メールだって印象が大事! 基礎から学ぶビジネスメール塾 第一回 相手に気持ちが伝わる「お詫び」のメール

仕事でミスをしてしまった時などに送る「お詫び」のメール。早急に謝罪の気持ちを相手に伝えられることが大きなメリットですが、書き方が分からず対応が遅れてしまっては意味がありません。そこで今回は、「お詫びメール」の書き方について紹介します。

メールだって印象が大事! 基礎から学ぶビジネスメール塾 第一回 相手に気持ちが伝わる「お詫び」のメール

仕事上において、メールはクライアントや上司、そのほか多くの相手との大事なコミュニケーション手段の一つ。相手から好印象を持たれるようなメールを送ることができれば、きっと仕事をスムーズに進められる助けになるはず。

そこで、新年よりあらためて、20代のビジネスパーソンが身に付けておくべき、ビジネスメールの基本について学んでいきませんか? 毎月、仕事で使えるシーン別にポイントやコツをお伝えします。

第1回は、一般社団法人日本ビジネスメール協会代表理事の平野友朗さんに、「好印象を与えるお詫びメール」の書き方を解説していただきました。

お詫びは“速やかに”が基本!


こんな経験はありませんか? 送付する資料を間違えてしまった、添付ファイルを付け忘れてしまった、提出期限を守れなかった、納品が遅れてしまった、商品が破損していた、支払いが遅れた、相手に損害を与えてしまった……。

このように、仕事の中ではさまざまな場面で謝罪やお詫びをすることがあります。

特に20代であれば、経験が浅く業務に不慣れなことも多々あり、軽度なミスから重度なミスまで、日々お詫びをする場面があるという人もいるのではないでしょうか。

どのような内容であってもこちらに非がある場合は、ミスに気付いた瞬間、間をあけずに速やかにお詫びをするのがベスト。時間が経てば経つほど相手からの印象は悪くなってしまい、速やかに解決できるはずだった問題が大ごとになってしまうことも……。

ちょっとしたミスであっても、それが理由で失ってしまった信用を回復するのは至難のわざ。後回しにすれば、その分だけ事態の収束を図るために時間や労力もかかることでしょう。それぐらい、お詫びはスピード感を重要とするものなのです。

お詫びはメールで? それとも電話で?


一刻も早くお詫びの言葉を伝えたい。だったら素早くメールを送ることでなんとかなるのでは? そう思う方もいるかもしれません。

確かに、メールは時間や距離を問わず送ることができて、相手にすぐ届くものですが、メールを送ったからといって相手がすぐに読むとは限りません。ですから、この考え方は非常に危険ともいえます。

何より、メールは受け取った相手がどう感じるかを推測して用いることが重要。重大な事案に対してのお詫びが一通のメールのみだったら、相手によっては「誠意が見えない」「メールで済ませるなんて非常識だ」と感じるかもしれません。メールは手軽に使えるコミュニケーション手段であるため、場合によってはメールを使うことが相手や事態を軽く見ていると解釈される可能性があるのです。

相手にきちんと気持ちを伝えたい場合は、まず、相手の立場に立ち、伝える手段は何が最適か、どの手段であれば反省の気持ちと誠意が伝わるかを考えます。重大なミスについてのお詫びであれば、メールよりも電話が好ましいといえるでしょう。相手が普段から電話を重視しているならなおさらです。場合によっては、電話をかけて面会の約束を交わし、お会いしてお詫びをしたほうがよいこともあります。

電話だとこちらの誠意が伝わりやすく、とっさの質問にも答えやすいので、相手が怒っているのか、許してくれているのか、今後どのような対応をすべきかなど、判断もしやすいでしょう。

しかし、電話をしても不在だった場合、まずはメールでお詫びをするケースもあり、軽度なお詫びであればメールを使うことも一般的です。

発生した事案、相手との関係、置かれている状況を鑑みた上で、メールで謝罪する判断をしたら、その場面に合ったメールの内容でお詫びをしましょう。

お詫びメールを送るときの注意点


お詫びのメールを書くことになったとき、「どう書いたらいいんだろう」とインターネットでテンプレートを探す方も多いはず。テンプレートを参考にすることは問題ありませんが、よくある一般的なテンプレートをそっくりそのまま使ってしまうと文章が状況にそぐわないことがあります。

さらには「普段使っている言葉とまるで違うから、気持ちが感じられない」「本人が書いていないのでは」と、かえって相手が気分を害する可能性も……。

例えば、許しを請うフレーズの「ご寛恕を請いたく存じます」という表現も、普段のメールでは使用しないため相手が違和感を覚えることがあります。違和感を与えると、お詫びの気持ちが伝わらなくなってしまうので、テンプレートを使う場合でも最低限、その場面に合うようにアレンジする力が不可欠です。

