- 20~30代が抱える職場でのコミュニケーションの悩みとは?
- コミュニケーションがうまくいかない原因は「会話のズレ」にある?
- 会話のズレ度をチェックしてみよう!
- 会話のズレが生まれてしまう原因は?
- 会話のズレをなくすと仕事でこんなメリットが!
- 会話のズレを正す解決策とは?
- まとめ
20~30代が抱える職場でのコミュニケーションの悩みとは?
職場でのコミュニケーションに苦手意識を持つ20~30代は少なくないようです。具体的にどのような悩みを抱えているのでしょうか。
「若い人が抱えやすい悩みとしては、上司とのコミュニケーションが挙げられます。私に寄せられる悩みで多いのは、上司の指示が抽象的でわからない、勘違いされてしまうことが多い、何を期待されているのかわからない、一生懸命やっているのに評価されないといった声です。
こうした悩みは、世代による違いも影響しているかもしれません。昭和世代は、上司の指示がよくわからなくても、まずはやってみて、失敗して、ダメ出しをされるなかで鍛えられてきた人が多い。一方、今の若い世代はタイパ重視とも言われるように、『早く結果を出したい』と望む傾向があります。どう理解すればよいかわからない言い方をされると、ストレスを感じやすいようです」(横山さん・以下同)
コミュニケーションがうまくいかない原因は「会話のズレ」にある?
このように、職場でのコミュニケーションがうまくいかない要因として、横山さんが指摘するのが「会話のズレ」です。
「会話のズレとは、会話が噛み合わず認識のズレが生じること。このズレは、正しい情報が伝わらない『機能的なズレ』と、気持ちや期待の度合いが伝わらない『情緒的なズレ』の2つに分けられます。」
機能的なズレとは?
「機能的なズレは、建物の設計に喩えるとわかりやすいでしょう。例えば、施主さんは『リビングに階段がある家』を希望したつもりでしたが、建築士は『リビングの外に階段が位置する家』の設計図を提示してきた、という場合。施主の要望が正しく伝わらず、建築士との間に生じたこの齟齬が機能的なズレです」
情緒的なズレとは?
「一方、情緒的なズレというのは、言葉の解釈に関わります。例えば、上司から『新規開拓は“しっかり”お願いね』と言われたとします。部下はこれまでも“しっかり”やってきたつもりだったので、月間30件の訪問数をキープしつつ、頑張ってさらに5件増やした。それなのに、上司からは怒られてしまった。なぜなら上司の“しっかり”は、訪問数を1.5倍近くまで増やすことだったからです。このように、情緒的なズレは言葉の受け止め方の違いによって発生します。
こうした会話のズレの仕組みを理解できれば、話し方や聞き方を工夫することでズレは解消していくことができます」
【曖昧な指示をするとこんな「認識ズレ」が起こります】
出典:横山信弘『キミが信頼されないのは話が「ズレてる」だけなんだ』(すばる舎)/©りゃんよ
会話のズレ度をチェックしてみよう!
会話のズレは自分ではなかなか気づきにくいもの。次のようなことをよく言われる場合、会話がズレている可能性があるかもしれません。身に覚えがないかチェックしてみましょう。
□「あの件、どうなった?」と確認される
□「ちゃんと話聞いてる?」と心配される
□「それは自分で聞いてくれないか」と、相手から避けられる
□「ま、それはおいといて……」と、話している途中で遮られる
□「がんばっているのは認めるけど」と言われ、なかなか評価してもらえない
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会話のズレが生まれてしまう原因は?
そもそも会話のズレはなぜ発生してしまうのでしょうか。横山さんは、多くの人がぼんやりと話しているからだと指摘します。
「多くの人は、曖昧な表現や抽象的な言葉を使ったり、言葉を省略したりしながら話します。例えば、『PDCAを回せ』『当事者意識を持て』と言う上司に、『それって具体的にどういうことですか?』と質問すると、きちんと答えられないなんていうことは多々あるんです。
言うべきことを伝えきれず、言った本人でさえ自分の言葉が意味するところをはっきり説明できないことも多い。上司や先輩から仕事を頼まれる機会が多い若い人たちは特に、ぼんやりと話をされたとき、自らの責任でズレをなくす努力が求められます。なかでも次の3つの行動は、会話のズレを招きやすいので注意しましょう」
反射的に返事をしてしまう
「例えば、上司や取引先の指示に対し、内容が理解できていないにもかかわらず、反射的に『わかりました』と答えてしまった経験はありませんか。一度答えると確認するタイミングを逃し、何か問題が起きてから『わかっていませんでした』と謝ることになりかねません。反射的に返事をする前に、本当に理解できたのか立ち止まって考えてみましょう」
思い込みで物事を進めてしまう
「反射的ではなく、先入観から『わかりました』と返事をしてしまうこともあります。例えば、上司から『“ホウレンソウ”はしっかりね』と言われたときに、自分としては“報告”と“連絡”はできているつもりだから、“相談”のことを言っているのだろうと勝手に思い込んでしまう、といったケースです。わかったつもりになっているために、その場でズレを補正しづらいことが思い込みの厄介なところです」
知識不足のまま話を聞いてしまう
「新しい言葉が次々に登場していることに加え、職場や業種ならではの用語や略語も存在します。言葉を知らなければそもそも話が通じませんし、知識不足だと聞き間違いも起こりやすくなります。知らない言葉に出くわしたらまずは自分で調べたり、素直に質問してみたりすることが大切です」
【「会話のズレ」の原因は反射・思い込み・知識不足の3パターン】
出典:横山信弘『キミが信頼されないのは話が「ズレてる」だけなんだ』(すばる舎)/©りゃんよ
会話のズレをなくすと仕事でこんなメリットが!
