「オンライン学習で可能性を広げる」スクー代表・森健志郎が描く壮大なイノベーションと天職の見つけ方

「学びを変えることで、ひとりでも多くの人の人生を豊かにしたい」。そんな強い思いを持って、24歳という若さで株式会社スクーを立ち上げた森健志郎さん。

「オンライン学習で可能性を広げる」スクー代表・森健志郎が描く壮大なイノベーションと天職の見つけ方

「学びを変えることで、ひとりでも多くの人の人生を豊かにしたい」。そんな強い思いを持って、24歳という若さで株式会社スクーを立ち上げた森健志郎さん。

彼が思い描く壮大なイノベーションは、教育業界だけにとどまりません。自分は一体どんな適性を持って生まれ、どうやってその適性を伸ばしていくのか。そして自分がもっとも輝ける天職とどうやって出会うのか。

そんな悩みを抱えている方に、ぜひ参考にしていただきたいアドバイスがいっぱいです。きっと、まだ表に出ていない自分自身の可能性を探るヒントになるはず。

オンライン教育への絶望からスクーを立ち上げた


大学卒業後、新卒でリクルートに入社し、不動産領域の広告制作のディレクターを務めていた森さん。順調に仕事をこなしていたものの、入社2年目の終わりに絶望を感じるような出来事に遭遇したそうです。それは森さんが研修でeラーニングのプログラムを受けたときのことでした。

「マネージメント10時間のプログラムを動画で受けたのですが、再生した途端、絶望感に襲われました。中年の男性がカメラ目線で一方的に話をしているだけで、まったく面白味がない。『この産業、終わってるな…』とそのとき、心から思いました。学びたい領域のプログラムだったにもかかわらずコンテンツの内容に満足できなくて、最終的に早送りで見てレポートを提出してしまったんです」

そして、驚くことにその翌日、森さんは会社に退職届を提出。そのとき、迷いは一切なかったと言います。

「オンライン教育産業の実態を知って、『自分ならもっと別のやり方で、いいものができる』という確信があったので、何のちゅうちょもなく辞めたいと上司に伝えました。ちょうど東日本大震災があったタイミングで、広告制作がすべてストップしていて仕事がヒマだったことも手伝って、最終的に上司と相談した上で、半年間は引継ぎ期間として残りました」

その引継ぎ期間に起業の準備を進め、退職後、ひとりで会社を創業した森さん。立ち上げたばかりのころは生活が苦しく、なんとアメだけで3日間過ごしたこともあったのだとか。その後、投資家からの資金援助を受け、順調に規模を拡大していきます。自分より優秀な人材を採用しながら、「体験」と「コンテンツの質と量」を上げることにより、サービスの価値を高めていったそうです。

究極の理想はイーロン・マスクがつくった資本主義の世界


現在、50人ほどの従業員を抱えるまでに成長したスクー。事業を拡大させるために、森さんは「モチベーション」に重点を置いた採用を行ったといいます。

「採用基準は局面によって変わりますが、初期のころは『モチベーションの内燃機関(※)を持っているかどうか』を一番の基準としていました。僕は世の中には2タイプの人が存在すると思っていて、ひとつは周りの環境や他人の言動からモチベーションを受け取っている人、もうひとつは明確な意義を持って物事に挑み、モチベーションを自ら生成して、周囲にポジティブな影響を与えられる人。

※燃焼ガスを動作ガスとして熱エネルギーを機械的エネルギーに変える原動機のこと。
うちでは後者のタイプであるかどうかを重要視しています。何を成し遂げたくてスクーに来たのか、どんなに大変なことがあっても自分が目指すもののために最後までがんばれるのか。僕は現在、最終面接しか担当していないので、最後にその“覚悟”を確認して『やりきれます』っていう言葉が聞ければOKします。逆に言い切れなかったときは、その場で採用可否を決めるのではなく人事に突き返したことがありました」

使命感を持ってスクーを立ち上げ、熱心に仕事に打ち込む森さんは、スクーの社長の座にこだわっているわけではなく、いずれ代表を譲ることも手段のひとつだと考えているとのこと。人と社会の問題が入り組んでいる世の中を変えたいと思い、その仕組みをつくる側に回りたいと話します。

「仮に社長を譲ったとしても、やるべきことは変わりません。そのほうがスクーという枠組みをもっと拡張させることもできるかなって。アメリカの起業家であるイーロン・マスクは、宇宙船と電気自動車と太陽光発電を扱う3つの別会社を経営しているのですが、結局どれも人類の絶滅を救うために必要な事業であって、すべて連携しているんです。

3社は同じ工場でパーツを作ることで原価率を下げたり、取締役が一部重複していたりしますが、それはイーロン・マスクが「描く構想」を実現するための最適な手段をとっているだけ。世の中を良くするためのひとつの機能としてスクーが必要で、今後世界が広がっていったときは新たな会社を創業して、スクーと連結させてシナジーを生むというような、そういった単位で物事を考えたいと思っています」

