部下・後輩であってもきちんとした謝罪は必要
誰かに迷惑をかけた時や、相手を不快にさせた時は、きちんと謝罪をする。これは幼い頃から教えられてきたマナーであり「人としての基本」です。仕事だからといって上下関係を考える必要はまったくありません。
したがって、後輩であっても自分のミスで迷惑をかけたのであれば、誠意を持って謝罪するべきです。冒頭でも述べたように、後輩への謝罪はおざなりにする人が多いように感じます。ここできちんと誠意を持って対応できるかどうかで、後輩からの信頼度も上がりますし、仕事のやりやすさも大きく変わるはずです。
後輩に謝罪するときは社外がおすすめ
後輩に謝罪する時は、なるべく社内よりも社外に場を設けた方がいいでしょう。もし休憩室やオープンスペースで2人になれて話せる場合は、そこに誘ってお茶をご馳走しつつ謝罪をするのも良いかもしれません。しかし、社内では関係者の目もあるでしょうから、部下や後輩側も気が気ではないはずです。できれば関係者の少ないところで謝るようにしましょう。
具体的な場所は、部下・後輩の性格に合わせて考えてあげてください。ランチに誘って謝るのか、居酒屋でお酒を酌み交わしながら謝る方がいいのか、それとも少し落ち着いたカフェにするべきなのかを考えるのも、思いやりです。たとえ後輩相手でも、思いやりの心は忘れないようにしましょう。
後輩への謝罪に恥ずかしさやプライドが邪魔してしまう場合はどうすれば?
組織の一員として粉骨砕身働いてきた人ほど、プライドが邪魔をしたり恥ずかしさを覚えたりしてしまうのはよくあること。ただし、自分のミスで謝罪をしないといけない場合とプライドは切り離して考えなくてはいけません。
大事なのは、今後の仕事(プライベートも含む)に向けてよりよい人間関係を構築し、仕事をやりやすくすること。そのためにプライドを捨てることも、時には必要なのです。余計なプライドを簡単に捨てられるプライドを持てると、なお良いでしょう。きっと、捨てたプライドの代わりに周りとの助け合いや調和を手にすることができ仕事もよりよくなるはずです。
一方、守るべきプライドもあります。例えば、自分自身を成長させるために向上心を持つプライドなどは、人より成果を出し大きな成長へと続くため大切にするべきです。
部下や後輩に謝罪するときは、焦らず相手の気持ちに寄り添う姿勢を見せよう
ある程度一緒に仕事をしている部下や後輩に謝る場合は、その人の性格や特徴を踏まえたうえで進めていく必要があります。
例えば、怒りが収まりにくい相手の場合は、一度謝ったあとに少し時間をおいて話をするといいでしょう。相手が受け入れる態勢になるまで待つことも必要です。焦ってもいいことは一つもありません。
大切なのは、部下や後輩の気持ちに寄り添い、誠意と思いやりを持って謝罪することです。部下や後輩も学生ではないので、誠意を持って向き合う上司の姿はその目に映っているはず。きっと許してもらえるでしょう。
後輩に謝罪するからこそNGな言動は?
謝罪する内容にもよりますが、重大なミスをして後輩の残業時間を増やしたり、後輩が代わりに叱られてしまったりした時はしっかり謝る必要があります。
おそらく後輩は「自分のミスでこうなったわけじゃないのに……」と思っているはず。そんな心境の中で「あの○○の件はごめん! じゃあね!」といったような軽い言葉で謝罪し済ませてしまうのは、社会人としてマナー違反です。
後輩や部下からすれば「あなたのせいでこうなったのに、軽く謝るだけで済ませるなんて軽く見られている!」と思うでしょうし、その後の関係性は悪くなる一方です。信頼関係は崩れ去り、いままでと同じような対応はしてくれなくなるでしょう。人によっては他の上司へ告げ口され、より事態が大きくなる可能性もあります。
また謝るものの、自分のことを棚に上げて「○○さんもこういうところが悪いのでは……」と後輩への仕事の仕方に対する説教を始めるのもご法度です。相手からしてみれば「僕の仕事の仕方はいま関係ないでしょう」と思うはず。
さらに、許しを請うことばかり気にしてしまい焦るのも禁物です。焦りは苛立ちを生み、逆ギレを引き起こしかねません。部下や後輩の反応が悪かったからといって、そこを咎めるのは好ましくないことです。
上司や先輩としてどんな行動が大人の対応と言えるのか。しっかり考え、謝罪しましょう。
【監修】
桜美月●個人向け・企業向けに立ち居振る舞い・ビジネスマナーの研修を行う講師。企業での就労経験を経てビジネスマナーインストラクターの資格を取得、独立。
個々人の良さを最大限に引き出す指導・コンサルティングに力を入れており、現在も執筆、講演、監修、ラジオなどの活動を続けている。
文=トヤカン
編集=五十嵐 大+TAPE
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