「目標を達成することは、約束を果たすこと」株式会社グリフォン笹川龍太を支える哲学とは?

20代にして、取締役に抜擢されたビジネスパーソンたちがいます。そんな彼ら・彼女らの活躍を支えるのは、どのような哲学なのでしょうか?

「目標を達成することは、約束を果たすこと」株式会社グリフォン笹川龍太を支える哲学とは?

20代にして、取締役に抜擢されたビジネスパーソンたちがいます。そんな彼ら・彼女らの活躍を支えるのは、どのような哲学なのでしょうか?

以前キャリアコンパスでは、25歳にして株式会社クラウドワークスの取締役を務める、成田修造さんを取材しました。(クラウドワークス“ゆとり世代の取締役”に学ぶ、ゆとり部下がバリバリ働くマネジメント術)

今回取材したのは、株式会社グリフォン の笹川龍太さん。株式会社グリフォンは、株式会社サイバーエージェントとグリー株式会社が2013年2月18日に設立した合弁会社です。2012年グリーに新卒入社した笹川龍太さんは、新卒入社3年目にして、昨年11月グリフォンの取締役に就任しました。

26歳の若さでスピード出世した笹川さん。いったい彼はどのような思いで仕事をしてきたのでしょうか。インタビューからは、彼独自の「目標に対する考え方」が見えてきました。

プロデューサー兼取締役として


―笹川さんは、今はどんな業務をされているのですか?

笹川さん:まず、弊社で提供しているモバイルソーシャルゲームのプランニング業務をしています。お客さまに楽しんでいただくために、仕様書を書いたり、デザイナーやエンジニア、プランナーといった関係者にオリエンテーションをしたりして、ゲーム内の施策を実装します。実装後はデータを見て次の施策などを考え、さらなる改善につなげていく……というような業務です。

それに加えて、プロデューサー業務ですね。半年先のゲームの未来を描き、末永くお客さまに楽しんでもらうにはどうすればいいのかを考えながら、ゲーム全体の戦略やスケジュールを組みます。あと、一緒に頑張ってくれるメンバーがどうすればより働きやすくなるのかを考えながら、日々チームの運営をしています。

―そのような業務に加え、取締役として、経営にも関わっていらっしゃるのですね。

笹川さん:はい。毎日30分間の役員会議があるので、その日、私が見ているプロジェクトで課題が出たときは、その場で他の役員に報連相しています。あとは、P/L(損益計算書)を見て最適な組織体制のために必要な人員配置の見直しをしたり、新規事業に関する話をしたり……。いろいろなことをしていますが、まとめると、私がしていることは“会社を今後も成長させるために、どうやって今の目標を達成していくか”ということだけです。そのために必要なことはなんでもしているという感じですね。

月商億超えを達成したことで、取締役に抜擢


―新卒でグリーに入社されてから、グリフォンに出向された経緯を教えていただけますか?

笹川さん:2012年に新卒で入社してから、外部のゲーム開発会社のお客様に対して、ゲームの改善提案といったコンサルタント業務や、GREE Platformに出すゲームの新規獲得営業をしていました。そんな中、2013年にサイバーエージェントさんとグリーの合弁会社設立の話が出て、立ち上げメンバーに選ばれ、出向することが決まりました。

―その後、笹川さんは出向してわずか1年で、取締役に昇進しています。すごいスピード出世ですね。どういった要因から、抜擢されたのでしょうか。

笹川さん:私ひとりで成し遂げたものではないので、私の実績とはいえないのですが、出向1年目に開発したゲームが会社の単月黒字化に貢献し、その次に開発したゲームは月商億超えを達成しました。こうした成果が評価され、今回抜擢されたのかなと思います。

―なるほど。20代にして取締役に抜擢されるのもうなずけますね。

目標は会社との“約束”


―しかしそこまで目標を達成するのは、なかなかできないことだと思います。笹川さんにとって「目標」とはどのようなものなのですか?

笹川さん:目標って、言い換えると“約束”だと思います。“会社との約束”です。基本的に人との約束って破らないですよね。友達とご飯の約束をして、約束の時間にそこへ行くのと同じ感覚です。

―たしかに、目標を“約束”と言い換えると、「ちゃんとやらなきゃ」という気持ちになりますね。

笹川さん:私の場合、目標に対する執着心、つまり“約束を果たしたい”という思いが大きいのかもしれません。そうした執着から信頼が生まれるというのは、あるでしょうね。約束って、信頼のもとに成り立つと思うので。おそらく周りから見ても、「笹川に任せたらちゃんとやってくれる」という信頼があって、仕事を任されていると思いますし、それが取締役に選ばれたひとつの要因かなと思います。

―なるほど。お聞きしていて、約束を果たすから信頼が生まれ、信頼が生まれるから約束への執着心が生まれる……というサイクルがあるように思いました。

約束を果たす方法は、地道な努力を積み重ねること


―笹川さんは、昔から約束は果たさないと気が済まないタイプだったのですか?

