間違って使ってない!? OK敬語とNG敬語の境界線 vol.2:上司も間違って使ってるかも?「拝見させていただきます」は誤り⁉ 気を付けたい二重敬語

ビジネスシーンで知らず知らずのうちに使ってしまっている「NG敬語」は少なくありません。中には、本当は誤った敬語なのに慣例的に定着しているものや、一見間違っているようでいて実は正しい敬語というものもあります。

間違って使ってない!? OK敬語とNG敬語の境界線 vol.2:上司も間違って使ってるかも?「拝見させていただきます」は誤り⁉ 気を付けたい二重敬語

ビジネスシーンで知らず知らずのうちに使ってしまっている「NG敬語」は少なくありません。中には、本当は誤った敬語なのに慣例的に定着しているものや、一見間違っているようでいて実は正しい敬語というものもあります。

第2回目の今回は、使ってしまいがちな「二重敬語」について。もしかしたらあなたの上司も誤って使っているかもしれませんが、角の立つような指摘はしないように注意して下さいね。

■バックナンバーはこちら
vol.1:上司に言ってはいけないNG敬語

過剰な敬語はかえって失礼!?「二重敬語」の落とし穴

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【敬語一覧】ビジネスで間違いやすい表現や使い方のポイントはこちらからチェック

「お越しになられる/お帰りになられる」

「お越しに(なる)」「お帰りに(なる)」は、それぞれ「来る」「帰る」の尊敬語です。そこへさらに、「なられる」という尊敬語を付けることにより、二重敬語になります。正しくは、「お越しになる」「お帰りになる」です。

「伺わせていただきます」

「伺う」は、「聞く」「伝え聞く」「尋ねる」「訪問する」「行く」の謙譲語です。「訪問する」場合に使う「伺う」は、先方が自分のために時間を割いてくれることに対しての敬意を示します。「~させていただく」も謙譲語なので、二重敬語です。

前回の復習になりますが、「お伺いする」とした場合、これも二重敬語ですが、慣例的に使われている言葉なのでセーフです。したがって、「お伺いします」というのが一般的です。

「お召し上がりになられますか?」

「召し上がる」は、「食べる」「飲む」の尊敬語です。この言葉だけで、相手への敬意を表すことができます。ですが、これに「お」「~なられる」も加わると、敬語表現が3つも重なる「三重敬語」になってしまいます。「召し上がりますか?」でOKです。

「拝見させていただきます」

「拝見」は、資料や企画書などを書いた人を立てるために使う敬語です。「見る」の謙譲語に当たります。これに「~いただく」という敬語も加わることで、二重敬語になります。最初はややぶっきらぼうに聞こえるかもしれませんが、「拝見しました」と言えば十分に敬意は伝わります。

「お承りしました」

「承りました」と言うのが自然ですね。「承る」は、「受ける」「聞く」「伝え聞く」「引き受ける」の謙譲語です。意味合いとしては、「謹んで聞く」「謹んで受ける」になります。これに「お」という丁寧語を加えると二重敬語となり、敬語としてNGです。

【番外編】実はOK敬語! 二重敬語のような「敬語連結」

「ご案内申し上げます」

二重敬語は、相手に慇懃無礼な印象を与えかねません。ですが、この言葉は二重敬語ではありません。「案内」「言う」の二語に、それぞれ謙譲語が適用されており、これは敬語として正しいです。一語に複数の敬語が使われている場合に、二重敬語となります。

「お読みになっていらっしゃる」

このように2つ以上の語を敬語にして、接続助詞である「て」でつなげた言葉は「敬語連結」と呼ばれていて、使用しても問題ありません。「お読み(に)」「なって」「いらっしゃる」と3つの敬語が並んでいますが、「て」でつながっているので、この言葉は敬語連結です。

「お聞きになってくださる」

この言葉も分けてみると、「お」「聞き(に)」「なってくださる」と、3つの敬語が使われています。ですが、接続助詞の「て」でつながっています。これにより、この言葉は敬語連結ということになります。敬語の使い方として、問題ありません。

「お越しいただく」

「お越し」は「来る」の丁寧語で、「いただく」は「~してもらう」の謙譲語に当たります。そのため、「お越しいただく」は二重敬語ではあります。ですが、ビジネスシーンでは、違和感のない敬語として広く使われており、この二重敬語はOKの範疇といえます。

とくに偉い方と話すときは、ついかしこまってしまって過度な敬語を使ってしまうことがあると思います。今回、紹介した二重敬語でもいくつか思い当たるフレーズがあったのではないでしょうか。ただし、大切なのは相手を敬う気持ち。失礼な言葉遣いになるよりは、最初は間違えてでも誠意をもって敬語を使い、正しく使いこなせるビジネスパーソンを目指しましょう。

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(プロフィール)

人財育成トレーナー
美月あきこ
CA-STYLE主宰。人財育成トレーナー。オールアバウト「ビジネスマナー」ガイド。日系・外資系双方の国際線客室乗務員の経験を活かし、人財育成会社を起業・経営。『ファーストクラスに乗る人のシンプルな習慣』など著書多数。

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