ここまで、会話のズレが起こるメカニズムを解説してきましたが、会話のズレをなくすとビジネス上でどのようなメリットがあるのでしょうか。
上司や同僚から信頼を得られる
「会話のズレをなくすと『この人はちゃんとわかってくれている』と評価され、相手からの信頼につながります。信頼関係を築くことができれば、上司や同僚は気持ちよく仕事を頼めるようになり、自分自身も仕事がやりやすくなる。『働く』とは、『傍(はた)を楽(らく)にさせる』ことだとも言われますが、ミスコミュニケーションを減らすことはまさに、周囲の負荷やストレスを軽減することに直結するのです」
取引先との関係性を築きやすくなる
「同じことは、取引先にも言えます。取引先との信頼関係ができれば、継続的なお付き合いが可能になります。特にお客様のもとに売り込みに行く営業は歓迎されにくいものですが、会話のズレをなくし、『この人と話していると頭が整理されるな』『新しいアイデアが思い浮かんできた』と感じてもらえれば、営業としての評価にもつながります」
仕事がうまく回って楽しく働ける
「円滑なコミュニケーションができるようになると、短い会話でもすぐにお互いの考えが理解できるようになり、作業効率が上がって生産性も向上します。結果が伴うことによって仕事に対する自信を持てるようになり、モチベーションが上がって楽しく働くことができるようにもなります」
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会話のズレを正す解決策とは?
実際に会話のズレを正すには、どのような方法があるのでしょうか。「話し方」「聞き方」「質問の仕方」の3つに分けて解説します。
話し方を意識する
-“丁寧に話す”を基本に、対面とメールを使い分ける
「喋りのうまさというのは、実はビジネスにおいて本質的なスキルではありません。大事なのは、コミュニケーションスキルを上げることよりも、いかにミスコミュニケーションをなくすかです。
話し方の基本は、漏れなく、細かく、丁寧に話すこと。固有名詞や数字を入れると、話を具体化しやすくなりますね。もし伝え方に不安があれば、概要を口頭で伝え、詳細はメールで追送してもよいのです。伝えたいことをテキストに起こせば、編集しながら頭を整理できるので、機能的なズレの予防に効果的です。一方、相手への感謝や謝罪など、自分の気持ちを伝えたい場合はなるべく対面で話しましょう。内容に応じて使い分けるとよいですよ」
聞き方を工夫する
-リアクションを取りながら聞く
「コミュニケーションにおいては、相手の話をいかに引き出せるかも重要。しっかりとリアクションを取りながら聞くと、相手は話しやすくなります。おすすめは、あえて紙にメモを取ること。手書きのメモは相手の話すスピードに追いつけないことが多いからこそ、『書き留めているので少しお待ちください』などと伝えると、自分が真剣に聞いている姿勢を示すことができ、誠意も伝わるでしょう」
-聞いた内容を“後追いメール”する
「話の要点をメモすることは、機能的な会話のズレ解消にもつながります。その場では理解できたつもりになっていても、あとから話の内容がわからなくなってしまうのはよくあることです。そうならないためにも、聞いた内容を見返せる形でテキストとして残しておく。さらに“後追いメール”をすることで、相手からの好感度も上がります」
話が曖昧なときは質問して確認するクセをつける
「繰り返しになりますが、人はぼんやり話すものです。相手の話が曖昧なときは必ず質問して確認しましょう。例えば、『企画書を“いい感じ”に作ってくれ』と言われたら、ページ数や構成をどうするかなどの具体的な部分を質問して確認することで細部が見えてきますよね。あるいは、『自分はこんなふうに作ろうと思っています』という案を伝えてもよいでしょう。相手と認識合わせをすることで、会話の解像度を高め、迷いなく仕事に取りかかることができますよ」
まとめ
会話は相手あってのもの。会話のズレはあなただけの責任ではありません。大切なのは、うまく喋ることではなく、いかに認識のズレをなくせるか。話の順序を間違えたり、何度も言い直したりしたとしても、お互いに理解し合えることが一番です。ご紹介した話し方や聞き方のコツを取り入れて、コミュニケーションの苦手意識を少しずつ克服してみましょう。
【プロフィール】
横山信弘(よこやま のぶひろ)
株式会社アタックス・セールス・アソシエイツ 代表取締役社長。企業の現場に入り、目標を「絶対達成」させるコンサルタント。15年間で3,000回以上の関連セミナーや講演、コラム執筆、昨今ではYouTubeチャンネル『予材管理大学』を通じ「予材管理」の普及に力を注いでいる。大企業から中小企業にいたるまで、200社以上を支援した実績を持ち、各種ビジネス誌への寄稿、多数のメディアでの取材経験がある。メルマガ「草創花伝」は3.8万人超の企業経営者、管理者が購読。主な著書には「絶対達成」シリーズのほか、「『空気』で人を動かす」「キミが信頼されないのは話が『ズレてる』だけなんだ」等多数。
https://www.attax.co.jp/sales/consultant/01consultant/
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