困ったときは任せてほしいぺこ! ふんわり相談チャットで「予約」! ペコッター開発秘話

新入社員にとっては通常業務だけでなく、たまに任される飲み会の幹事も大事な仕事だったりします。

困ったときは任せてほしいぺこ! ふんわり相談チャットで「予約」! ペコッター開発秘話

新入社員にとっては通常業務だけでなく、たまに任される飲み会の幹事も大事な仕事だったりします。

ただ、Google検索をしたり口コミサイトを見ても、どのお店が良いのか決め切れなかったり、急にお願いされてお店を調べる時間がなかったり、幹事ならではのピンチに遭遇した人も少なくないのではないでしょうか。

そんな悩みをゆるく・気軽に解決してくれるのが、グルメコンシェルジュアプリ「ペコッター」。場所や人数、日程などの要望を、ふんわりチャット形式で投稿するだけで、即座にお店を探して、予約までしてくれる便利なサービスです。

今回は「ペコッター」の開発者であり、株式会社ブライトテーブルの代表取締役、松下勇作さんにサービスの生まれた背景についてお話を伺います。

幹事さんの負担を、みんなの楽しみに変えるために


――「ペコッター」が生まれたきっかけについて教えてください。

私が会社員として働いていたころ、飲み会があれば幹事を任されることが多かったんですね。割とマメな性格なのでお店の検索をしたり、下見に行ったり、日程の調整をするのが大変だとは思わなかったんです。

だけど、周りの人から「よく、そこまでマメにできるね」と言われたときに、自分が当たり前だと思っていたことが、他の人にとっては当たり前じゃないんだと気づいたことが開発のヒントになっています。

取材のために羊をかぶってくださった松下さん。その豊富なサービス精神はペッコターにも大いに反映されている。



幹事の仕事は大きく分けて(1)日程の調整(2)お店を決める(3)予約の連絡をすると3つありますよね。特に日程調整やお店選びをおっくうに感じている人が多いため、そこを代行することで負担を軽くしたいと思ったのがそもそものサービス立ち上げのきっかけです。

実はペコッターを開発する前に「テーブルシェア」と「ファイブシート」というサービスを運営していましたが、サービスをスケールさせたり収益化することが難しく、継続を断念した経験があります。

そのときにあらためて、ユーザーがどんな悩みを抱え、何を解決してあげれば受け入れてもらえるかを考えたのです。そこで先述した課題を解決できるサービスになればニーズは必ずあるはずだと、妥協せずにアイデアを形にしました。

――サービス内容について具体的に教えていただけますか。

簡単に説明すると、ユーザーに代わって、条件に合ったお店を探して予約をしてあげる“グルメコンシェルジュ”というサービスです。例えば、飲み会をするお店を探しているユーザーがいれば、「渋谷で友達とゆっくり和食を食べたい」と、希望のシチュエーションや条件をざっくりでいいので投稿してもらいます。


その投稿を見た他のユーザーさんが、「それだったらこのお店がいいよ」とオススメのお店を紹介してくれる。これをチャット形式で行えるのがペコッターの特徴です。ユーザーは気に入ったお店が見つかれば、お店情報の横にある予約依頼ボタンを押して予約を依頼することができます。

予約は、公式キャラクター「はらぺこ君」との個別チャット画面で行うので、プライバシーが守られた状態でお願いができます。そのチャットで、「個室がいい」「静かな場所がいい」などの細かい希望を伝えると、はらぺこ君が代わりにお店に電話をして希望を伝えてくれます。

