海外で働く日本人と、日本で働く外国人、異国の地で働くという選択をした2人の仕事観

グローバル化が進む現在、海外で働く日本人も、日本で働く外国人も珍しくはありません。異国の地で働く人々はどのような仕事観を持ち、自国と比べてどのような違いを感じているのか?

海外で働く日本人と、日本で働く外国人、異国の地で働くという選択をした2人の仕事観

グローバル化が進む現在、海外で働く日本人も、日本で働く外国人も珍しくはありません。異国の地で働く人々はどのような仕事観を持ち、自国と比べてどのような違いを感じているのか?

今回は上海から来日して働く王さんと、日本からオーストラリアへの転勤を経験した石垣さん、2人に同じ質問を投げかけてみました。

日本で働く外国人ビジネスパーソン

 

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氏名:王ブン(26)
業界:人材サービス業(株式会社インテリジェンス)
職種:データアナリスト
居住地:東京都
略歴:1987年中国上海で生まれる。大学3年のときに、東京学芸大学へ1年間の交換留学で、初来日。日本人だけでなく、さまざまな国の学生と出会い、世の中にはさまざまな考え方を持っている人がいることに衝撃を受ける。上海の大学を卒業すると同時に、日本で働くことを目指し、京都大学の研究生として入学。二年目に大学院へ進学し、生涯教育について学ぶ。卒業後は、人材サービス業の株式会社インテリジェンスへ入社。

海外勤務経験ありの日本人

 

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氏名:石垣春(25)
業界:飲料用紙容器の製造システムとその包材、食品加工機器販売業(日本テトラパック株式会社)
職種:営業
居住地:東京都
略歴:中高時代から生物学が好きで、好きな勉強に打ち込むため、北海道大学農学部に進学。就職活動中は食品メーカーや流通業を受けていたが、偶然就活セミナーで飲料の紙容器製造をメインとする現在の会社、日本テトラパック株式会社と出会い、入社を決める。入社後はマーケティング部に配属され、三年目に念願のオーストラリアの事業部へ配属。1年間の海外勤務を経験し、帰国後は営業部に配属となり、現在に至る。

Q1:現在の仕事内容について


王:株式会社インテリジェンスのCRMリサーチを担当する部署で、転職サービス「DODA」にご登録いただいた方々の情報をもとにデータ分析や調査を行っています。いかにユーザーの方々へ適したサービスを提供するか、納得のいく転職活動をしていただけるかを、データ分析によって提案する仕事です。今年の10月に現在の部署に配属されましたが、まだまだ勉強中なので、1年後には一人でこの仕事がこなせるようになっていたいです。

石垣:日本テトラパック株式会社は、一般的に紙容器を作る会社だと思われていますが、その他にも紙容器に飲料を充填する機械や、食品の前処理を行う機械も取り扱っており、時には商品企画の段階からお手伝いすることもあります。私は営業職で、弊社とお取引いただいている企業に向けて日々の営業活動や、充填機の売り込み、新しい容器が開発された際のご提案をしています。上司と二人で2社の企業を担当しています。オーストラリアにいたときは、マーケティング部に所属し、どういった容器がどういう飲料に合うかなど、データ収集や市場調査をしていました。

Q2:海外と自国のワークスタイルの違いは?


王:上海では定時になると、みんな一斉に帰宅します。子育てをしている方も定時に子どもを迎えに行くことができるので、子育てをしながら働くことに関してはストレスが少ない国です。日本は残業することが当たり前という雰囲気がありますので、そこは大きな違いです。また、上海では今の職場より条件の良い会社があればすぐに転職をします。日本の転職活動は、慎重かつ重要なことなので、その考え方も違います。日本の転職サービスはユーザーの方に対してのサービスが手厚く、とても衝撃的でした。日本のおもてなし精神がそういったサイトにもよく現れていると思います。

石垣:オーストラリアの職場では、残業をする人がほとんどいません。その一番の理由は家族と過ごす時間を大切にしたいという考えがあるからです。定時は9時~17時半ですが、フレックス制度があるため、朝早く来て帰宅を早める方も多いです。また、現地ではパソコンの設定や名刺発注をはじめ、仕事をする環境づくりに関してなにもかも自分ですることが当たり前で、分からないことは自分から聞かないと分からないままになってしまいます。日本のようなしっかりとした研修制度もないので、「積極的になること」は仕事だけでなく、プライベートでもとても大切なことでした。

Q3:海外で働くメリット、デメリットは?


王:メリットは母国語以外の言語や、考え方を学ぶことができること。日本人は他人のことを親身に考える人たちだと思います。人のために考え、行動を起こすことが、 日本人の魅力の一つだし、私自身も見習うべきだと思っています。中国は自己主張の強い国だから、日本ほどの配慮はありません。デメリットは、日本語のメールや読み書きは独特で難しいので、覚えるのに時間がかかります。話すことができても日本の敬語は難しいです。

石垣:メリットは旅行で海外に行くときと違った面が見えること。現地の人だけでなく、移住して来た他国の人とも触れることもできます。また、語学力はもちろん身に付きますが、恐れずに自己主張をできるようになったこともメリットだと感じています。もちろん日本を離れて寂しさを感じることはありましたが、デメリットを感じたことはありません。とにかく自分から積極的になることが大切で、自分の頑張り次第で海外生活は楽しいものになると思っています。

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Q4:海外で働いて変わった部分や成長したことは?


王:少しずつですが、「人を思う気持ち」を学べていると思います。毎日誰かを褒めるようにしていて、褒めると相手も自分も気持ち良くなれるので意識しています。「おみやげ」という文化も初めは意味が分かりませんでしたが、「人を思う気持ち」が根底にあって、コミュニケーションのきっかけになるのだと知りました。

石垣:自分から積極的に物事を進めることができるようになったこと。日本の職場環境は自分の仕事の担当が決まっていますが、オーストラリアでは幅広く、状況に応じてさまざまな仕事をすることが求められました。そういった環境の中で、自分が何をしたいのか、自分の居場所を獲得するためにどういった動きをするかを考えることができるようになりました。

Q5:人生において、優先順位の高いことを3つ教えて下さい


王:[1.夢 2.家族 3.前向きな姿勢]
夢があることはとても大切なことで、私はユニセフの親善大使になり国連で働くことが夢です。学生時代からユニセフなどのインターンシップやボランティア活動、国連大学のセミナーにも参加していました。学生時代に出会ったユニセフの方々が生き生きと働いている姿を見たのが、きっかけです。2位は家族。3位の前向きな姿勢は、落ち込むエネルギーを、自分の楽しいことややりたいことにチャレンジするエネルギーに使いたいと思っていて、日々心掛けています。

石垣:[1.友達 2.家族 3.経験]
一番大事なことは、相談できる人、相談をしてくれる人がいるかどうかだと思っています。友達に気持ちの面で助けられることが多いからです。海外勤務の際もよく連絡をとって、助けてもらいました。2位の家族も、友達と同様に大切な存在で仕事の相談ができる父、料理など家事の相談ができる母、一緒に遊ぶ姉、と家族がとても仲が良いので助けられています。3位は経験。仕事でもプライベートでも新しいことにチャレンジしていきたいです。成功も失敗も経験することが大切で、そこから学ぶことが多いと思います。また、そこで出会った人からもさまざまな知識を得たいと思っています。


※この記事は2013/12/09にキャリアコンパスに掲載された記事を転載しています。

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