統一性があるもの。それが第三者が見たときに喜ばれる資料です」(同)
いかに短い文章で説明できるかがカギ!
フォントを揃えて統一感を出したら、次は資料の説明について。森重さんは「できるだけ短い文字量で魅力を伝えるように工夫するのが大切だ」と語っています。
スライドのサイズや相手を考えて、適正な文字量を。
「資料に目を通すお客さまの中で、実際に決裁権を持っている方は40?50代の年齢層の方が多いです。文字が細かいと読みづらいし、ロジックを詰めてダラダラと説明がたくさん書いてあっても親切ではありません。
極端な例を挙げますが、ご高齢の方に細かい字の新聞を遠くから見せるのと一緒である、と思ってください。適切な文字量とは、パワーポイントのスライド1枚あたり100文字程度といわれています。どうしても、文字を多くする場合は200?300文字に抑えるのがベスト。
色のバランスも見た目に大きく関わる。
また、文章で取り上げる内容をしっかり伝えたい場合は、「見せるもの」と、「読むもの」を分けて作るという方法もあります。プレゼンの場合、パワーポイントで1スライド1メッセージを見せて、要点を分かりやすく伝えます。
さらにパワーポイントにはノート機能があるので、そこに詳しい説明を打ち込み「読み物用」として別で印刷をしてお渡しするのも有効な手段です」(同)
大切なことは最初と最後で“2度”くり返す
資料作りのプロから見た“良い資料”とは、具体的にどんなものなのでしょうか?
「一番重要なメッセージがいかに分かりやすく書かれているか、また、伝えたい根幹となるメッセージが最初と最後にあるものが良い資料だと思います。結論を冒頭で伝えて、中間で結論に付随する理由を説明し、最後に『以上のことから結論はやはりこうです』という結起承転結を心がけることが重要です。
資料作りに慣れていない人が引き起こしやすい事例としては、最初から延々と続く説明に入り、最後に1度だけ結論を伝える前置きが長い資料。それだと読む人は途中で飽きてしまい、結論のメッセージまで読んでもらえない場合があるので注意しましょう」(同)
さらに、絵や図を活用することで、相手の理解度が高まると話します。
まさしく、百聞は一見にしかずといえるリンゴの説明。
「例えば『リンゴ』を伝えようと思ったときに、パワーポイントの機能を使って、タイトルを書いて、リンゴとは赤くて丸くて300gぐらいで?と文章をタラタラと書くよりも、写真を見せた方が一発で理解できますよね。
まず、そこを考えるところが重要。つまり、文章ではなくて視覚的に理解してもらうために何が最善の方法か考えるということ。他にも、日本語が通じない相手に教えなくてはならない場合は図を多めに使うなど、まずは伝える相手のことを考えることがポイントなのです」
「さらに、慣れていない人は資料作りに何時間も、下手したら何日間もかかってしまう場合もあります。そこで素早く資料を作るためには、ショートカットキーを知っておくこと、デザインのテンプレートを決めておくことが必須です。
デザインのフォーマットを決めておくと次回の資料も作りやすくなる。
特にテンプレートに関しては、どんなデザインにするか決めておけば、作る時間を省くことができますし、このテキストはこの大きさで、大事な箇所はこの色にしてというようにルールを決めると、大幅な時間短縮につながります」(同)
資料を読む相手を尊重することが何よりも大事
どんな資料を作るか考える際に、心がけるべきポイントを森重さんに伺いました。
「プレゼンって、つまりプレゼントをすることなんですよね。物を送るときには相手を配慮することが始まりです。なので自分主体じゃなくて相手がコレをもらったらうれしいだろうなっていう視点を、1つ先に置いておきましょう。プレゼンを見るのはご年配の方かもしれないし、もしくは目の悪い方かもしれません。
だから文字は大きくしておこう、などと考えを張り巡らせていただくことが一番大事です」(同)
提案する相手に、あなたの伝えたい内容に関してある程度の理解があれば事前説明は省くべきですし、逆に知識がない相手であれば分かりやすく説明することが重要。常に同じ資料の作り方ではなく、相手によって資料のテンプレートを変えるように心がけると良いでしょう。
まとめ
凝ったデザインにして、ただ自分の中でまとめたことを書き出すのではなく、資料作りで重要なのは「誰に」「何を」分かりやすく伝えるか。シンプルながらも相手のことを考慮した見やすくて簡潔な資料は、伝わり方の角度も大きく変わってくるのではないでしょうか。
識者プロフィール
森重湧太(もりしげ・ゆうた)
スマートキャンプ株式会社が提供している資料作成代行サービス「SKET」のディレクター。兼クラウドサービス資料請求サイト「ボクシル」のサイトデザインに従事。2016年1月22日に『一生使える 見やすい資料のデザイン入門』を出版。
※この記事は2017/01/18にキャリアコンパスに掲載された記事を転載しています
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