バラエティで求められる“いい子”をやりきった日々
2015年に、バラエティタレントとして大ブレイクを果たしたりゅうちぇるさん。2018年にはRYUCHELL名義で音楽活動をはじめ、InstagramやYouTubeでもさまざまな発信をするようになりました。現在は、タレント・アーティスト・インフルエンサーの3本柱で活動をしています。
「どの仕事をしているのも全員“りゅうちぇる”なんだけど、それぞれ少しずつスタンスが違います。音楽活動では、自分の経験を歌詞にしたり、大好きな90’sカルチャー風のビジュアルを作り込んだりして、これまでの人生と大好きな世界観を届けていくイメージ。インフルエンサーとしては、ありのままのライフスタイルやめちゃくちゃふざけた自分を見せることで、みんながとにかくハッピーになれるような発信を心がけています。
でも、テレビのお仕事だけはちょっと違っていて……バラエティでは、ご依頼いただいた企画や番組のカラーに溶け込みながら、その枠のなかで自分を出す必要があるんですよね。だからタレントとしては、求められた役割をきっちりやりきることを第一に考えています」
そう聞くと、これまでテレビの中にいたりゅうちぇるさんは“つくられた姿”だったのかと思ってしまうけれど、決してそうではありません。バラエティの仕事はとても楽しかったし、その経験がいまの自分をつくってくれていると、りゅうちぇるさんは続けます。
「ただ、バラエティで求められる“いい子”と、人生を生きるうえでの“いい子”って、まったく違うんですよね(笑)。でもお仕事として出演するからには、バラエティのいい子にならないと話にならない。自分で出ると決めた以上は、絶対に爪痕を残さなくちゃイヤ! 芸人さんより面白いと思われなくっちゃ、僕が来た意味がない! さんま御殿に出るなら絶対に『踊る!ヒット賞』を獲る! って思ってました。負けん気が強いタイプなんです」
ちぇるちぇるビームを卒業して、自分の背景を伝えていく
ところが最近は、そんなテレビの仕事を意識的に減らしている、とりゅうちぇるさん。音楽やSNS、自分の意見を伝えられるメディアの出演などに、軸足を移し始めました。
「若いうちから本当にたくさんのテレビに出演させていただいたから、『もうやり尽くした』と思っちゃって(笑)。結婚して、子どもを持って、自分の置かれている状況も変わってきたんです」
父親になったからには、これまでどおりの“おバカタレント”ではいられない。子どもに対する責任が生まれ、過剰にふざけた発言はできなくなってしまったといいます。
「たとえば以前なら、食レポは『かわいい~、ウケる~』と言っていればよかったけれど、僕のそういう発言のせいで、息子が後ろ指をさされることがあるかもしれません。バラエティで求められる“りゅうちぇる”を、ちゃんとできなくなってしまったんですね。だったらもうそういう役割は卒業して、パパとして胸を張れるような仕事を増やしたいと思いました。
20代になってもずっと“ちぇるちぇるビーム”ばかり撃ち続けるつもりはもともとなくて(笑)、どこかのタイミングで、自分の裏側についても知ってもらいたいとは考えていたんです」
こうしてりゅうちぇるさんは少しずつ、いろいろなメディアで、自分のバックグラウンドを語り始めました。たとえば、中学時代にいじめを受けていたり、自分を出すことが苦手だったりしたこと。けれど、それを乗り越えて、いまとても幸せに生きていること……。
「僕も最初からハッピーなわけじゃないんだよ、だからみんなも頑張れるよって、メッセージを出したかったんですね。昔のりゅうちぇるに『真面目な話をすること』は求められていなかったけれど、いまは、若い僕なりの意見を求めていただくことも増えた。だんだんと、目指していた方向に近づいてきていると思います」
自分を見せられる場を複数持つことで、さらに楽しく
SNSひとつ取っても、メッセージの届け方にはこだわりがあります。
「たとえばTwitterでは、病んだり悩んだりしている自分を恥ずかしがらずに出す。インスタはとにかく自分の好きな『おしゃれ』や『かわいさ』を追求したいから、PRなどの仕事には使わないって決めています。YouTubeはハッピーな雰囲気で、自分のことを知ってもらうのが一番大事。すべて自分でプロデュースをしているから、きちんと細部までこだわれるのがいいですね。ファンの方はどの発信も見たうえで『すべてトータルでりゅうちぇるなんだ』と思ってくれていて、すごくうれしいです」
テレビ、音楽、SNS……自分を見せられる場を複数持ったことで、りゅうちぇるさんの活動は、さらに大きく広がりました。とくにいまは、副業や兼業も当たり前になりつつある時代。自分の武器をいくつも持つスタイルは「はたらく」を楽しくすることにつながっています。
「僕はバラエティに出始める前、ドラマや舞台のオーディションも受けていたんです。そっちはかたちにならなかったけど、昔から、5個くらい挑戦すれば1個くらいは当たる。10個やれば2個当たる、みたいな気持ちでいます。だから、挑戦してみてダメでもOKなんですよね。
たとえばいまはInstagramやYouTubeをやっているけれど、数年後にまた新しいサービスが出てきたら、いま発信しているものがオワコンになっちゃうと思います。リスクヘッジとしても、いろんなものにいっぱい手をつけておくのが大事。今後は、自分のメイクブランドも手掛けたいなって考えてるんです。そうやっていろんなことにトライする気持ちでいたら、自分らしいアプローチができる場面も増えて、はたらくことがどんどん楽しくなってきています!」
りゅうちぇるさんのプロ意識や、いつも楽しくはたらくコツについて語っていただいた後編はこちらから。
(文章/菅原さくら カメラ/玉村敬太 編集/黄孟志)
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