相手と距離がグッと縮まるコミュ力UPキラーフレーズ12選 - 元劇団四季団員に学ぶ!

元劇団四季団員であり、現在はプレゼントレーナーの櫻井秀樹さんに、相手との距離をグッと縮める上で効果的なキラーフレーズについて伺います。コミュニケーション力UPの秘訣を学びましょう。

元劇団四季団員に学ぶ! 相手と距離がグッと縮まるキラーフレーズ12選

「自分の考えを話すといつも単調になってしまう」「人前で喋っていても相手に響いている実感がない」といった悩みを抱えるビジネスパーソンは多いもの。でも、もし自分の言葉がきっかけで相手の心を動かせたら、自分に自信が持てそうですよね。

そこで今回は、元劇団四季団員であり、現在はプレゼントレーナーとして『絶対的存在感の作り方』の著書を持つなど“人の心を動かすプロ”である櫻井秀樹さんに、相手との距離をグッと縮める上で効果的なキラーフレーズについて伺います。

ビジネスシーンにおけるキラーフレーズの有効性


まず、なぜビジネスシーンにおいてキラーフレーズを持つことが有効なのか聞きました。

「ビジネスの現場では、自分とは大きく異なる価値観や経験を持つ相手ともコミュニケーションを取り、お互いに尊重し合いながら関係性をつくっていくことが求められます。

バックボーンがかけ離れている相手や、出会って間もない相手と精神的な距離を縮めるために重要なのが、相手の“自尊心”を満たす接し方をすること。

そしてキラーフレーズとは、相手に対する好意・感嘆・敬意などをポジティブな表現によって伝えることで、この自尊心を効果的に満たすことができるのです」(櫻井さん:以下同じ)

3つの自尊心を満たす


アメリカの心理学者のウィル・シュッツによると、人は常に以下の3つを自尊心に関わる欲求として持っていると櫻井さんは語ります。

(1)自分のことを好きになってほしいという「自己好感」


「人は社会を形成し、コミュニケーションによって他者との交流を図りながら、より良い生活を目指して行動を起こす生き物です。コミュニティーにおいて自分が嫌われ者として認識されてしまうと、そこに居場所を見つけることができず、孤独や不安に襲われます。

そのため、『嫌われたくない』『孤立したくない』という生存本能に由来する欲求を常に抱いています。これが反転して、人は『自分のことを知ってほしい(好きになってほしい)』という感覚を持つに至りました」

(2)自分の能力を認めてほしいという「自己有能感」


「先述のように、人はコミュニティーにおける立ち位置を、常により有利なものとして確立したいという欲求を持っています。そのためには、『他者から嫌われないようにする=好かれる』ことのほかに、『能力を認められる』ということも重要な要素となります。
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つまり、人は能力を発揮することで、コミュニティーにとって必要な人間であることを誇示しているのです。その結果として、人は『自分の能力を認めてほしい』『価値ある人間でいたい』という欲求を持つようになりました。

(3)自分を大切な存在として認めて欲しいという「自己重要感」


「自己重要感は、3つの自尊心に関わる欲求の中で、最も比重が高いものといわれており、自己肯定感と自己有能感というふたつの要素によって成り立っています。

自己肯定感が高い状態とは、自分の能力にかかわらず『自分は存在しているだけで価値がある』と認めることができているということです。ほとんどの場合、親などから無条件に愛された体験によって構築されていきます。

そしてもう一つの自己有能感については、(2)で説明したように、分かりやすく言えば、自分の能力に基づいた資格・学歴・営業成績というような『他者に認められた実績』によって成り立っています。

これらの自己肯定感と自己有能感のバランスが取れている状態が、自己重要感が高い状態といえるでしょう。

ちなみに、自己肯定感と自己有能感のバランスは、8:2くらいがベストであるといわれています。がむしゃらに成果や功績をあげようとする人のほとんどは、この割合が逆転しています。そういった人は、実績を残せない自分を認めることができないので、注意が必要です」

キラーフレーズで相手のこの3つの自尊心、「自己好感」「自己有能感」「自己重要感」を満たすことで、結果として相手にとって「なくてはならない人」として認識されるようになり、相手の心を動かすことができるようになるのだそうです。

相手と距離を縮めるキラーフレーズ12選



そこで、それぞれの欲求を満たす効果的なせりふについて伺いました。

【自己好感を満たすキラーフレーズ】



◎「好きです」
「相手・場面を問わず使えます。ただし、異性に対しては注意しないと、恋愛感情があると勘違いされたり、セクハラになったりする可能性があります」

(例)

人格「あなたが好きです」

信念・価値観「『お客さまに絶対損させない!』という姿勢に好感が持てます」

性格「いつも明るいところが好きです」

能力「よく響く聞き取りやすい声が、すごく好きです」

行動「諦めずに食い下がるところ、好きだな~」

環境「このオフィスのインテリア、すてきですね! とても好きなタイプです」

◎「ファンです」
「『好きです』の応用編です。直接的な好意の表現ではないため、異性の相手にとっても比較的受け取りやすいという特長があります。したがって、女性から男性に好意を伝えるときに使っても勘違いされることが少なく、お互いにとってちょうど良い距離を保ちながら関係を深めることが可能です」

