自家用車にキャタピラーをつけて走ったり、動かなくなったバイクの廃材を使って新たな乗り物を作ったり、さらにはジェットエンジンまで作る。
これらはどこかの企業の話ではなく、作り手は普通の20代。その人こそが群馬県に住むYouTuberのGUNMA-17さん(25歳)です。
クラフトマンシップ溢れる熱意と見る人を惹きつける映画のような動画作りで多くのファンを獲得し、YouTubeのチャンネル登録数は16万人(2018年4月時)。
今回はGUNMA-17さんがモノづくりを始めたきっかけ、現在のライフスタイルを少しだけ覗かせていただきました。
モノづくりのきっかけは「ターミネーター2」
―「ジェットエンジン付き自転車」や「キャタピラー付き自動車」など、いろんな乗り物や道具を自分の手で作ってしまうGUNMA-17さんですが、作ることが好きになった原体験はありましたか?
「小学生の頃から映画好きで、シュワちゃん(シュワルツェネッガー氏)に憧れていたんです。ターミネーター2の世界観が特に好きだったので、当時は映画の中に出てくる武器みたいなものを作って“ごっこ”を楽しんでいましたね(笑)」
― その頃からクリエイティブなことが好きだったのですね。
「父親の趣味が車をいじることで、幼い頃からその様子を見て育ちました。なので、少なからずとも影響は受けているかもしれません。家には工具が揃っていましたし、高校生になると自分でもバイクを買っていじって直すようになっていました」
― YouTubeへの投稿を始めたのはいつ頃からですか?
「最近まで、2年ほどスバルの工場に勤めていました。工場勤務って立ちっぱなしだし、体力的にも結構ハード。ヘトヘトな状態で仕事から帰ってきて、気分転換にYouTubeを見ていたら、たまたまイギリスのコリン・ファーズさんの動画を見つけて。『空飛ぶホバーバイク』や『世界最速のベビーカー』など、発想も技術力もぶっ飛んでいる。これ、漫画じゃなくてリアルの世界でやっているんだ!っていう衝撃を受けると同時に、元気をもらいました。
自分がYouTubeを始めたのは2016年9月から。工場の仕事をしていた時になんとなく、日記感覚で投稿し始めたんです。なので、初めは日常で起きたなんともないようなことを動画に上げていたんですが、コリンさんに感化されてされてからは僕もこんな動画やマシンを作ってみたい!と思うようになりました」
― ちなみに、コリン・ファーズさんの影響を特に受けているGUNMA-17さんの動画作品ってありますか?
「2017年1月に公開した、自動車のタイヤを戦車みたいなタイヤに付け替えた動画ですかね(上記の動画)」。お金も使いましたが、その分良い動画を作りたかったんです。そのころはまだ会社に勤めていましたが、空いた時間を全て制作と編集に注いでいました」
今のライフスタイルを築くために
― 以前は工場にお勤めだったとのことですが、動画制作に集中するために退職を?
「そうですね。工場の仕事はライン作業だったので、きっかり定時に仕事が終わるし、土日も休み。スケジュールが組みやすかったので悪くはなかったんですが……2年も同じライン作業をしていると、単調だし変化がないので飽きてしまって。
もっと自分の時間を楽しもう!と思って退職しました。昔も今もずっと実家に住んでいるし、もともとお金を使わない性格なので、少しだけど貯金はある。だから、しばらくはのんびりしながら好きなことをしようと思って。その間も動画は作り続け、今に至ります」
― 乗り物を作り上げる技術力もすごいですけど、編集やカメラワークなども凝っていますよね。どのようにこれらの技術を習得していったのでしょうか。
「乗り物を作る技術も、動画編集の技術も実は全て独学です。会社員時代は隙間時間を利用して、ネットの情報やYouTubeの動画を見て勉強しながら作っていました。もともと映画好きなせいか、『見ればスカッとできるようないい動画を作りたい!』という気持ちが強くて。
制作の手順は、まず企画のゴールを決めて、そこまでの過程を頭の中で組み立てていきます。カメラアングルやカット割も気にしますが、一番こだわるのは音楽ですね。初めに音楽を選んで、その音楽に合うように動画を作っています」
― 会社員時代に独学で学んできたことが今は仕事として役立っている。好きじゃないとできないことですよね。現在は、どんな1日を過ごしているのでしょうか?