オンライン動画は「人生を豊かにする」ひとつの手段

 


スクーはオンライン学習を事業の軸としていますが、森さんがもっとも興味があるのは「人間そのもの」。教育や学習は人生を豊かにするためにあり、さらに人の可能性を最大限に開花させるにはオンラインが必要だと話してくれました。

「今、営業職に就いている人でも、実はものすごいエンジニアになれる可能性があるかもしれません。ただ、今の教育のままでは、それに気づくことが難しい状況です。なぜかというと、向き不向きの基準がすごく曖昧だから。テストの点数が良かったとか、先生に褒められたとか、それって本当に信用できるソースだとは思えないんですよね。たまたまいい先生だったから成績が良かっただけかもしれないし。

そうやって可能性を殺しているのはあまりにもったいないなって。自分の特性を知って最適な方法で学んでピッタリの場所に就労すれば、人生が飛躍的に変わるかもしれないですよね。それらをきちんと分析するにはインターネットを経由する必要があるので、スクーはオンラインに特化しているんです」

将来的に自分の特性を明確に把握できるようになれば、未来の選択肢は大きく広がるのかもしれません。とはいえ、今現在、向いていることが分からない人はどうしたらいいのでしょうか? 森さんは「それなら好き・嫌いで選んでもいいのでは」とアドバイスをくれました。

「先述したとおり、今はまだ向き不向きの基準はどうしても曖昧だと思います。それなら、好きか嫌いかで選んでもいいんじゃないかなと。ただ、自分にピッタリの領域を自覚できれば、自然とやりたくなるものなんじゃないでしょうか。だから尊敬する上司や先輩などにアドバイスをもらって、自分に向いていると言ってもらえたら、それに挑戦するのもアリですよね」

辞めたいなら辞めればいい、周囲を気にせず意思決定を


さらに、現在の仕事に不満を持っている人へのアドバイスをお願いしたところ、「辞めたらいいんじゃないですか?」と明快な回答を寄せてくれました。

「本気でその仕事が嫌だと思っているなら、すでに辞めていると思うんですよね。辞めていない人は必ず何かしらの『辞めない理由』があるはず。そこが本質なので、もし生活のためだと言うなら『いくら稼げば生活できるのか』を割り出して、それが20万なら、給料が20万円以上で気になる会社をピックアップして転職活動をすればいいし、まだ会社に恩返しができていないと思うなら、『恩返しできるまでにどのくらいの期間がかかるのか』を想定して、その期間は続ければいい。

転職を重ねたら採用に不利になるんじゃないかとか、周りからどう見られるかとか、いろんな不安があるかもしれませんが、中途採用をする側からいえば30過ぎまで1社しか勤めていない人にも怖さがありますけどね。そこで活躍できても、他の環境で活躍できるかなんて分からないじゃないですか。あと周りの意見はあまり気にしないこと。人の評価は移ろいやすいものだし、僕自身も昔から気にしていませんでした。とにかく何もしないで管を巻いている時間が一番もったいないですよ。自分の人生がもっとも貴重な資源なので」

また、直近のスクーの展望としては「採用活動をスピードアップさせながら、カリキュラムの内容をより充実させていくこと」と森さん。

「目先の課題は、事業やサービスが伸びているので人が足りていないということですね。とはいえ、うちにフィットする人材でなければ意味がないので、採用へのこだわりはそのままにスピードアップを図ります。

同時にカリキュラムの拡張にも、引き続き取り組むつもりです。今現在は、もっとも未知で、1秒あたりの情報量が高いのは動画だと思うので、動画を使いこなすことが学習効率を上げる最適な方法だと考えています。でも、世の中でもっとも優れている学習手段が『動画』ではないものに変わるときがきたら、僕らは即座に方向転換します。『ひとりでも多くの人の人生を豊かにする』それがスクーの一番の目的であり、僕がかなえたい野望ですから」

まとめ


教育革命の先にある前向きな未来を見据え、一歩一歩、確実に歩みを進めるスクー。今後の動きからも目が離せません。若手ビジネスパーソンの皆さん、今の職業は本当に自分に向いている職業なのか、何か別の可能性を秘めているのではないのか、いま一度、振り返ってみてもいいかもしれません。人生は一度きり。限られた時間のなかで、ひとつでも多くの可能性にチャレンジしてみてはいかがでしょうか?


識者プロフィール
森健志郎(もり・けんしろう) 株式会社スクー 代表取締役社長。1986年大阪生まれ。2009年近畿大学経営学部卒業後、株式会社リクルート、リクルートメディアコミュニケーションズで、広告営業・企画制作に従事。2011年10月株式会社スクーを設立。株式会社スクーオフィシャルホームページ Web業界で働くためのオンライン動画学習サービス「schoo WEB-campus

※この記事は2016/08/29にキャリアコンパスに掲載された記事を転載しています。

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