◎「ステキです」
「この言葉も、男女どちらにでも幅広く使える言葉です。使い方は、『好きです(タイプです)』とほぼ同じと考えていいでしょう。『好きです』に比べてマイルドに感じられるため、年齢や地位が離れている相手にも使いやすいといえます」

◎「なぜか気になります」
「ミステリアスな雰囲気が醸し出されることで、相手も『自分のどこが気になるのだろう?』と感じ、逆にこちらのことが気になるようになります。

どうしても好感を持てる部分が探しきれないような苦手な相手に対しても使えるため、使い勝手はよいといえます。その反面、具体性に欠ける表現になるため、相手によっては刺さりにくい場合もあります」

【自己有能感を満たすキラーフレーズ】



◎「すごいですね」
「女性から年上男性に対して使うと、非常に大きな効果を発揮します。『いつもより1週間も短い納期なのに、このクオリティーで仕上げるなんて、部長は本当にすごいですよね!』など、行動や成果を具体的に示して伝えることがコツです。

ただし、年配男性の中には、あまり回りくどい言い方を好まない方もいるので、その場合はシンプルに『すごいですね!』とだけ伝えるほうが有効です」

◎「◯◯さんと一緒に仕事ができてうれしいです」
「相手の存在そのものの価値を認めているため、目上はもちろん、スキルや経験が自分より下の場合にも使うことができる万能なフレーズです。

プラスして、想像できる未来のビジョンを示して、それに対する期待・楽しみな気持ちを表現できると、さらなる効果を発揮します」

◎「○○さんにしか頼めない」
「年下の相手や後輩、専門的な技術を持った方に対して、非常に有効なせりふです。

人は自分を頼ってくれる相手に対して、『なんとかしてその期待に応えたい』と思う傾向があります。その結果、たとえ相手がまだ経験の浅い人材であっても、『頼られた』という気持ちがモチベーションをアップさせる効果をもたらし、その方の成長をも生み出す結果につながるのです」

◎「こんなの初めてです」
「男性に対して特に有効なキラーフレーズです。気づきを得たとき、新しい体験をさせてもらったときなどに使えます。近いものに、『その視点はありませんでした』があり、こちらは男女問わず使えるせりふです」

【自己重要感を満たすキラーフレーズ】



◎「◯◯さんを尊敬しています」
「老若男女、全ての人に効果的なフレーズです。ただし、本人がコンプレックスに思っている部分を指摘したり、時間にルーズな後輩に対して『◯◯君のその自由な生き方、尊敬するなぁ』というような使い方をするとイヤミとして捉えられてしまう場合があるので、注意しましょう」

◎「◯◯さんて、~~なんですね?」
「趣味・過去の実績・価値観など、相手のパーソナルな情報を事前に入手して、会話の糸口にするやり方です。

人は、自分が相手のことをよく知っているときよりも、相手が自分のことをよく知っているときのほうが、相手に対する信頼度が増すという心理的効果があります。手相で性格などを当てられると占い師を信じてしまうのと同じです。ただし、あまり細かく知り過ぎていると、かえって相手の気分を害することがあるので要注意です」

◎「お話をもう少し詳しくお聞きしてもいいですか?」
「相手の成し遂げてきた実績や、誇りに思っていることについて深堀りすることで、相手に対する興味・関心・敬意を持っていることを示すせりふです。

さらに、『どうしてそれができたのですか?』『どうやってそれを成し遂げたのですか?』など、Why(どうして?)やHow(どうやって?)を絡めて聞くと、さらに効果を発揮します」

◎「どうしたら◯◯さんのようになれますか?」
「年上の方、なかでも、経営者やトップ営業担当者の方など、大きな実績を出している方に対して有効なせりふです。

『お話をもう少し詳しくお聞きしてもいいですか?』と同じく、さらに深堀りして聞くことで、相手が気持ちよいだけでなく、自分にとってもノウハウが手に入るという、とても便利なフレーズです」

まずは12のせりふから


このほか、櫻井さんによると「相手の自己好感を満たすために、自ら進んであいさつをする」「相手の自己有能感を満たすために、感情のボキャブラリーを増やし、その人に対する感動の気持ちを表現する」「相手の自己重要感を満たすために、相手の名前を呼ぶ」といったことも効果的なのだそうです。

相手と距離を縮めたいと願う人は、今回ご紹介したフレーズを意識してみてはいかがでしょうか。


著者プロフィール
櫻井秀樹(さくらい・ひでき) 大学在学中より、舞台・映像などで活動を開始。その後ディズニーリゾートダンサー、劇団四季俳優を経て、経営コンサルティングオフィスとしてプレゼンスアップ・コンサルティングを設立。現在はコーチング、セミナー、講演、企業研修を通して「存在感のある人材・企業の創生」をビジョンに幅広く活動している。

※この記事は2015/10/13にキャリアコンパスに掲載された記事を転載しています。

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