「ヒトとモノと、コトを繋ぎ、新しいオモシロイをつくり出す」。そんなコンセプトの下に、海外企業の日本進出や子ども・ファミリー関係のイベント企画などを手がけている、株式会社グラコネ代表の藤本真衣さん。
彼女は先日、初の著書となる「人生を変える『繋がりの法則』」を出版。一つ一つの出会いを大切に、ギュッと固く結ばれた「繋がり」をつくることに心を砕いた結果、その繋がりによってビジネスの成長のみならず、人生が豊かになったと語ります。藤本さんが繋がりによって得たもの、そして結び目がほどけない繋がりのつくり方とは? 人間関係に悩んでいる方にも、きっと最高のヒントになるはずです。
繋がりがなければ、プロジェクトの成功もメンバーとの出会いもなかった
ビジネスチャンスをつくる目的で異業種交流会などに参加しては、1人でも多くの人と名刺交換をしようと人脈づくりにいそしむ人も多いのでは? しかし、藤本さんは世間一般的な「人脈」ではなく、しっかりと手を握り合って結び目がほどけないような「繋がり」をつくることを推奨しています。
「一般的な人脈づくりは、どうしても自分のための要素が強い気がします。そういった一方的な関係性ではなくて、お互いを思い合い、一緒に成長できるような人間関係を築くことこそがいい仕事をするためには必要不可欠だと思っています」(藤本真衣さん:以下同じ)
いいときも悪いときも、人との繋がりが状況を好転させてくれたと語る藤本さん。クラウドファンディングという大きな挑戦をした際も、成功の一番の要因は「繋がり」だったそうです。
「私が進めている事業の一つに、発展途上国に向けてビットコイン(仮想通貨の一種)で寄付をするKIZUNAプロジェクトがあります。その寄付を実現するためのWEBサイトを制作するにあたり、クラウドファンディングを利用するという選択をしました。
クラウドファンディングを始めた当初は、『ビットコイン』の存在を知っている人はごくわずか。支援者を集めることは難しい課題でしたし、孤独を感じていたんです。でも周囲に自分の思いを伝えるなかで、快く相談に乗ってくれる人や、クラウドファンディングの出資だけでなく何度もシェアしてくれたり人を紹介してくれたりと、プロジェクト云々よりも『私を応援したい』と思ってくれている人がたくさんいることに気づきました。
ギュッと強く繋がっている人たちの協力によって徐々に支援の輪が広がり、目標額を超える1,713,000円を達成することができたんです。何よりも繋がりのありがたみを実感した瞬間でした」(同)
それからもプロジェクトにコミットしてくれる人が次々と集まってくる、必要なメンバーを紹介してもらうなど、繋がりによりどんどん事態が良い方向へと発展していったそう。心が通い合った相手からの紹介ということで、出会ってすぐに意気投合し、続々と成果が生まれていると藤本さんは言います。
相手を信頼して与え続けることこそ「繋がり」をつくる最大の要素
とはいえ、信頼関係がある「繋がり」をつくるのは難しいことのように思えますよね。藤本さんいわく、もっとも大事なのは「GIVEの精神」とのこと。
「お互いが与え合える関係こそ、ベストな繋がりだと思います。その繋がりをつくるときに一番大切なのが、相手のためにできることを考え、まず自分が相手に与えること。与えてばかりだと損をした気になってしまうかもしれませんが、分かってくれる人、覚えていてくれる人は絶対にいます。だから、相手を信じて貫いてほしいと思います。
そして、そのためには相手の話をよく聞くと同時に、自分の思いを丁寧に伝えることも必要。与え合うためにはお互いを知ることが、すごく大事なんですよね」(同)
さらに一度結んだ繋がりを持続させるには、「自分からアクションを起こし続けるしかない」と藤本さん。
「繋がりを維持するには、細やかなコミュニケーションに勝るものはないかなと。私も繋がり続けたい相手とは、折を見て連絡を取ることを忘れないようにしています。直接会えなくても、電話やメールで声をかけるだけでもいいと思います」(同)
一方で、意地悪な人に対しては「かわいげのあるバカになるといい」と、過去の経験を交えて教えてくれました。
「以前、番組の制作会社で働いていたとき、人間関係で悩まされた上司がいたんです。アメリカでしか売っていないお菓子を『明日までに差し入れとして用意しろ』みたいな無理難題を言う人でした。最初は真面目に受け止めて悩んでいたのですが、あるとき対応を変えてみたんです。ニコッと笑って『アメリカまでは行けませんよー』って。