予約だけでなく、当日急な残業が入った場合なども「遅れていきます」とチャットで伝えてもらえれば、お店に連絡してくれます。

このように、ユーザーの要望にしっかり応え、柔軟にお店とのやりとりを代行してくれるところが支持されているポイントだと考えています。

ユーザーのストレスを限りなくゼロにするサービス


――ペコッターのお店予約は、すべてはらぺこ君が代行して電話で行っているのですね。ネットが発達している今、この手法にこだわるのはなぜでしょうか。

既存のウェブ予約には大きく2つの問題点があると思っています。

(1) そもそも、サイトの提携店舗でないと、ウェブ予約できない。

(2) 当日の予約や変更は受け付けてくれず、急な要望の対応ができない。


上司からお願いされて30分以内に予約をしなければならないのに、自分の仕事も終わってなくて予約どころじゃない!って場面ありますよね。本来ならばそういうときこそ、オンラインで予約ができればベストなのですが、それが現状ではできないお店がほとんど。

この2つの問題点はどちらも飲食店やグルメサイト側の都合であって、ユーザーのニーズとはずれているもの。対して、ペコッターは手間が掛かったとしても、お店に直接電話をかけて予約する方法をとっています。そのおかげで、インターネット予約に対応していないお店や、当日10分前の予約でもチャットで依頼でき、ペコッター予約のファンを増やすことができているのです。

「こんなふうに電話をかけているぺこよ!」と実演してくれたはらぺこ君。マイク付きイヤホンを愛用。



――ユーザーがお店の予約を依頼してから、最短1分30秒で予約が完了するのだとか。

早ければ1分を切ることもあります。数多くの予約をこなす中で、店舗側が知りたい要件を素早く的確に伝えられるよう、オペレーションを秒単位で洗練させてきたので、ご自身で電話をかけて予約するよりも早いと思います。

5分刻みの入店時間・予約人数・メニュー・お席の種類の指定など細かい要望にも対応できるのは、直接お電話しているペコッターだからこそ提供できる価値だと思っています。

――ユーザーがお店の予約を依頼してから、最短1分30秒で予約が完了するのだとか。

予約に関わるすべてをお任せしてほしいですね。ストレスの解消でいうと、予約キャンセルをしてあげると喜ばれることが多いです。

急遽事情があってお店に行けなくなったとき、お店に断りの電話をかけるのを申し訳なく感じる方が多いのですが、そこをはらぺこ君が代わりに電話をかけてあげる。このちょっとしたアフターケアが、とても喜ばれています。

かわいいデザインは、ユーザーが要望を伝えやすくするため


――「ペコッター」はサイトのデザインやキャラクターがかわいいのも特徴ですよね。なんというか、何もなくても気軽に話しかけたくなっちゃうような。はらぺこ君は、どうやって生まれたのですか?

アプリに不具合が発生した場合、アプリ開発者にエラーの内容を報告する画面ってありますよね。不具合があったのにユーザーに報告させるなんて、とんでもないユーザ体験だなあと思っていたのです。

少なくとも、こちら側から「何かあったのですか?」「ご不便をおかけしてごめんなさい」とお伝えできればと思い、「チャットで不具合を報告できる」ようにしたいと考えました。

このとき、チャットに担当者の顔がリアルに表示されると、どことなく気持ちを抑え言いたいことが言えなくなって、不具合報告や貴重な意見が挙がらなくなるのではと想像したんです。いいことも嫌なことも含め、いかにユーザーが本音を伝えやすい環境にできるか。それを追求して生まれたのがペコッターのメインキャラクター、はらぺこ君です。

ユーザーからも話しかけやすくしたかったので、デザイン全体の雰囲気をとにかくゆるく、やんわりさせました。


――他にはどんなキャラクターがリクエストのサポートをしてくれるのでしょうか?

