出社後「さあ、仕事に取り掛かろう」とデスクに向かうと、デスク上にはいつの間にか積み重ねてしまった文具や書類の山が……。デスク整理が苦手なビジネスパーソンにとっては、心当たりのある経験ではないでしょうか。
しかし実は、デスク整理は、仕事の効率や成績アップにも直結する大切なスキル。そこで今回は、デスク整理のメリットや具体的な手順について、「かたづけを通じて人生を変えるコンサルティング」スッキリ・ラボ代表で、日本で唯一の「かたづけ士」である小松易さんに伺います。
デスクを整理することで得られるメリット
片づけは、「あらためて自分自身の仕事環境を見直す機会になる」と言う小松さん。そして、日々デスク整理をきちんと行うことで、大きく3つのメリットが得られるのだそうです。
◎体感的な快適さが得られる
「片づいていないデスクを使っていると、気が付いたら目の前に書類の山があるというのが見慣れた風景になり、次第にその環境が快適かどうかも考えなくなってしまいます。
しかし、きちんとデスク整理を行うことにより、都度デスク上がリセットされるので、『すっきりした』という体感的な気持ち良さに加え、翌朝きれいなデスクを前に、新しい気持ちで仕事に取り組むことができます」(小松さん、以下同じ)
◎仕事中のロスタイムをなくし、集中力・効率アップにつなげる
「デスクが片づいていると、必要な物を探すという無駄な時間がなくなります。そして、このようなちょっとした時間をなくしていくことは、残業時間を減らすことにもつながるのです
また、物を探すということは集中力を削ぐ原因にも。デスク整理は、そうした仕事のパフォーマンスを下げる要因を排除できるので、仕事の質を上げることができます」
あなたはいくつ当てはまる? デスク整理が苦手な人の特徴
まず片づけが苦手な人は、物が散らかってしまう動きや考え方をしてしまっているのだとか。片づけが苦手な人の特徴について、小松さんは次のように語ります。
◎とにかく後回しにする
「片づけが苦手な人は、とにかく『後で』がキーワードになっています。片づけが得意な人は、例えば郵便物を受け取ったらすぐに封を開け、すぐに対処するのですが、苦手な人は今来たものを後回しにします」
◎いかに「速く」片づけ自体をできるかという思考
「片づけが得意な人は、『いかに“早く”片づけに取り掛かれるか』というタイミングを意識しますが、苦手な人は『いかに“速く”片づけ自体をできるか』という、スピードを意識するため、ギリギリでこなそうとしてしまうのです。
◎全体を一度できれいにしようとする
「一度ですべてを片づけようとするのも、片づけが苦手な人の特徴。デスクは片づける場所が大きいので、一気にやろうとすると時間がかかりますよね。だから『後でやろうかな』と考えるのだけど、急な仕事が入ってきたりして結局先送りになってしまう。『大片づけ』をいつかやろうという考えなので、先送りにする間にもどんどん散らかってしまうのです」
整理をはじめる前に覚えておこう! デスクの片づけは2つの種類に分けられる
小松さんによると、デスクの片づけは、「リセットの片づけ」と「習慣化の片づけ」の2つに分けられるのだそうです。
「リセットの片づけは、これまでためてきた物、つまり、“過去の物”を扱う片づけです。一方、習慣化の片づけは、『じゃあ、これよろしく』と渡された書類など、“今手にしている物”を扱う片づけです」
実践! デスクの「リセットの片づけ」~整理の4ステップ~
それでは、実際にどのようにデスク整理をすればよいのかを教えていただきました。小松さんによると、「リセットの片づけ」は、以下のルールにのっとり、「整理の4ステップ」を繰り返すことで習慣化できるのだそうです。
【ルール】
・整理は1日1カ所に決めて行う
・タイマーで15分を計り、時間内で終わらせる
◎ステップ1:「外に出す」
「片づけが苦手な人は、引き出しから物を出すときに、一つずつ要るか要らないかを考えて取り出すのですが、そうではなく、全部一気に出してしまいましょう。そうすると、『よし、片づけよう』と覚悟ができるだけでなく、どれだけの物がデスクに入っていたのかを把握することができます」
◎ステップ2:「分ける」
「分けるときは、『使えるか、使えないか』ではなく、『使うか、使わないか』という自分の意思や、『使ったか、使わなかったか』という最近の実績を基準に考えましょう。文房具ならここ1カ月で使ったか、使わなかったかが判断基準になります」
◎ステップ3:「減らす」
「ステップ2で『使わない』、『使わなかった』と判断した物を減らします。といってもすべてをゴミとして捨てればよいというのではなく、新品で使わなかった物は庶務などの部署に返す、家から持参した物ならば持ち帰る、それを必要としている社員がいるならばあげてしまうなど、状況に合った方法で手放します」
◎ステップ4:「しまう」
「物の減量ができたら、残った物をシンプルに“元あった場所”にいったん戻します。きちんと並べる必要はありません。まずは、デスクにある文房具や書類、書籍などを棚卸しして、『減量する』という整理の工程をとにかくやりきることが大切です」
実践! 「習慣化の片づけ」のポイント
物の片づけができたら、そのうえで行う「習慣化の片づけ」を実践しましょう。
「物の定位置やしまい方が整っていれば、新しく増えた物をすぐに正しく収めることができるのですが、この習慣化の片づけを身につけるために、『物を置く』という動作を常に意識するようにしましょう。
片づけが苦手な人は、無意識にデスク上に物を置いてしまいます。ところが、片づけが得意な人は、今手にした物を安易にその辺りに置くのではなく、期限を決めてどう対処するかを考えて置いているので、もし、一時退避スペースとして積み上げた山をつくったとしても、帰るときには何もなくなっているのです」
「いつか」ではなく「今」やる
最後に「一見、目に見える物を移動させるだけの片づけですが、頭の中や心の健全さなど、目に見えないところにも良い効果を与えることができるのです」と語った小松さん。
デスク整理を「いつかやろう」と先延ばしにしていた人や、仕事効率を今よりもアップさせたい人は、ぜひご紹介したデスク整理術に取り組んでみてはいかがでしょうか。
識者プロフィール
小松易(こまつ・やすし) 日本初の「かたづけ士」。「かたづけを通じて人生を変えるコンサルティング」スッキリ・ラボ代表。経営者向けコンサルティング、企業研修、講演などを通して、これまで延べ2500人以上に指導する。テレビ出演に『ガイアの夜明け』(テレビ東京)、『めざせ!会社の星』(NHK)、『助けて!きわめびと』(NHK総合)など。著書はシリーズ累計44万部の『たった1分で人生が変わる 片づけの習慣』(中経出版)、最新刊の『コミック版 たった1分で人生が変わる 片づけの習慣』(KADOKAWA)など多数。
※この記事は2016/06/09にキャリアコンパスに掲載された記事を転載しています
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