もう初詣には行かれましたか?
警察庁発表のデータでは、初詣で日本全国の主な神社・仏閣には、合計で9818万人も人出があったとか。つまり、日本の人口(1億2768万人)の約77%にあたります。数日の間にこれだけ多くの人が集まる場所というのは、お正月の神社・仏閣の他にはないのでは?と驚きつつ、ちょっと気になることが…。
それは、お正月に多くの参拝客でにぎわう神社のビジネスモデルってどうなっているのか?ということ。他にも、お正月に働いている宮司さんや神主さんは、普段は何をして稼いでいるのかなど、実はあまり知られていないけど興味が湧いてくる点がたくさんありますよね。そこで、今回は神社経営の内情を、実際に神主さんに伺ってきました。
「神社も会社の経営と似ていますよ」
すると、最初からこんな言葉が! つまり、神社もマーケティングをして売上を上げているということでしょうか。そこで、神社の経営を「マーケティングの4P」を活用してご紹介すると以下のようになるそうです。
1.製品(Product)
まずは神社を利用する人をお客さまと考えると、その顧客価値にあたる製品・商品・サービスとは。
・祈祷(きとう)料
・おさい銭
・お守り、絵馬などの物販
・おみくじ
・駐車場や貸家、披露宴会場、宝物館など(土地のある神社の場合)
・氏子会費
・寄付、神社へのお札
・神社本庁からの交付金 など
*厳密には、これらは製品・商品・サービスとは呼びません
遷宮などを行う伊勢神宮は、全国の神社からの奉納金が神社庁経由で入ってくるなど、神社の規模によっても収入源は違うようです。
2.価格(Price)
では、それぞれの価格設定はどのようになっているのでしょうか?神主さんに聞いてみたところ、以下のような返答がありました。
「神社によって違います。私たちの場合は、例えば祈祷(きとう)料は基本1万円から、車のおはらいは5,000円からです。「から」というのがポイントかもしれません。参拝される方によっては2万円だったり、10万円だったりします」
他にも、お守り・絵馬などは300円~1,500円くらい、お札は700円~1,000円程度、おみくじは100円程度ですが神職が一人ずつひく特別なものは300円など、神社によっても違うそうです。
また、気になるのが初詣のおさい銭の金額。「ウェザーニュース2011年 年始アンケート調査結果」によると、地域によってばらつきはありますが、全国平均1人149.3円。単純計算ですが、お正月の三が日だけで319万人(都道府県警察2009年調べ)の参拝者が訪れる明治神宮は、おさい銭だけで約4億7600万円の収入があることになります。
お正月の三が日だけで…これに、おみくじや絵馬などの物販も含めると、とても大きなお金が動いていることが分かりますね。他にも、氏子数が多いと会費やお札収入が増え、その地域に企業がたくさんあれば寄付による収入が増えます。もし土地を多く持っていれば、借地料・駐車場料や結婚式(相場は10万円)などもあるそうです。神社の経営を支える収入源はとても多いんですね。
3.流通(Place)
販売する場所・流通チャネルは、そもそもその土地に昔からある神社が多いため、流通戦略などを検討することはあまりないそうです。例えば、お守りなどをECサイトを使って販売することは?と聞いたところ「インターネットでの物販はNG、神社本庁からおたっしが出ています」とのこと。あくまで宗教活動なので、「営業」という言葉をあまり使わないのもこの業界の特徴かもしれません。
4.プロモーション(Promotion)
年末年始、テレビでは初詣のCMが流れ、電車内のポスターでも「初詣には◯◯神社へ」といった広告が目立ちますよね。そこで宣伝・販促活動はどうしていますか?と聞いたところ、神社によってさまざまとの答えが。
「地区神社はあまり宣伝活動をしませんが、大きい神社は初詣、七五三、結婚式などの広告を出します。また、何年かに一度行われる式年大祭などは大きく宣伝をします。先日の伊勢神宮遷宮、出雲大社遷宮などが有名ですね」
他にも、一年間のカレンダーでみると、二月は節分、十一月は七五三、その他、神社で決めている例祭日、結婚式、初宮参り、交通安全(車のおはらい)などの行事ごとにプロモーションを実施することがあるそうです。
なるほど、神社も会社経営と同じような点が多く、マーケティングをうまく行えば収入も増える図式がありそうですね。皆さんも初詣に行かれる際には、注目してみては!?
関連リンク
ウェザーニュースの2011年 年始アンケート調査結果
明治神宮他 初詣参拝者数の多い寺社TOP10の御本尊・御祭神
※この記事は2014/01/01にキャリアコンパスに掲載された記事を転載しています。
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