電話で求められているのはあくまでも「内容」
電話のストレスに悩む人は、「上手く話さなければ」と肩に力が入り過ぎている傾向があります。一方、ビジネスにおいて電話相手が求めているのは、「どんな内容で、自分に何をしてほしいか」ということであり、話の上手さを求めている訳ではありません。つまり、電話の「話し方」にこだわっているのは自分だけで、求められているのはあくまでも「内容」なのです。まずこの事実を知るだけでも、ストレスは軽減されます。
電話での失敗を恐れる人もいると思いますが、一般的に上司は若い部下の仕事に完璧さを求めていません。若手に期待しているのは、「場の雰囲気を明るくする」などムードメーカー的な役割です。完璧な電話対応を目指すよりも、声のトーンを意識して元気よく話した方が、電話相手や社内での印象は良くなります。
各企業のトップで活躍している経営者の中にも、「電話が苦手」と若い頃に感じていた人がたくさんいます。しかし電話の失敗をネガティブに捉えず、「失敗してラッキー」「これで次は失敗しない」と前向きに捉えていました。自分が仕事で大きな責任を持つ立場になる前に、「どんどん失敗しよう」と考えていたんです。
電話応対のレベルアップ方法はRPGゲームや料理と同じ
電話のストレスを緩和するための具体的な方法としてオススメなのは、「自分に肩書を付ける」ことです。例えば、「電話チャレンジャー」「電話検定初級」などの肩書を自分に付けることで、電話に慣れていない自分を客観的に位置付けることができ、電話の緊張を和らげることができます。
肩書を付けたら、レベルアップするための目標設定を作りましょう。例えば、「10本電話をかけたらレベルアップ」「相づちを3回できたらレベルアップ」など。RPGゲームに登場する初級キャラクターのように、ゲーム感覚で電話と向き合ってみてください。1本の電話に集中し過ぎるから緊張するのであって、「回数をこなしてレベルを上げる」ことに意識を向ければ、苦手意識を克服することができます。
RPGゲームに慣れていない人は、料理を想像してみるといいかもしれません。最初は簡単に作れる料理に挑戦して、少しずつ難易度の高いレシピにも挑戦していくようなイメージです。
RPGゲームや料理に準備が必要なように、電話にも事前準備が必要です。紙とペンを用意して、話すべき内容を箇条書きでメモしておいた方が良いでしょう。慣れてくれば必要ありませんが、話す内容が明確になっていると自分の気持ちが落ち着きます。それに、電話のゴールを決めておけば、時間配分もできます。
また、「電話が鳴ると緊張する」という人もいると思いますが、相手から電話がかかってくるのは滅多にないチャンス。ピンチではなく、ビッグチャンスと捉えるようにしましょう。「災い転じて福と為す」ということわざが昔からあるように、ピンチはチャンスの元なのです。電話への考え方が変われば、見える景色が180度変わることは多々あります。
ストレスを感じさせない電話のテクニック
電話のストレスは自分だけではなく、相手も感じていることがあります。不快にさせない電話のコツはたくさんありますが、私が接してきた各企業のVIPが実践しているのは、「相手が切るまで電話を切らないこと」。通話相手の「ツーツー」という音が鳴るまでは、切るボタンを押さないのがポイントです。
また、「電話の雑談が苦手」と感じる人に、オススメの決まり文句があります。それは、「何だか緊張しますね」と自分の感情を素直に話すことです。この方法は、「電話で話すのが初めて」など関係の浅い相手に使えるテクニック。電話の最初は誰でも緊張しやすく、それは相手も同じことです。「緊張しますね」の言葉に共感が生まれ、「実は私もです」と打ち解けられます。天気の話や時事ネタよりもまずは、「自分の気持ちを素直に話す」ことが最も効果的です。
打ち解けることができたら、相手の話をしっかりと聞くようにしましょう。その際の相づちは「相手の息継ぎのタイミング」「話の切れ目」で入れるのが最適です。トークのテンポを邪魔しないので、相手は話しやすく、相づちの間に次の話題を考えることもできます。最初はタイミングを計るのが難しいかもしれませんが、意識してみるとさらにレベルアップできるのではないでしょうか。
電話に慣れることで、さまざまなビジネススキルが身につきます。コミュニケーション術はもちろん、豊かな人脈も作り出せるので、失敗を恐れずどんどんレベルアップを目指しましょう。
文=平原健士(iPPON COMPANY GROUP)
編集=野田綾子+TAPE
【監修者プロフィール】
後田良輔
ビジネス書作家、気配りコンサルタント
1972年生まれ。大手3大広告代理店に勤務し、「誰でも使える気配り術」を駆使する気配りのプロフェッショナル。これまで応対したVIPは、東証一部上場社長、世界企業のCEO、政治家、医者、弁護士、大学教授、大物俳優・女優、ミリオンセラー作家、世界No.1クリエイターなど総勢3000名を超える。この特別丁寧に接しなければならない顧客との交流で磨かれたスキルと「東京・名古屋・大阪」の現場勤務で身につけたリアルな経験を組み合わせた、独自の「誰でも使える気配り術」に定評がある。
著書に、『気配りの正解』(ダイヤモンド社)『ぶっちぎり理論38―落ちこぼれでも3秒で社内エースに変わる!』(ダイヤモンド社)他多数。新聞・雑誌でのメディア露出も多く、全国の大学や企業での講演・研修会も行っている。
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