オフィスや家庭に向けたファイルや電子文具を製造、販売している株式会社キングジム。数々のヒット商品誕生の背景には、やはり卓越した整理術のようなものがあるのでは……!?
そんな疑問を解消すべく『"オフィスのプロ"だけが知っている キングジム 人も組織もうまくまわりだす超整理術213』の著者でもある、キングジムのファイリング研究室コンサルタント、矢次信一郎氏にお話をうかがいました。
――本日はよろしくお願いいたします。まずは矢次氏のデスクを拝見できるということで営業戦略部のオフィスにお邪魔していますが……これはすごい!余計なものがなく、かなりスッキリと整頓されておられますね!
矢次:ありがとうございます(笑)。
――周囲の方々のデスクも同じくらい綺麗ですね! キングジムの社員のみなさんは、どなたもこんなにデスクが綺麗なのでしょうか?
矢次:一概に断言はできませんが、個々人だけではなくオフィス全体で整理整頓に取り組んでおりますので、綺麗にしている人は多いと思います。
――なるほど……それでは場所を変えまして、あらためてその秘訣を教えてください。まずは個人でできる範囲で、デスクを片付けるために意識するべきことや、おすすめの手順がありましたらお願いします。
矢次:最初に机の上にあるもの、引き出しの中にあるものをすべて取り除き、箱ごとに分類しましょう。「机の上のもの」、「右上の引き出しのもの」というように、元はどこにあったものなのかは分かるようにしておいてください。そして、机を拭いて綺麗にします。
――そのまま戻してもしょうがないので、そこで不要なものを処分することになると思いますが、その判断基準や優先順位はどのようにすればよいでしょうか。
矢次:まずは私物など、仕事に関係のないものを処分しましょう。業務に関係するもののなかには、処分してよいか分からない書類などもあると思います。
そのように要・不要がすぐに判断できないものは、"見極めボックス"を用意してそこにまとめましょう。後日、あらためて必要かどうかを見極めればいいです。
――整理していると「これはあとで使えるかもしれない……」と悩んで手を止めてしまうことが多いのですが、そのように進めればいいんですね!
矢次:どれが必要でどれが不要か、すぐに全部を決めてしまう必要はありません。むしろ自分だけの判断で捨てて、あとで問題になってしまうことの方が大変ですからね。
捨てるということは、見極めるということ。少しずつ整理して、その基準を少しずつ固めていけばよいのです。
――"見極めボックス"に入れたものの見極めは、どのくらいの頻度で行うのがよいでしょうか?
矢次:まずは1週間に一度でいいと思います。できるだけ定期的に見極めなおすのがおすすめです。
――不要かもしれないものを元の場所に戻してしまうから、整理がなかなか進まなかったり、またすぐに散らかってしまったりするんですね。整理はどのくらいの頻度でしておられますか?
矢次:私は毎日、帰り際に少し整理をするようにしています。そうすれば翌朝出社したときに、綺麗なデスクで仕事を始められますから。
――とはいえ、仕事が立て込んでしまうと毎日は難しい場合もあるかもしれません……。
矢次:私もそういうときまで無理をして整理しているわけではありませんので、それは仕方のないことです。見方を変えれば「いかに(帰り際に)整理をする時間を作るか」が大事なんです。「今日はこの時間までにこの分量の仕事を終わらせる」という計画を立て、効率よくそれを実行するのみです。
そうして整理してデスクをクリアにしたら、個人のデスクに留め置くべきではない書類はオフィスで共有する"仕掛かりボックス"を用意してそこで管理したり、回覧文書や郵便物も同様に、あらかじめ決めた"メールボックス"にまとめたりと、デスクがすぐ散らかってしまわないよう努めましょう。
――効率よく仕事をすれば、デスクを整理する時間を作れる。デスクを整理しておけば、効率よく仕事ができる……。整理術をおうかがいするつもりでしたが、なんだか仕事術をうかがっているような気になってきました。こうした整理整頓目的での需要が高い御社の製品はどのあたりになりますか?
矢次:オフィスなら「キングファイル」、個人の方には「ボックスファイル」が人気ですね。どんなオフィスにもなじむ落ち着いたデザインゆえにご家庭でも変に主張をしませんので、その辺を支持していただけていると捉えています。
――それでは整理に関して、矢次氏が個人的に気に入っている製品はどれになりますか?
矢次:デジタル名刺ホルダー「ピットレック」ですね。いただいた名刺を手軽に撮影してデジタルデータで管理できるので、名刺そのものは時系列順に収納しておくだけで済むので重宝しています。
また、スマートフォンの専用アプリからラベルを作成できる「テプラ」PRO SR5500Pもよく使っています。どちらも自腹で購入して愛用しています(笑)。
――デスクを拝見したときに、オフィス全体で整理整頓に取り組んでいるとおっしゃっていましたが、そちらについてのお話もおうかがいできますか。
矢次:先ほどご覧いただいた営業部門のビルですが、実は、一時期はエレベーターホールにまで荷物があふれるくらい散らかっていたんです。
数年前の大規模な配置転換を機に「事務用品を売っているのだから、自分たちもきちんと綺麗にしておかなければ」とオフィス全体で意識をあらため、このように整頓が行き届きました。その結果、個人レベルでも片づけが促進されています。
――確かにプライベートの自室でも、一度綺麗にしたらすぐには散らかせませんよね。
矢次:その気持ちと同じですよ。ですので、いかにオフィス全体で整理整頓に取り組むかがとても大切なんです。
個人で整理をしていると、口さがない人から「あの人、整理なんかしてヒマなのかな」と思われてしまったりすることもあるかもしれませんが、オフィス全体で整理する時間や機会を設ければそんな心配とも無縁になりますし、処分してよいものの見極めもしやすい。いいことづくめですよ。
――それでは最後に、筆者のような"整理ベタ"に向けてメッセージをいただけますか。
矢次:仕事が本当に忙しいときこそ必要になるのが整理(整理整頓されたデスク)です。4月からは、新しく社会人になる方、新たな部署に配属される方、いろいろおられると思います。
動きはじめの今こそが、整理をしたり、整理する習慣を身に着けたりするチャンスです。忙しくなる前にしっかり準備しておきましょう。
――ありがとうございました!
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