「クレーム対応」と聞くと、ぎょっとしてしまう方も多いのでは? クレーム対応の場面では、お客さまから言われたことに従ったのに、かえって怒りを買ってしまうことも。
そこで、『図解クレーム対応術 すぐに使える聞き方・話し方のツボ』の著者である中村友妃子さんに、若手ビジネスパーソンが間違えがちなクレーム対応の5つのケースと、正しい対応方法を伺いました。
ポイントは、クレームの裏にある、お客さまの真意を読み取ること!
それをきちんと実践できれば、「君に聞いてもらえてよかった!」と、クレームを評価に変えることができるかも!?
間違いがちなクレーム対応の5つのケース
その1:お客さまに急いで説明をしてしまう
■状況
お客さまから、「買った電化製品がスイッチを初めて入れた瞬間に壊れてしまった」というクレームがあった。
■間違った対応例
「大変申し訳ございません。壊れてしまったのは、この製品にはこういう特徴があることが原因です。そういう仕様になっているのです!」
■正しい対応例
「そうですか、大変申し訳ございませんでした。スイッチを入れてすぐに壊れてしまったのですね。とても驚かれたことでしょう。大変ご迷惑をおかけしました」
■正しい対応のポイント
「よく、クレームがこじれるケースがあります。それは製品の不具合だけが原因ではなく、『不具合によって困った』というお客さまの“心情”が満たされないことで起きるのです。よって、急いで説明をするのではなく、まず相手の心情を満たすことが大切です」(中村さん:以下同じ)
その2:「上司に代われ」と言われて本当に上司に代わってしまう
■状況
クレームを寄せたお客さまとの話の途中で「上司に代われ!」「上司を呼んでこい!」と言われた。
■間違った対応例
「わかりました。今、上司に代わります」
もしくは、
「私が企業の代表としてお客さまにご対応いたします」
■正しい対応例
「今からしっかり対応します。もう一度お話し合いをさせてください」と、心を改めて対応する
■正しい対応のポイント
「『上司に代われ』は、本当に上司に代わってほしいのではなく、『あなたが嫌いだ』という意味です。自分の対応や態度が悪かったことに気づかせてくれ、お客さまはもう一度仕切り直しのチャンスを与えてくださったのです。正解は、態度を改め、汚名返上の対応をすることです」
その3:「私が責任をとる」と言ってしまう
■状況
クレームを寄せたお客さまから「どうしてくれるんだ!」と迫られた。
■間違った対応例
「この問題は私が責任を持ってご対応いたします」
■正しい対応例
企業とお客さまの仲介役として、「責任をとる」という言葉は口にせず対応する
■正しい対応のポイント
「ついお客さまの怒りを鎮めたくて、『責任』という言葉を使いたくなりますが、通常、担当者には責任をとる権限はないものです。かえって相手をいら立たせる言葉だということを認識しましょう」
その4:「おわび」「お礼」「お願い」言葉を使いすぎる
■状況
クレーム全般。
■間違った対応例
対応する中で「申し訳ございません」「ありがとうございます」「お願いいたします」を連発する
■正しい対応例
以下のように言い換えて、連発しない
「申し訳ございません」→「お恥ずかしいお話で…」「つくづく力不足だと…」
「ありがとうございます」→「勉強になります」「光栄なお話です」
「お願いいたします」→「差し支えますでしょうか」「差し障りございますでしょうか」
■正しい対応のポイント
「『申し訳ございません』は1回のクレーム対応時に3回までが限度。4回以上では“逃げ口上”と捉えられてしまいます。『ありがとうございます』も4回以上は“社交辞令”と感じさせてしまい逆効果に。『お願いいたします』も無理なお願いをするときだけにとどめましょう」
その5:面倒なことを避けようとする
■状況
お客さまがなかなか引き下がらない。
■間違った対応例
面倒なことを避けたくて、一生懸命に原因や事情を説明し、穏便に済ませようとする
■正しい対応例
「ご迷惑をかけた相手全員におわび状を書く」「電話を入れる」「カタログをお送りする」など、自分がひと汗かくことを約束する“汗かき提案”を先取りして行う
■正しい対応のポイント
「『説明』には相手を引き下がらせる効果はありません。結局は企業の言い訳にしかならないからです。説明は必要最低限にし、汗をかいて何かをする“汗かき提案”を先取って提案するといいでしょう」
中村さんによれば、クレーム対応にはテクニックがあり、お客さまに親身に対応する正しい手順を守って行うことが大切だといいます。一見、難しそうに見えるクレーム対応ですが、スキルを身に付ければ誰でも簡単にできること。テクニックを覚えて、ぜひ実践してみましょう!
※この記事は2015/02/12にキャリアコンパスに掲載された記事を転載しています
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