かつては多くの企業で実施され、盛り上がりを見せていた「社内運動会」。時代とともに衰退していったものの、ここ最近、社内でのスポーツイベントが復活の兆しを見せているようです。
たとえば百貨店の株式会社松屋では今年6月に20年ぶりに社内運動会を開催し、およそ1,400人が参加し大いに盛り上がりを見せ、自動車部品メーカーの株式会社デンソーは、2011年に24年ぶりに社内運動会を実施し、その後も毎年秋に開催しているそうです。
大手企業のみならず、中小やベンチャー企業も続々とスポーツイベントを取り入れている背景には、どんな理由が潜んでいるのでしょうか? そこで、1986年に創業し年間100件を超える社内イベントをサポートしているという株式会社SSKエンタープライズの広報部・本田太さんに「社内運動会」の魅力や成功のポイントを伺いました。
社内運動会の狙いは「コミュニケーション不足」の解消
企業がこぞって社内運動会を実施する狙いは、何よりも「社員同士のコミュニケーションの強化」にあるとのこと。確かに大企業になればなるほど、社員同士が顔や名前を把握するのは難しくなりますし、ワークスタイルの多様化によって交流の機会が減っていることが、コミュニケーション不足につながっているのかもしれません。
「メールやSNSの発達により、ちょっとした連絡や直接言いづらいことなどは、同じフロア内にいてもテキスト上のコミュニケーションになりがちですよね。これではどうしても『コミュニケーション不足』の状態に陥ってしまうでしょう。そしてバブル崩壊後、リストラの実施や新入社員採用の見送り、さらに中途半端な成果制度の導入など、会社が社員を育てることを忘れてしまっているようにも見えます。
そんななかで社内運動会を実施する企業が増えているのは、『コミュニケーションを活発にすることで生産性を上げたい』、『社員同士の交流に注力している自社に誇りを持ってほしい』との思いがあるからではないでしょうか」(本田太さん:以下同じ)
役職や年代を飛び越え、みんなでワイワイと楽しめる社内運動会に、企業の期待が高まっているようです。
テッパン競技とオリジナル競技、それぞれの魅力を生かそう
続いては、これまでサポートしてきた運動会のなかで、絶対に盛り上がるテッパン競技や斬新なオリジナル競技をお聞きしました。
●運動会といえばコレ! 盛り上がるテッパン競技
・リレー
・綱引き
・障害物競争
「スピード感が見ている者を高揚させるリレー、迫力があり見応えがある綱引き、時折笑いも起こる障害物競争は、どんな企業様も取り入れやすいテッパン競技です。
一般的に勝ち負けがハッキリしている競技は、盛り上がりますね」(同)
●新鮮さがウケる! オリジナル競技
・走れ コータロー(馬の形をしたビニール製の乗り物にまたがり、走りにくいなかでスピードを競う競技)
・バブルボール(透明な球体の中に入った状態で相撲をとる競技)
・愛のキャッチングレース(2人1組で行い、1人がシーソーで飛ばしたボールをもう1人がキャッチする競技)
「オリジナル競技はその新鮮さゆえ注目が集まりやすく、また競技をしている様子がおもしろおかしく映るので、力まず笑顔で応援できるのも魅力だと思います。イベント全体のアクセントのような役割かもしれませんね」(同)
競技中はおのおの好きな音楽をかけたり、応援グッズを使ったりして、とにかくギャラリーが盛り上がるそう。社内運動会をサポートした企業からは、「休日をつぶしてまで実施するべきか迷ったが、開催して本当によかった。また開催したい」との声が多数挙がっているのだとか。
「運動会では普段接することがない社員と交流できたり、これまで見られなかった意外な一面が発見できたりと、たった1日で十分なメリットが得られます。お客様からは、『社内の会話が増えて雰囲気が明るくなった』、『部署間を超えてコミュニケーションが広がった』、『家族との会話が増えた』といった声をいただいています。
一番の目的である『コミュニケーションの強化』については、どの企業様にも実感していただけているようです。われわれは『スポーツを通じて人と人をつなぐこと』を使命として掲げておりますので、それが達成できているのは何よりうれしいことですね」(同)
ここだけは押さえよう! 社内運動会を成功させるポイント
運動会といえば、学生時代に行ったリレーや組体操、ワイワイした雰囲気を想像する人が多いかもしれません。運動会の内容はイメージできても、いざ運営するとなるとそう簡単にはいかないもの。そこで、社内運動会を成功させるポイントを本田さんからアドバイスしてもらいました。
・会場
「人数に応じた広さ、駐車場の数、アクセスの良さなど、会場選びは重要なポイント。できれば開催時期の半年前までに会場をリサーチしておくと、日程が押さえやすくなります。現実的にはアクセスを重視するよりも日にちを優先しないと会場が押さえられず、広さの目安は、100×80mの広さなら1,500名ぐらいが、36×36mぐらいなら300名ぐらいが収容可能なのだとか。そのため準備や撤収にかかる時間を割り出したうえで、会場を押さえる必要があります。初めて運動会を行う場合は、われわれのようなプロの専門業者に任せていただいたほうが知見もあるため安心でしょう」(同)
・実行委員
「運動会を仕切るための実行委員を社内から選出する際は、部署が固まらないよう組織を横断して集めていただくといいですね。自分の仕事をこなしながら運動会の準備をすることになると思われますので、打ち合わせはなるべく短い回数で終わらせるよう工夫しましょう」(同)
・競技内容
「リレーなど競技性の強いもの、運動が苦手な方でも楽しめるもの、親子が触れ合えるもの、見栄えがよくギャラリーが飽きないもの、チーム競技、個人競技などを、バランス良く組み合わせるのがオススメです。競技の順番も盛り上がるよう配慮してください。事前に全社員にアンケートをとるのもいいですね」(同)
・チーム分け
「普段あまり接点がないような他部署同士を組み合わせてチームを作る企業様が多く、それが一番無難だと思います。チームの中に数人はなじみがある人がいる状態にすると、疎外感が生まれることも少ないですよ」(同)
・当日の心がけ
「何よりの成功のポイントは、笑顔・喜び・称賛です。参加者だけでなくスタッフ側の人たちも『good job』とたたえ合ったり、円陣を組んで全員で声出しをしてもらったり、勝ち負けに関係なく選手の健闘に拍手を送ったり、全員が笑顔になれる雰囲気をつくることができれば運動会は成功ですよね」(同)
まとめ
社内運動会は幅広くコミュニケーションをとるキッカケになるだけでなく、学生時代を思い出しながら思いっきり体を動かすことで、ストレス発散やいいリフレッシュにもなりそうですね。もしかすると、普段はあまり接することがない経営陣、はたまた気になるあの人とも急接近できちゃうかも?
こういった交流の機会を設けることでコミュニケーションがスムーズになれば業務も円滑にまわり、仕事の生産性もグンとUPすることでしょう。社員が一体となって楽しめる「社内運動会」、ぜひあなたの会社でも取り入れてみてはいかがでしょうか?
(取材協力)
株式会社SSKエンタープライズ
※この記事は2016/10/21にキャリアコンパスに掲載された記事を転載しています。
あなたの本当の年収がわかる!?
わずか3分であなたの適正年収を診断します