嫌われることを恐れない! キングコング西野亮廣さんに学ぶ「嫌われ者の流儀」

お笑いコンビ「キングコング」としてのテレビ出演や、1カ月に30本の漫才のステージをこなすという多忙な西野亮廣さん。

嫌われることを恐れない! キングコング西野亮廣さんに学ぶ「嫌われ者の流儀」

お笑いコンビ「キングコング」としてのテレビ出演や、1カ月に30本の漫才のステージをこなすという多忙な西野亮廣さん。芸人のお仕事だけでなく、多くの協力者たちと絵本の制作をしたり、個展を行ったり、埼玉県の広大な土地を使った「町づくり」の実現を宣言するなど、多方面でマルチな才能を発揮しています。

一方で、その歯に衣着せぬ物言いや、“芸人”の枠を超えた広すぎる活動の幅にバッシングされることも多く、ネットニュースでは連日“炎上”が続くことから、今では「嫌われ者」としても知られている西野さん。

しかし、今年8月に発表した『魔法のコンパス 道なき道の歩き方』は、書店やAmazon、楽天などで即完売し、重版が続きました。

「嫌われ者」なのにファンも多い…そんな不思議な魅力を持つ西野さんに、漫才のステージ直前「ルミネtheよしもと」の控え室にてお話を伺いました。

1つの肩書きにとらわれない生き方


ーいきなりで大変失礼なのですが、嫌われているのはいつからなんですか?

デビュー1年目から嫌われてましたよ(笑)。デビューしたてのくせに、結構意見してたんです。

先輩もバンバン批判してたし。それが最近ネット社会で表沙汰に文字として残るようになっただけで…。実は1年目からずっと炎上しています(笑)。

一最近では肩書きもコロコロ変わって話題になりましたよね。今の肩書きはなんですか?

最近は何て言ってたかな? あっ「ヘンテコロボット博士」(笑)。最新のロボット情報を発信するメディアのキャンペーンボーイに任命されまして。肩書きは興味ないし、コロコロ変えるようにしているんですよ。

肩書きを変えたところで別に誰にも迷惑かけてないけど、批判されますよね。まるで、「肩書きを変えるのは不純なことで、1つの肩書きで人生全うすることが素晴らしい」っていう洗脳みたいな。

遅かれ早かれどんな職業にも寿命があるから、初志貫徹ばかりしていると、結構な人が自分で自分の首を締めることになる…だから今から肩書きをコロコロ変えてOKな雰囲気をつくっておかなきゃいけないと思うんですよ。


一「職業には寿命がある」というお話、とても興味深いです。テクノロジーが発達して、これから人の仕事の大半が機械に奪われるって話は有名ですよね。

そうですね。例えば、車ってあったら便利じゃないですか。楽に遠くに行けるし。でもその一方で、峠のお茶屋さんは車のせいでもうからなくなる。

そこで「車、反対!」って反対運動に時間を割くんじゃなくて、車が来る未来は目に見えているんだから、“車と共存する未来”を考えた方がいいと思うんですよ。

友達が笑ってくれればいい。だから、嫌われることは怖くない


一西野さんのその柔軟な発想はどこから生まれてくるのでしょうか? 西野さんの交友関係は幅広いですが、そこが関係していますか?

たしかに友達と飲むことが好きで家をサロン化したくらいなので、それはあるかもしれませんね。この間大阪で、たまたま堀江貴文さんと世界一のパティシエの小山進さんと飲んだときに、「テロむかつくね」って話になって。

そこで「じゃあ、自分がテロするならどうやって攻める?」って話になるんです。そしたら「こうやってこうしたら一番低カロリーで大きなインパクトを与えれるんじゃね? だったら、これを先回りして、そこを止めるよね」って話が白熱して。

そういう議論に出てくる考え方やワードに影響を受けているのかもしれません。

ー「嫌われる」ということは勇気がいることだと思います。西野さんは心が折れたりしないんですか?

折れたりしたことはないですね。幼稚園のときからそうなんですけど、僕、友達が好きで。自分の友達5~6人が笑えばいいから、朝礼でスベッてもその友達が笑っていればそれでいい。

そっちにしか目を向けてないから外は無視してたんです。身近な人が笑っているかどうかが大事で。今で言うと、そういう身近な大事な人が増えて、何百人というスタッフとそのご家族がそれにあたるんです。
まずはその人たちをきちっと養う。そこからですね話は。そこが楽しいかどうか。身内にしか興味ないんです。

ー嫌われることが怖い人はどうすればいいと思いますか?