そうしたら相手の物腰が柔らかくなって、すごく付き合いやすくなりました。こちらの対応次第で相手は変わるんですよね。重く受け止めすぎるとどうしてもつらくなってしまうので、相手の懐に入って、かわいがってもらうといいですよ」(同)
コミュニケーションが苦手なら、まず「相手に興味があること」を示そう
人間関係の悩みを抱える人のなかには、コミュニケーションに苦手意識を持っている人も少なくないでしょう。そんなときの対処法については、「話すことよりも聞くことに意識を向けてみる」のがオススメだそう。
「コミュニケーションを取る際に、『自分から話さなきゃ』と思うとハードルが上がってしまうので、まずは相手の目を見てしっかりと話を聞くだけでもいいんです。そのことが相手に興味を持っている合図になります。それができるようになったら、次は質問を投げかけてみましょう。
あとは、『コミュニケーションが苦手だけど、あなたと話したい』と素直に伝えてもいいと思います。どうしても言いたいことを直接伝えられなかったときは、あとから文章で補足するという方法もありますよね。私もうまく言えなかったときは、テキストで気持ちを伝えています。定型文じゃなく、自分の言葉で伝えることを忘れずに」(同)
2014年1月に起業してから、一番に繋がりを意識し大切にしてきたという藤本さんは、競争意識の強いビジネスの世界だからこそ、与え合える関係性が重要だと話します。
「ビジネスではトラブルが起こった際、責任の押し付け合いになる場面が少なくありません。ですが、信頼関係がある繋がりがあれば、トラブルが起きても一緒に解決の道を探り始めるんです。大違いですよね。“繋がり”の大切さは身をもって感じています」(同)
そして、人との繋がりによって「ありがとう」の連鎖が生まれることで、人生が豊かになったこともひしひしと感じているのだとか。読者の皆さんへのメッセージとして、「まずは身近な人へのコミュニケーションを試みてほしい」と、思いを伝えてくれました。
「いいときに引き上げてくれるのも、悪いときに手を差し伸べてくれるのも、次のステージに導いてくれるのは『人との繋がり』だと思います。この記事を読んでくださった皆さんには、お世話になった人に連絡をしたり、身近な人に『ありがとう』を伝えたり、自らコミュニケーションを取ってみてほしいなと。そういったことの積み重ねから、人生を豊かにしてくれる、かけがえのない繋がりが生まれるはずです」(同)
まとめ
大学を中退し19歳という若さで独立した藤本さんは、これまでに数え切れないほどの繋がりを生み出し、ますます活躍の場を広げています。彼女の繋がりのパワーはすさまじく、都内のカフェで取材中に藤本さんの知人がたまたま居合わせるというミラクルが起こったほど(実は、そういったことは日常茶飯事だそう)。
信頼関係を育むには、まずは自分から「与えられる存在」になること、そしてどんなときも周囲への感謝を忘れないことが必要不可欠なのかもしれません。そんな繋がりがあなたを前向きな未来へと導いてくれることでしょう。
識者プロフィール
藤本真衣(ふじもと・まい)/株式会社グラコネCEO、Zaif PR、いいね!JAPAN Realizer
大学在学中にアルバイトから始めた仕事に夢中になり大学中退。19歳よりフリーランスとして活動を始めグループ会社で営業成績No.1の結果を残す。その後、役者活動を開始。CM出演、舞台出演を経験。2011年芸能活動を休止。
会員50万人の子ども向けWEBコンテンツ“キッズ時計”の立ち上げや、24万人の“いいね!”を持つ“いいね!JAPAN”のコンテンツプロデュースで活躍。2014年1月に株式会社グラコネを設立。イベントプロデュースやマッチングビジネスを中心に活躍。仮想通貨Bitcoinを初心者向けに“わかりやすく伝える”ポジションとして、Miss Bitcoin Japanと呼ばれている。
株式会社グラコネ :http://gracone.co.jp
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※この記事は2016/12/22にキャリアコンパスに掲載された記事を転載しています。
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