「日によって変わりますが、会社員時代のルーチンワークをしていた頃とは違って、今は毎日違うことが楽しい。例えばですが、昨日はジェットエンジンでチャーハンを作って食べる動画を撮っていましたし(笑)。大抵は動画の撮影をしていますが、意外と時間の大半を占めるのがゴミ出しです。次に作る乗り物のアイデアを練るため、使えそうな廃材を持ってきたり、動かなくなったバイクをもらってきたりするんですが、使わないパーツや余った資材などのゴミ出しが大変なんですよね。掃除が終わって夜になったら、他のYouTubeの動画を見て、どういうものがウケるかを勉強しています」
― 作りたいものを作るために工夫していることはありますか?
「いつも考えていることは、いかに支出を減らして収入を増やすかということです。お金に余裕があれば精神的にも余裕が出る。そうすれば冷静に考えることやクリエイティブな発想を生み出すことができると思っています。
僕が作っている乗り物などは設計したり加工したり、テクニカルな作業が多く、思考を巡らせている時間が長いので知らず知らずのうちに消耗しちゃうんです。それでも日頃から、何かを作る時に力が出せるよう、精神的なケアしなくてはなりません。そうした時、お金に余裕があることは大事だなと思うんです。
お金に追われて忙しい生活じゃなければ、音楽を聴いてリラックスしたり映画を見て感動したりする時間を多くとることができます。そうしたものづくりとは関係ないところで、クリエイティブな発想が養われていくと思うので、僕にとっては大事なことです」
自分らしいライフをクリエイトする
― 会社員時代と今で変わったことはありますか?
「1ミリもないですね(笑)。でも、時間だけは自由になりました。群馬県でも僕が住んでいるところは超田舎なので、本当にやることがない。だから楽しみを自分自身で作っている感覚です。好きなことをやっているし、やりたい時にやりたいことができるし、無理な人付き合いもないのでストレスフリー。そういった意味で今の生活に点数を付けるなら100点満点!」
― 毎回見応えのある動画をアップしていますが、モチベーションになっていることはなんでしょう。
「本当に、ただ単に好きで、作ることが楽しいからやっているだけですね。率直に面白くて良い動画を作りたいという気持ちがモチベーションになっていると思います。機械いじりや動画作りへの“好き”を原動力に続けてきたから、そもそもプロのYouTuberを目指して動画をアップし始めたわけではなくて……。これからもそのスタンスは変わらないと思います」
― 今後やりたいことや目標を教えてください。
「ジェットエンジンを極めること。また、ドローンみたいに飛ぶものを作るとか、まだ誰も手をつけていないカルチャーを開拓していきたいですね。とはいえ、仕入れは大変だし時間がかかるので、何をどう作るのかゴールまでが明確に見えたら着手したいと思います。そんな感じで、今まで通り好きなことを続けてクリエイティブかつマイペースに生きていければ最高ですね」
会社員時代は空いている時間を好きなことに費やしてきたGUNMA-17さん。今では好きなことが仕事になり、毎日充実した日々を過ごしているようです。
仕事だけでなくプライベートも楽しむために、あなたもライフスタイルをDIYして自分らしく生きる方法を見つけてみませんか?
(取材・文:ケンジパーマ/編集:東京通信社)
識者プロフィール
GUNMA-17
1992年生まれ。群馬県出身。アカウントネームの「17」は群馬県を走る国道17号線から。
<YouTubeチャンネル>
https://m.youtube.com/channel/UCFtVzEblikHdro4J5HeMo4w
※この記事は2018/05/22にキャリアコンパスに掲載された記事を転載しています。
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