「不安とは上手に付き合っていくことが大事」モノオク株式会社CEO阿部祐一さんの仕事観

「カーシェア」「ルームシェア」「ベビーグッズシェア」のように、現代は“所有”よりも“シェア”への需要が高まりつつあります。中でも、近年注目を集めているのが“空きスペースのシェア”。その“空きスペースのシェア”にどこよりも早く着目し、「モノオク」という一風変わったシェアサービスを生み出したのが、『モノオク株式会社』CEOの阿部祐一さんです。今回は、そんな阿部さんに「モノオク」のサービスを生み出したきっかけや、阿部さんの仕事観について伺いました。

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『モノオク』のサービスを思いついたのは、自宅で民泊を営んでいた頃

――『モノオク株式会社』を設立する前は、どんなお仕事をしていたんですか?
阿部:大学を卒業してから、スタートアップ企業や個人事業主をサポートする会社でアルバイトをしていました。そこでさまざまな事業に携わりながら、仕事のいろはを学んでいたんです。同時に、民泊事業を自宅で営んだりもしましたね。『モノオク』のサービスを思いついたのも、民泊をやっていた頃だったと思います。

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――どんな出来事がきっかけで『モノオク』のサービスを思いついたのでしょうか?
阿部:民泊を営んでいた時に、荷物を預かってほしいと頼まれたことがきっかけでした。その時、日本には簡単に物を預けられる場所がないことに気づいたんです。そこからヒントを得て、「シェア可能なスペースで荷物を預かるサービスは需要があるんじゃないか」と考え、『モノオク』が生まれました。

――なるほど。『モノオク』のサービスはその気づきがベースになっているんですね。
阿部:そうですね。『モノオク』は、「荷物の置き場所に困っている人」と「余ったスペースを有効活用させたい人」をマッチングさせる、個人間の物置きシェアサービスです。お互いの条件さえマッチすれば、手軽に荷物を預けられますし、預かる側も余ったスペースを活用しながら副収入を得られます。物を預ける側、預かる側の両方にメリットをもたらすのが、このサービスの良い点だと思っています。

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不安が尽きることはない。それでもやり続けることが大事

――阿部さんが起業しようと考えたのは、いつ頃だったんですか?
阿部:中学生の頃から「起業したい」と考えていて、親にも伝えていました。当時はまだ考えが漠然としていたので、親も真に受けてはいなかったと思いますが。

――中学生の頃からですか!起業に対して不安はありませんでしたか?
阿部:中学生の頃はありませんでしたけど、実際に起業するとなったときは不安だらけでしたね。当時はまだ“シェア”という考えに世間の抵抗感が強く、認知もされていない時代だったので。また僕自身も、起業の方法を知らなかったので「本当にできるのかな……」という不安は強かったです。

――起業後は、不安を解消できましたか?
いえ。起業後も不安は募るばかりでした。事務的な仕事に関しては特に……。これからも不安が尽きることはないと思っています。

――お話を聞いていると、不安を抱えながら選んだ道を進み続けることは、とても大変なことのように思います。
阿部:そうですね。でも僕は、どんなに不安で逃げ出したくなっても「途中で投げ出さない!やり切ろう!」と心に決めていました。これはあくまで僕の考えですが、途中で諦めたらキャリアも僕個人的にも中途半端になってしまう気がするんです。なので、不安を感じても前を向いて進むことだけは忘れないようにしています。

――不安を抱えながらも投げ出さずにやり続けた結果が、いまの『モノオク』に繋がっているということなんですかね。
阿部:はい。不思議なことに、やり続けていくうちに自然と不安が解消されることもあったんです。おかげで「失敗しても何かしら成果は残るだろう」とも思えるようになりました。

――不安についてあれこれ悩むよりも、まずやってみるってことが大事なんでしょうか?
阿部:やり続けながら、不安とどう上手に付き合っていくかを探すことが大事だと思います。僕の経験上、きっと不安は尽きることがなく、やり続けているうちにまた新しく生まれてしまうものなんです。どうせ尽きないのであれば、まずやってみる。そしてつまずいた時に本を読むなり、同じような不安を抱えたことがある人に相談してみる。この方が建設的に不安と向き合えますし、上手な付き合い方なのかなとも思いますね。

自分を客観視することも、不安や焦りを軽減させる1つの手段になる

――起業当初は、不安とともにワクワク感もあったと思うのですが、当時を振り返ってみてどのような感情がありましたか?
阿部:確かにワクワクもありましたが、余裕もなかったと思います。

――余裕がなかったとは?
阿部:恥ずかしい話、当時は起業すればすぐに出資を受けられると思っていたんです。でも全く受けられなかった。一方、同世代の他の人は500万円、1000万円レベルの出資を受けられていたんです。当時はその理由がわからなくて「なんで自分だけダメなの?」という疑問だけが残り、焦っていたんだと思います。

――きっとビジネスパーソンに置き換えた時、同じように「自分だけ仕事で認められないのはなぜ?」と焦り、不安を抱えている人がいると思います。そのような人に対して不安や焦りを軽減させるアドバイスをいただきたいです。

阿部:まずは、客観的に自分を分析してみてはどうでしょうか。仕事で認められない原因は意外とシンプルで、「何かが足りない」、もしくは「あなたの実力が発揮できない環境にいる」のどちらかだと思うんです。それを明確にすることから始めてみると良いと思います。

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――いきなり客観視するのは難しそうです……。何かコツがあれば教えていただきたいのですが。
阿部:自分を客観視するコツか……。(しばらく考える)ロールモデルを見つけて、自分と比較してみると良いかもしれません。僕は「自分とその人は何が違うのか?」と考えるようにしていました。結果的にそれは自分を客観視することに繋がりますし、自分に足りないものも浮き彫りになり、不安や焦りも軽減するはずです。

――最後に。昨今はコロナウイルスの影響で、仕事の安定性に対して不安や焦りを抱えるビジネスパーソンも少なくありません。そんな時代を生きる彼らに向けて、阿部さんが大事にしてほしいと思うことを教えてください。
阿部:個々人でもう一度「自分は社会にどう貢献したいのか、どう貢献できるか」を考え、行動し続けることが大事だと思います。確かにコロナウイルスは、現代社会に様々な課題を与えました。ただ、社会情勢が不安定になっても、「自分がやりたいこと」や「今できること」というのはおおよそ変わらないはず。だからこそ、今の自分を客観的に見つめなおしていくべきです。そうすれば、特別不安になることはないと思います。

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【プロフィール】
阿部祐一●モノオク株式会社CEO。京都府出身。関西大学卒業後、スタートアップ企業を支援する企業にてシェアリングエコノミーに関係したサービスを学び、2015年4月に同社を設立する。現在も、「だれでも社会的交わりのある世界をつくる」をビジョンに、事業展開を進めている。

取材・文=トヤカン
編集=五十嵐 大+TAPE

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