お詫びの論点を明確に伝えるフレーズ一覧


お詫びのメールを送るときに重要なのは「何を論点にするのか」。論点によって使うフレーズが変わります。その論点とフレーズを一覧でご紹介しましょう。


●迷惑をかけたことをお詫びする

ご迷惑をおかけし、申し訳ありません。

ご迷惑をおかけしたことを心からお詫びいたします。

●心配をかけたことをお詫びする

ご心配をおかけし、申し訳ありません。

●気分を害したことをお詫びする

不愉快に思われたことと存じます。申し訳ありません。

●期待通りの働きができなかったことをお詫びする

ご期待に沿えず、申し訳ありません。

●事象に対してお詫びする

間違った資料をお送りしてしまい、大変申し訳ありません。



これらは、仕事でよくある「お詫びシーン」で実際にメールを送る際に使うことの多いフレーズの一例です。状況に応じて修正するなど調整して使いましょう。

ポイントを押さえて送る「お詫びメール」の構成


お詫びメールといっても、ビジネスメールの基本の型に従うことは通常のメールと同じです。以下のポイントに則って書くことで、読みやすく、分かりやすいメールに整います。お詫びメールでは、次の内容に意識して相手に必要な情報を伝えるようにしましょう。

件名のポイント

○○○○のお詫び



新規でメールを作成する場合、件名は「○○のお詫び」と、用件を丁寧に書きます。通常、相手からのメールに返信するときは件名を書き換えませんが、苦情内容が件名に書かれているときなどは書き換えたほうが印象はよいでしょう。

構成から考える、本文のポイント

1.あいさつ・お詫び

2.現状(何に対するお詫びか、今どのような状況か)

3.現在の対応(どのように対応したか)

4.原因・理由(なぜ、このようなことが起きたのか)

5.今後の対応(再発防止策、次の行動)

 

1.あいさつ・お詫び


お詫びの言葉もなく説明を始めると、唐突感があり無責任な印象を与え、相手の気分を害することにもつながりかねません。「大変申し訳ございません」「ご迷惑をおかけいたしました」など丁重なあいさつから書き始めます。

2.現状(何に対するお詫びか。今どのような状況か)


お詫びの論点を明確にし、言い訳や責任転嫁をせず現状を伝えましょう。状況を互いに正確に把握することで誤解を防ぎます。

3.現在の対応(どのように対応したか)


問題への対応状況、事態の収束に向けて動いていることを伝えます。

4.原因・理由(なぜ、このようなことが起きたのか)


問題が発生した原因や理由を正確に伝えることで誠実な姿勢を示し、相手の疑問や不安を払拭(ふっしょく)します。

5.今後の対応(再発防止策や次の行動)


再発防止への取り組みを示し、さらに再発防止を誓います。再度、電話をかけるなど連絡をする場合は、いつ連絡をするか目安を伝えましょう。内容によっては、最後にもう一度、お詫びの言葉を述べます。お詫びの目的は相手に納得してもらうこと。印象よくメールを締めましょう。

相手が知りたいのはお詫びの気持ちはもちろんのこと、何が起きているのか、どのように解決してくれるのかということです。そのため、こちらの伝えたいことだけではなく、相手が聞きたいことを網羅して言葉に落とすことが大切だといえるでしょう。

まとめ


普段のメール以上に気を使う、お詫びのメール。どのように書こうと悩んで時間がかかり、対応が遅れてしまうことも珍しくはありません。

しかし、使い方とちょっとしたコツを身に付けるだけでメールの印象は劇的に変わり、対応次第ではピンチをチャンスに変えることもできるでしょう。

メールは送り手のコミュニケーションの姿勢や仕事への責任感、ビジネススキルなど、さまざまな要素が反映されるもの。お詫びメールに関していうと、あらためてそれらが問われるときでもあります。そのときになって慌てることがないよう、まずは基本をしっかり押さえておきましょう。


(寄稿:平野友朗/編集:東京通信社)

識者プロフィール


平野友朗(ひらの・ともあき)
一般社団法人日本ビジネスメール協会代表理事。株式会社アイ・コミュニケーション代表取締役。ビジネスメール教育の第一人者。メールマナーに関するメディア掲載1000回以上。メールスキル向上指導、メールのルール策定、メールの効率化による業務改善や生産性向上などを手がける。官公庁や企業などへのコンサルティングや講演、研修は年間120回を超える。著書は『仕事が速い人はどんなメールを書いているのか』(文響社)など26冊。

※この記事は2018/01/10にキャリアコンパスに掲載された記事を転載しています。

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