自分のことを嫌いな人が10人いようが100人いようが1億人いようが、数字として計上されて見えるのって、“自分に興味がある人の数だけ”なんです。
CDやDVDの売り上げや、SNSの「いいね」の数もそう。嫌いな人は数字で計上されず「0(ゼロ)」なんです。


例えば、嫌いが9、好きが1の比率で分かれたとします。多くの人はその比率を変えようと努力しますけど、変えなくていいんです。
分母を変えればいい。10人に発信してたら1人しか味方はいないけど、1000万人に発信したら100万人の味方ができるんです。計上されるのは100万人だけなんです。100万人の味方がいたら、飯食えます。

だから、比率を変えるのはばかげてます。頑張って時間もたくさんかけて無理して3:7(嫌い:好き)に持っていったところで、天然でもともと3:7の人には勝てない。
だったら、比率はそのままでいいから、発信する量、分母を大きくする。つまり声をでかくすることに時間や労力を割いた方が効率的だと思うんですよ。だから僕は、基本的に僕のことを好きでいてくれる友達のことしか考えてない。今も飲み友達が一番好きです。

まずは編集をする「材料」を見つけよう


ーそもそも「好きなことが分からない」「見つからない」という20代に、西野さんだったらどうアドバイスしますか?

基本的にゼロからものを生み出すことはできないんです。全ては編集作業だから。例えば“やりたい仕事”って「やりたいこと」「得意なこと」に「入ってくる情報」をどういうふうに編集していくかってことじゃないですか。

「やりたいことがない」は、ただ編集の素材がないってこと。どれを切り取って、どれを使っていいか分からない。つまり、入ってくる情報が変わってないから、編集のしようがないんです。

そこで僕は、入ってくる情報を変えるために「まず3キロダイエットしろ」って言ってます(笑)。いやね、3キロ痩せたらそれをキープする生活を続けるじゃないですか。
そしたら、食べるものも変わるし、乗りものも変わる。一駅分歩くとか。そこで今まで目にも留めなかった景色を見て「あのポスターいいな」って感性を刺激されたり、「あの屋根もう少し長かったら雨にあたらずにあそこまでいけるのに…」って疑問も出てくる。だから、まずは3キロ痩せてください!

ー西野さんは人生の判断基準が「面白いかどうか」だと言っていますが、その基準はどのようなものなのでしょうか。

まず「見たことがない」ものが好きです。見たことあるものは先輩方に任せておいて、見たことがないものを見にいく。


絵本も最初は一人でやっていましたけど、一人で作るという常識を捨てて、映画を作るみたいに30~40人のそれぞれの得意分野を持った人たちが分業制で絵本を作る。それって、どんなものができるのか想像できないから、ワクワクするじゃないですか。

ーそんな西野さんが今一番エキサイティングだと思うことは何ですか?

「ハロウィン」ですね! 世界三大祭りってありますけど、うまくやれば渋谷ハロウィンはあそこに全然勝てる。

ハロウィンの夜に、バリケードを張ってスクランブル交差点を完全に封鎖してホコ天にするんです。スクランブル交差点のど真ん中に祭りやぐらを建てて、ちょうちんを109とかとつないで。
その下を仮装した連中が盆踊りしてるっていう…(笑)。それ外国人が見たらみんな写真撮りますよね? そんな景色って日本でしかつくれないから、これをつくりにいきたい。そんな見たことのない景色を見てみたいですね!

過去は塗り替える。どんだけ失敗しても明日が来るから


ー悩める若者にエールを送っていただけますか?

若いやつには周りを気にせず暴れてほしい。僕は挑戦する人を絶対肯定します。そして僕でも思いつかない面白いものを見せてほしいです。

失敗は存在しない。僕らは今この瞬間に未来を変えることはできないけれど、過去はいくらでもアップデートできる。過去の失敗したことや悲しかったことを生かすことができれば、僕の場合は芸人なんで、ネタにしてネガティブなこともポジティブに変えます。

過去をアップデートする作業さえしていれば、基本失敗なんて存在しないんです。どんだけ失敗しても明日になってしまえばそれは過去になる。過去は塗り替えられるから、足を止めないでください! ずっとパンチを打ち続けるっていう(笑)。

ーキングコングの漫才のステージで、作ったネタを披露してきた西野さんですが、今は世界というステージ、舞台でリアルな“ネタ”を披露して、自分もお客さんも楽しませている印象を受けました。

それっていいですよね! そう、すべてを舞台にすればいい!

まとめ


自分のやりたいことを貫き、数字として見えない嫌われている人数を気にせず、目に見える好きな人たちを信じて仲間を増やし続ける西野さん。

“嫌われ者の流儀”とも呼べる、西野さんの思考は、あなたの悩みを解決するヒントになりましたか?


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識者プロフィール

 


西野亮廣(にしの・あきひろ)
1980年、兵庫県生まれ。1999年に梶原雄太と漫才コンビ「キングコング」を結成。活動はお笑いだけにとどまらず、3冊の絵本執筆、ソロトークライブや舞台の脚本執筆も手がけ、海外でも個展やライブ活動を行う。2015年には、渋谷のハロウィン翌日のゴミ問題を娯楽化した「SHIBUYA Halloweenゴーストバスターズ&TRASH ART」が広告賞を受賞。その他、埼玉の土地に町をつくる「埼玉おとぎ町」や“世界一楽しい学校”「サーカス!」など、未来を見据えたエンターテインメントを生み出し、2016年には東証マザーズ上場企業「株式会社クラウドワークス」の顧問に就任。

※この記事は2016/10/10にキャリアコンパスに掲載された記事を転載しています。

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