笹川さん:気が済まないタイプだったかは分かりませんが、仕事を始めて1年目のときから、上司に「コミット力を持て」と教えられてきたので、それに影響されたところはあると思います。そのコミットというのが「目標に対する執着心」だとするならば、目標を達成して約束を果たすために大事なことって、いわゆる一発逆転とか起死回生ではなくて、日々の地道な努力の積み重ねだと思っています。そして、「目標に対する執着心」がなければ、毎日地道な努力をコツコツ積み重ねることはとても難しいです。

―結果だけ見ると、たとえば「月商億超え」のように華やかだけれども、その裏には地道な作業の積み重ねがあると。

笹川さん:ええ。全然華やかじゃなくて、地味な作業である場合も多いと思います。でも個人的にそういうのが好きなんですよね。RPGのレベル上げも好きだし(笑)、剣道の素振りのような反復練習も好きでした。直接コミットに結びつくかどうかは分かりませんが、素質として、そういう面はあると思います。

―RPGのレベル上げとか、素振りとかって、つまらなくないですか?

笹川さん:むしろ面白いです。単純に同じことを繰り返すだけではなくて、ブラッシュアップしながら繰り返し改善して積み重ねていくことで、徐々にレベルが上がって強くなっていることが実感できる。スランプも当然ありますが、それを乗り越えたときに一気に伸びる瞬間もあって。

―なるほど、それが楽しいと。

間違ったことを積み重ねていても仕方がない


―今のお話で言うと、「ブラッシュアップ」ということが重要なように思います。つまり単純に回数を重ねるのではなく、失敗しても反省して次に生かしていくということではないかと思ったのですが、やはり失敗することもあるのでしょうか?

笹川さん:今でも失敗することは多いですよ。私は失敗したらすごく悔しくて、同じミスは絶対に繰り返したくないと思う。なのでとにかく、Evernote上の日記に失敗や反省したことと、ネクストアクション(改善策)を書いているんです。もう1000ページ以上あるんですけど。

―1000ページ! すごいですね。

笹川さん:個人的なPDCAを回している感じです。やっぱり毎日のコツコツとした積み重ねが好きなんでしょうね(笑)。あと、失敗したときとか悔しいときって、すごくモヤモヤとした感情が自分の中にこもるので、それを吐き出す精神安定剤としての意味もあると思います。

―やはり積み重ねが大切なんですね。

笹川さん:結局、間違ったことを積み重ねていても仕方がない。なので、自己満足にならないよう、周りの意見を聞くということも、すごく大事だと思っています。素直さって大事ですよね。最初から聞く耳をもたないのではなく、いったん相手の言うことをすべて受け入れた上で、必要なもの、そうでないものを自分の中でフィルターを通せばいいんです。人から怒られたことや、メンバーから懸念として上がってきたことは、とても大事にしていますね。何かのシグナルだと思うので。絶対にそれは気付いて、見逃さないように気を付けています。

約束が果たせないのは、フィールドが違うのかもしれない


―一方で、そうした地味な作業が耐えられない人もいますよね。つまりどこかで怠けてしまって、目標を達成できない、約束を果たせない人は、どうすれば果たせるようになりますか?

笹川さん:たぶん、人によって約束を果たせることと果たせないことがあるんだと思います。例えば、私はジョギングって絶対に続かないんですよ。なんでだと言われても分からない。もしその人がちゃんとやってもどうしてもダメなら、戦う場所を間違えているのか、自分にとって重要だと思えないからなのかなって思います。自分の活躍できるフィールドは、人によって違いますから。

―人によって、果たせる約束と、果たせない約束があるわけですね。

笹川さん:でも、それを言い訳にやらないのはダメですけどね。会社に所属している以上、会社に守られていますし、お給料ももらっている。もらっている以上、ちゃんと返さないと。

目標が無くても、目の前のことを積み重ねていけばいい


―最後に笹川さんの今後のキャリアの目標はなんでしょうか?

笹川さん:5年後も10年後も、1人ではできない大きなことを組織で成し遂げていきたいと思っています。それが何かといわれても、はっきり分からないんですけど。チームみんなで力を合わせて、1人ではできないことを成し遂げられるのが仕事の醍醐味だと思っているので、それをこれからもやっていきたいと思っています。

―仕事をするうえで明確なゴールがあるというよりも、プロセスが楽しいということでしょうか。

笹川さん:そうだと思います。個人的には「これがやりたい!」という明確なものがあるというよりも、どうやれば実現できるかを考える方が好きだったりするので。社長タイプではなくて、右腕タイプですね(笑)。

―なるほど。明確な目標を持った「ビジョナリスト」には憧れますか?

笹川さん:すごいとは思います。ある意味、明確なものがないというのが私の欠点というか短所なので。ただ、だからといって卑屈になることはないのかなと。会社には必ず成し遂げたいことがあるはずなので、その実現に向けて全力を尽くせばいいと思います。成し遂げたあとに、自分がやりたいことが見つかるかもしれませんしね。日々、多くの人と関わりながら仕事をしていくうちに、いろいろな経験をして考え方も変わっていくと思うので、焦らず目の前のことを手堅く積み重ねていきたいと思います。

 

識者プロフィール


笹川龍太(ささがわ・りょうた)/早稲田大学卒業後、2012年にグリー新卒入社。入社後は持ち前のコミット力の高さから中途社員同様に担当パートナー企業を持ち、ゲームのコンサルタント業務ならびに新規ゲームの獲得に従事。グリフォン出向後、プランナーとして担当したゲームで会社を黒字化へと導き、次のゲームでは、プランナーリーダーとして月商億超えのタイトルへと導いた。2014年11月より取締役に就任。

※この記事は2015/02/23にキャリアコンパスに掲載された記事を転載しています。

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