学生時代の情報整理術は卒業! デキる社会人の“三冊ノート術”

情報を上手に記録し、整理するのは社会人の必須事項。でも学生時代と同じようなノートの取り方では、デキる社会人とはいえません。

学生時代の情報整理術は卒業! デキる社会人の“三冊ノート術”

情報を上手に記録し、整理するのは社会人の必須事項。でも学生時代と同じようなノートの取り方では、デキる社会人とはいえません。

学生時代のノートに対する固定概念を打ち破り、“社会人のノート術”を実践して、結果を出し続ける人がいます。その人とは、『「結果を出す人」はノートに何を書いているのか』の著者である美崎栄一郎さん。今回は美崎さんに、社会人にとってのノートの必要性と、「三冊ノート」活用術を伺いました。

社会人のノートは学生のノートと正反対!


そもそも、学生のノートと社会人のノートはどう違うのでしょうか?

「社会人にとって必要なのは、学生時代のように『記憶』することではなく、『記録』することです。言い換えると、学生時代はノートを『覚えるため』に書いていましたが、社会人は『忘れるため』に書きます。まったく正反対の使い方です」(美崎さん:以下同じ)

なるほど、社会人は忘れるためにノートを書くのですね! 特に仕事のやり方を記録しておくことが、社会人としての価値につながると美崎さんは続けます。

「社会人の価値は、過去の仕事で得た実績や経験知なんです。自分の仕事の過程をノートに記録していけば、自分にしか経験できない唯一無二の情報になります。Googleでいくら検索しても出てきませんが、記録に残せば、再び同じ仕事を依頼されたとき、思い出すためのきっかけにもなります。“○○さん、前にあの仕事やってくれたよね。またやってよ”と言われたときも、ノートに残しておけば、やり方を見返して同じ仕事が再現できます」

三冊ノート術


それでは、美崎さんのノート術を教えてもらいましょう! 美崎さんは「メモノート」、「母艦ノート」、「スケジュールノート」の三冊を使い分けることを勧めています。

1.メモノート


上司の指示や、外出先や移動中、出張先などで思い付いたアイデアや気付いたこと、忘れたくないキーワードなどをメモするための小さいメモ帳。次に紹介する「母艦ノート」に貼るために、ちぎれるタイプがおすすめ。

●書き方例
・上司の指示を受けているときに指示内容を書く
・電車で移動中に、車内の中づり広告からピンときたアイデアを書いておく

●書き方のポイント
上司の前などで聞いている話をメモするときは、内容が相手に見られないように、表紙が縦開きになるメモ帳がおすすめ。横に開くタイプだと、相手にメモの内容が見えてしまい、気にさせてしまう。

2.母艦ノート


母艦とは、航空機や潜水艦などの移動基地のこと。基地とは兵器や燃料などが詰まれているポータル的存在。メモを戦闘機に例えれば、その戻り先が母艦ノートになる。いってみれば、自分の脳内にあることや経験で得た情報の基地。

母艦ノートには、メモノートで記録した断片を貼り付けて情報を補完させたり、これからやる仕事のタスクを書いたり、企画書やプレゼン資料の下書きをしたりする。また、タスクリストや仕事の工程などのページに、「ここでこうすべきだった」などと仕事で生じた問題点や失敗を書いておくと、次回につなげることができる。ノートは、普通のキャンパスノートなどがおすすめ。

●書き方例
・上司の指示を書いたメモを貼り付け、内容を膨らませたり、必要な手順や方法などを追記したりして補完させる
・パソコン上で作る企画書なども、一度ノートで構成を練る
・出張に行くと決まったら、「飛行機を予約する、宿泊先を決める、アポイントメントをとる、着替えを用意する」など必要なタスクを具体的に書き出してやるべきことを見極める

●書き方のポイント
あとで見返したときに分かりやすくするために、一つのコンテンツを、ページ見開き(2頁分)で書く。また、ジャンル分けせずに一冊のノートに時系列で書き進めていくのがおすすめ。後でスケジュール帳と照らし合わせて、いつごろやった仕事なのかが追いやすくなる。

3.スケジュールノート


スケジュール帳は、予定を書き込んで、進行管理や時間管理に使います。1カ月の予定をパッと一目で見渡せるマンスリータイプがおすすめ。

●書き方例
・打ち合わせが決まったら、その日の欄に、時間と場所、相手の名前を書く
・打ち合わせのあとに、見積書作成の時間を1時間分スケジューリングしておく

●書き方のポイント
ただ決められた予定を書くだけでなく、スケジューリングを自分で考えて入れることが大事。例えば営業マンの場合、打ち合わせのあとにすぐ別の予定を入れる人もいるが、打ち合わせ後は見積書を作成する時間を取り、すぐ連絡するようにすれば、先方にレスポンスが早いと思われて受注につながりやすくなる。

三冊のノートを連携させて情報を検索可能に


この三冊のノートは、どのように関係しているのでしょうか?

「メモノートと母艦ノートは、戦闘機と母艦の関係と同じです。小さいメモは母艦ノートに貼り付けて情報を追記します。また、スケジュール帳は、過去にやった仕事を確認するときに母艦ノートと連携させられます。まずスケジュール帳を見て、いつごろやった仕事なのかを確認してから、その時期の母艦ノートの記録部分を見つければ早いですよね」

経験を自分の価値に結びつけるためには、情報をあとから検索しやすくすることが大事。三冊のノートを連携させることで、細かな情報をいつでもどこでも引き出すことができるようになるのです。

デジタルのほうが便利なのでは?


しかし、デジタルで情報を管理するほうが便利なのではないでしょうか?

「もちろんデジタルも便利ですが、誰でも簡単に使えるのは、やはりノートです。私もデジタルのツールをとことん使い込んでいますが、ツールを使いこなせたからといって仕事の結果につながるわけではないですしね。また、デジタルだとデータが飛ぶ恐れがありますし、仮に会社を退職した場合、デジタルでは外部に持って行くことができません。ノートであれば、いつまでも自分の手元に持っておくことができますよね」

紙のノートは簡単で安心、持ち出し可能という点で、非常に便利なツールなのですね。デジタルで情報管理をしている方も紙のノートと併用してみるといいかもしれません。

自分の仕事の価値を決めるノート術。手軽にできるので、皆さんもぜひ取り入れてみてください!


識者プロフィール
美崎栄一郎(みさき・えいいちろう)/ 商品開発コンサルタント、ビジネス書作家、講演家。 大阪府立大学大学院工学研究科卒業後、花王株式会社で約15年勤務し、独立。築地朝食会、社長大学など、社会人向け勉強会や講演を多数主催。主な著書に2010年ビジネス書大賞第1位『「結果を出す人」はノートに何を書いているのか』(ナナ・コーポレート・コミュニケーション)、『会社って楽しい?』(ビジネス社)他、多数。日本経済新聞、朝日新聞、宣伝会議、月刊総務、めざましテレビ(フジテレビ)、となりの子育て(NHK)などメディア掲載も多数。


※この記事は2014/12/05にキャリアコンパスに掲載された記事を転載しています。

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