はらぺこ君の他に自動でお店をレコメンドをしてくれる「メカペコ君」がいます。メカペコ君は、今までに蓄積された8万件の質問と35万件のお店データをもとに、要望にぴったりなお店をレコメンドしてくれます。

お店選びって、友達や彼女、会社内の飲み会など、「誰と行くか」によって変わるじゃないですか。「いつ・どこで」に加えて、「誰と・どんな」という細かなシチュエーション、そして正直なニーズを話してもらうほど、メカペコくんのレコメンド精度はどんどんあがっていくようになっています。

例えば「記念日につかえるお店」と一口にいっても、結婚2年目の記念日と還暦のお母さんのお祝いでは、お店選びの方向性が変わりますよね。これまでのグルメサイトでは、「記念日」の検索結果から、自分でお店を一軒一軒開いていたと思うんです。

ユーザーさんのニーズが細分化してきている中で、その要望に応えられることこそが次のグルメサイトとして重宝される秘訣(ひけつ)だと考えています。

社員同士の交流を図るメッセージボード。ビジュアルを最大限に生かしたグッズも豊富!



――今後はどのようなサービス展開を考えていますか?

ユーザーさんの好みや予約履歴をもとに、一人ひとりに合わせたレコメンドができるサービスに進化させていきます。

他のサービスが後追いで同じようなレコメンドサービスを仕掛けてきても、ユーザーさんの食の好みの情報は一朝一夕には蓄積できません。これからも、どんどんユーザーさんの食の好みを知り尽くすために、はらぺこ君とメカペコ君にがんばってもらいます!

昨日の自分と今日の自分、どう成長できたか意識する


――ペコッターは松下さん自身の経験やあるべきサービスの姿など、さまざまな背景をもとに生まれたのですね。そんなサービスをゼロから作った松下さんにとって、“仕事”とはなんでしょうか。

振り返ると、私自身はもともと、そこまで仕事に対して熱意のある人間じゃなかったんです。仕事に対する責任感も高いわけではなく、与えられた業務を淡々とこなしていたように思います。


仕事に対する考えが変わったのは、実は起業してから。何をしなきゃいけないのかなと考えたときに、自分にしかできない仕事をしようと思いました。

例えば、私一人がいなくなっても地球はいつもと変わらず時間が流れていたりする。それだけ自分の存在なんて小さいし、普通に暮らしているだけだと何も変わらないなと。

「何かを残すなら、このままじゃだめだ」って思って、会社員時代にベンチャーキャピタル主催のビジネスコンテストに出場したのがすべての始まりです。コンテストで発表したアイデアに出資していただくことになり、そこからプログラミングを勉強して自分でサービスを作っていく過程を楽しんできました。

昨日の自分と今日の自分で何が変わったかを意識することで働く活力にもつながり、仕事の結果も大きく変わってくると思います。

泥くさいけれど画期的。もう手放せない人、多数発生中。

 


グルメサイトやグルメアプリが増え続ける中、ペコッターはどこにもない独自の色味を増しているようです。最近ではスケジュール調整サービス「調整さん」との連携を開始。日程調整からお店の予約まで全てお任せできる、幹事にとっては願ってもないコラボレーションを果たしました。

どこまでもきめ細かいサービスとユーザーに優しい設計で、評判は上々。それは松下さんが自分にしかできないことを突き詰めたからこそ形になった、努力のたまものといえるのかもしれません。

お店を決めかねているとき、気軽にはらぺこ君に相談してみませんか? 愛らしいキャラクターの見た目を裏切る仕事っぷりに、ユーザー体験の新たな価値とは何かを見いだすことができることでしょう。

「任せるぺこよー!」


(取材・文 真貝 聡)

識者プロフィール


松下勇作(まつした・ゆうさく)
東京大学大学院 理学系研究科生物化学専攻 修士課程修了。同、博士課程在学中から、シンプレクス・テクノロジー(現シンプレクス・コンサルティング)にて、株式や債券のディーリングシステムの設計・開発に従事。博士課程中退と同時に、同社に新卒入社。入社後は、FX(外国為替証拠金取引)システムの設計・開発を担当し、金融とITを学ぶ。
在職中に、インキュベイトファンド主催のビジネスコンテストに出場。投資採択を受け、2012年2月株式会社ブライトテーブルを設立。2015年3月に、グルメQ&Aアプリ「ペコッター」をリリース。

※この記事は2017/04/26にキャリアコンパスに掲載された記事を転載しています。

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