会議が多すぎて残業時間がかさむ…そんな状況をうまく乗り越える残業回避術

会議で1週間の8割が埋まる……そんな状況が生まれてしまう環境にいると、そればかりに時間が取られて、自分が進めなければならない作業を残業してやることに…。そんな「会議多すぎ」な職場環境で、効率的に働くにはどうすれば良いのでしょうか? 不要な会議を避ける手段とは? 会議を減らし、残業時間を減らすためのコツを、働き方改革の専門家・大塚万紀子さんがご紹介します。

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働き方改革が進む中、長時間労働の原因の一つが「会議」。「自分の知らない間に会議を設定されてやるべき仕事が後回しになって残業に……」「一言も発言を求められずに終わった……この会議は意味があったのだろうか」と思い悩む機会もあるのではないでしょうか。会議を工夫することでもっと生産性の高い働き方が手に入るはず。では、どのような工夫があるのか、考えてみましょう。

会議の工夫には大きく3つのテーマがあります。それは①会議時間の「見える化」で負担感を共有すること②会議時間を短くすること③会議をスムーズに断る・減らすこと、です。

①会議時間の「見える化」で負担感を共有し、残業時間を減らす!

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会議が仕事の負担になっていると思っても、感覚的な情報では上司に会議の工夫を相談する材料としては不十分です。そこで会議時間を「見える化」してみましょう。

おすすめの方法は、「朝メール・夜メール」。仕事開始時に1日の予定を立て、仕事終了時に予定通りに進んだか振り返り、それぞれをメールで上司に毎日送る、というものです。予定を立てるときには所要時間や優先順位を意識するのを忘れずに、振り返るときには延長した仕事の種類、延長時間、延長理由といった視点で見てみましょう。

例えば、ある30代の営業マンAさんは朝の時点では会議の予定は1時間のみでした。ところが、退勤時に振り返ると会議は1.5時間に延長、予定していなかった突発的な会議が2時間発生しており、1日で見ると予定よりも2.5時間も延びていることが分かったのです。しかも、1週間単位では自分の仕事のなんと6割は社内の会議で占められていることが明らかになりました。

このように実態が把握できると、対策も打ちやすくなります。Aさんのケースでは、会議の延長防止と社内会議の削減に取り組み、次に突発的な会議の削減へ移行しました。また、上司もAさんの会議の状況を正確に把握でき、会議時間の削減などに協力してくれるようになったそうです。

②会議時間を短くして残業時間を減らす!

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会議時間そのものを短くするための工夫も重要です。コストがかからず、しかも今すぐにできて、大変効果的な方法が「大きくうなずきながら話を聞く」こと。会議が長くなるのは、話し手が「聞き手に内容が伝わっていないのではないか」と思い、何度も同じ話をしてしまうことにも原因があります。聞き手がうなずくことで「伝わっている」という安心感を得られ、話し手は次の話題に移ることができます。

もっとも、「話し手が、何を伝えたいのか分からない」という場合もあります。そんなときは「ここまでは理解できたのですが、ここから先をもう一度ご説明いただけませんか」と、どこまで分かったかを具体的に伝えてみましょう。「何も伝わっていないのかも…」と話し手が不安になると、再度冒頭から説明し直さなければ、と思ってしまって、結果的に説明が冗長になります。聞き手であるあなたが分かったところ・分からないところを具体的に明示することで、話し手にはあなたが欲しい情報だけを丁寧に説明してもらうことができます。

会議時間が延長してしまう場合は、聞き手にも工夫できる余地がたくさんある、ということですね。

③会議をスムーズに断る・減らすことで残業時間を減らす!

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会議の数そのものも減らしたいですよね。「仕事が終わっていないので会議に出られません」と伝えるより、スマートに会議を断りたいものです。

そこでご紹介したい簡単な方法が2つ。「会議以外の予定も共有カレンダーに記載する」「会議に召集されたらすかさず内容と自分の役割を聞いて、事前に回答してしまう」です。

みなさんは共有カレンダーに会議やお客様との打ち合わせ予定のみを登録していませんか? 会議には事前準備や事後フォローなどが関連業務として発生します。会議以外にも資料作成の時間や経費精算といった事務もあるはず。これらすべての業務をあらかじめカレンダーに記載しておくことで「火曜日15時~17時ならば空いている」などあなたが会議に使える時間を周囲の人に共有できます。

また、会議日までその会議にまつわる業務を行ってはならないというルールはありません。招集された段階であなたの役割を招集者に確認することで事前準備が進めやすくなりますし、役割に納得がいかなければ詳細を尋ねることもできます。会議開催日を待たずに資料を提出し、会議には参加せずとも役割が果たせる場合もあるでしょう。会議は始まる前の準備が肝心なのです。

自身の働く時間をきちんと把握し、上司も満足できる残業回避術を身に付けましょう!

この他にも、会議内容の質を向上する工夫(「空中戦から地上戦へ」など)もありますが、それはまた別の機会にご紹介します。会議はうまく活用すれば新しいアイデアが集まり、価値を生み出せる貴重な機会となります。あなたが会議のプロになり、組織全体の会議を変革していきましょう!

文=大塚万紀子
編集=矢澤拓

【プロフィール】
大塚万紀子
楽天を経て06年(株)ワーク・ライフバランスを小室淑恵とともに創業。高いコミュニケーション力やコーチングスキルを活かし売上利益に貢献する働き方改革コンサルティングの先駆者。心理学や組織論等をもとに多様性をイノベーションにつなげることが得意。経営者から”深層心理まで理解し寄り添いながらも背中を押してくれる良き伴走者”と厚い信頼を得る。農林水産省「食品産業戦略会議」委員(働き方改革分野担当)なども担当。二児の母。

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