【中村貞裕の未来の授業Vol.3】中村式マーケティング術 -立ち読みから、流行の“最大公約数”を知る-

PROFILE 中村貞裕/1971年東京都生まれ。慶應義塾大学卒業後、伊勢丹を経て、2001年にトランジットジェネラルオフィスを設立。カフェブームの立役者としてカフェ「Sign」をはじめ、アパレルブランドのカフェや「bills」などの運営を手掛けるほか、大阪の「堂島ホテル」、「the SOHO」などホテルやオフィス、商業施設のブランディングやプロデュースなど、その仕事は多岐に渡る。8月には「bills」のハワイ進出を控えている。

【中村貞裕の未来の授業Vol.3】中村式マーケティング術 -立ち読みから、流行の“最大公約数”を知る-

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PROFILE


中村貞裕/1971年東京都生まれ。慶應義塾大学卒業後、伊勢丹を経て、2001年にトランジットジェネラルオフィスを設立。カフェブームの立役者としてカフェ「Sign」をはじめ、アパレルブランドのカフェや「bills」などの運営を手掛けるほか、大阪の「堂島ホテル」、「the SOHO」などホテルやオフィス、商業施設のブランディングやプロデュースなど、その仕事は多岐に渡る。8月には「bills」のハワイ進出を控えている。

中村貞裕の未来の授業<時間割>


1 最強ジェネラリストの生き方論 -ミーハーはスペシャリストに負けない才能?-
2 ビジネスパーソンの会社活用術 -クビになる覚悟でできることをやってみる-
3 中村式マーケティング術 -立ち読みから、流行の“最大公約数”を知る-
4 中村式人たらし術 -恋愛から学ぶビジネス人脈の作り方-

流行の最大公約数を知る


流行の映画、音楽、レストラン、アートなどのトレンド事情について知っている必要がある僕が最も大切にしているのが、情報をインプットする時間。その情報収集の主なツールは雑誌なんです。多くの人にとって、立ち読みは暇つぶしの時間だと思います。でも僕にとって立ち読みする時間は本気そのもの。例えば、打ち合わせの約束の時間の1時間前にでかけて、ありとあらゆるジャンルの雑誌を50誌くらい読み漁るんです。そうすると、“流行の最大公約数”が自然と見えてくるんです。

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仮に、一誌を熟読して「○○がブーム!」と書かれていたとしても、その雑誌がプッシュしたいだけの情報かもしれないですよね? でも、同じ情報が複数の雑誌に載っていたらその信憑性はかなり高まります。自分が見た情報源の最大公約数からブームを知っておくというのが大切なんです。海外旅行に行ったときも、自分は朝から晩まで、その土地で得られる情報をトコトン仕入れる。朝食2件、ランチ3件、お茶5件、バー2件の偵察をこなして、疲れているんだけどそこからさらにクラブを3件回る、なんてこともザラです(笑)。僕は人からよく遊んでいるように見られるし、めちゃくちゃ楽しんではいるんだけど、同時に真剣でもあるんですよ。

1を10にする仕事


僕がプロデュースした「OFFICE*」が話題になったから、カフェブームの立役者として紹介されることが多いんだけど、実際には僕は一番最初ではなく、2~3番手の人なんです。カフェに目をつけたのも駒沢公園の近くに「バワリーキッチン」ができてブーム直前というムードが漂っていると感じたから。でもどうやら世間ではブームの3番手くらいまでに滑り込めば、ブームの立役者として、認知されるようなんです。

実は日本でブームを迎えているものの多くは、欧米で流行している施設やアイディアを日本人のライフスタイルに合った形でローカライズされたものがほとんど。今注目されているシェアハウスも、元々はNYのブルックリンやロンドンのイーストエンドという都市部でも比較的家賃の安い地域でクリエイターが住むのが流行していたのを日本に持ってきただけなんです。トランジットで青梅に「the SOHO」という複合オフィスビルをプロデュースしたのも、それが日本でも流行すると直感したから。ジェネラリストである僕にとって大事なのは、ブームになるものを生み出す0から1の部分ではなく、ブームになる直前のものを「目利き」で探し出して、それを1から10にすることなんです。


~*OFFICE … トランジット初店舗の「仕事をしながらお茶ができる」というコンセプトのカフェ。オープン10周年が過ぎた今も愛され続ける、東京カフェブームの先がけとなった店。毎夜DJが入り、貸切パーティーなども行われている。

ローカライズするときは自分の陣地で


この「目利き」が上手くいっても、いかに人脈、土地勘を使って、自分の基盤となる陣地で起こすかで、ビジネスの成功失敗は大きく左右されます。僕が東京で施設をプロデュースしていることが多いのは、自分がそこに住んでいて、成功に導けるノウハウを持ったビジネスパートナーとなる人を知っているからなんです。だから、極端な話、そうしたツテが少ない大阪でビジネスを立ち上げるのは、見知らぬ海外でやるのと同じくらい難しいことなんですよ。それくらい自分の陣地でプロデュースをやるということは大事なんです。

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今度、「bills*」を8月にハワイで展開するので、今はその仕事に注力していますが、これは国内でコンテンツが育ったから。ビジネスを起こすときは、まずは自分の陣地で信頼の置けるパートナーと手を組むことが必要不可欠といえますね。

*bills …シドニーで「世界一のパンケーキ」と言われ、3店舗を展開するカジュアルダイニング。日本では、七里ヶ浜、横浜赤レンガ倉庫、お台場、表参道の計4店舗をトランジットジェネラルオフィスとサニーサイドアップが共同で展開している。

本日の授業のおさらい


1.本気でインプットして、流行の最大公約数を掴む
2.1番手じゃなくても、ブームの立役者にはなれる!
3.ビジネスを起こす時は、地元の利を活かすべし!


※この記事は2013/06/12にキャリアコンパスに掲載された記事を転載しています。

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