日本国民の大多数が知っている通販番組といえば、ジャパネットたかたの「テレビショッピング」ではないでしょうか。
今回キャリアコンパスでは、ジャパネットたかたの社長であり、お茶の間でもおなじみの高田明さんにインタビューを敢行。※【高田明社長の「高」は、正式にははしごだかの表記です】
20代半ばで、長崎県のいち自営業であった家業「カメラのたかた」に入社し、30代半ばで独立。現在では年商1400億円を売り上げる大企業に育て上げた高田明社長に、今を生きる20代にオススメの書籍を3冊選んでもらいました。果たして、その書籍に込められた思いとは? まずは、高田社長から読者である20代へ向けたメッセージからどうぞ。
目の前の課題に全力で打ち込む先に未来がある
私が20代のころ、父親が経営する「カメラのたかた」は長崎県のみで展開する会社でした。当時一人でも多くの方に写真を買っていただけるように、ホテルの宴会場で写真を撮り、翌日にその写真を朝食会場で販売するということもしていました。このようにカメラ店の時代から現在に至るまで目の前の課題に対して、一つ一つ向き合っていたことで、少しずつ皆さんに認知してもらえるようになれたのです。今65歳になり、振り返って思うのは自分の前にある課題に対して、どれだけ真摯(しんし)に向き合っていくかという積み重ねが、人生を一歩一歩前進させる最大のすべではないかということです。20代の皆さんもまずは目の前の課題にひたむきに自信を持って行動し、豊かな未来を築いていってほしいと思います。今回は20代の皆さんが未来を切り開いて生きる上で、手助けになりそうな書籍を3つ選ばせていただきました。
“今の成功に一極集中”。自分の行動次第で人生が変わることを教えてくれる一冊
1:『スマイルズの世界的名著 自助論 知的生きかた文庫』サミュエル・スマイルズ著 竹内均訳 三笠書房
日本がまだ江戸時代であった1859年にイギリスで出版され、今なお語り継がれるベストセラーです。こちらの本にはさまざまな分野で世界的な成功を収めた人が、どうやって生きてきたかが書かれています。私がこの本で共感できる理由は、「最初から特別な人間として生まれた、特出した才能を持った人が成功を収めるのではなく、生き方や考え方、行動の仕方によって誰にでもその可能性がある」ということが全編にわたり提示されている点です。
私は常々、「受け入れる」「今の成功に一極集中」という考え方を肝に命じて生きてきました。これは目の前にある現状と課題をキチンと受け入れて、先の理想ばかりを追い求めず、全力で今に向き合い行動する、という考え方です。実は、この書籍の中で語られる偉人たちにおいても行動原理が共通していました。
私自身も会社を大きくしていきたいという野心を抱えて今に至ったわけではなく、与えられた課題をしっかりやっていくなかで、少しずつ会社も成長してきましたので、大いに共感できる部分があったのです。20代の人にこの本を読んでもらえれば、これからの一つ一つの行動、目の前にある一瞬一瞬をどれだけ全力で向き合うかで人生は変わるということが理解できるのではないかと思います。
お金の使い方から、生き方を学べる一冊
2:『投資家が「お金」よりも大切にしていること』藤野英人著 講談社
この本は、昨年末東京オフィスの女性社員より、私宛てに『社長の考え方と重なる本があります』とメールが来たことで読んだ一冊です。
この本は、『お金というものは使い方によって人生を豊かにし、平和にする』という価値観に基づき書かれています。人間の生き方や仕事とは何かを「お金」という視点を通して分析して、ひいては“自他不二”や“自他分離”という大乗仏教の価値観にも言及されています。
20代の人にとって「お金を稼ぐこと」を考えると「生計を立てる」ことにしか目が向いていないかもしれません。しかし、この本を読むことでお金の社会的役割、お金を生むことの本質的な価値や意味を大きな視点で学ぶことができるのではないかと思います。
成長の近道はコミュニケーションから。好かれる人間になる方法を学べる一冊
3:『伝説の外資トップが教える コミュニケーションの教科書』新 将命著 講談社
ジョンソン・エンド・ジョンソンなど、誰もが知っている超一流企業の社長を3社歴任するなど、伝説の外資社長として知られる新将命(あたらしまさみ)さんが書いた教科書シリーズのなかで、一番オススメするのがこの一冊です。
人間の基本かつ大前提のスキルである、コミュニケーションスキル。IT化の時代、ネットの時代がもたらす便利さの恩恵を受ける反面、対面でのコミュニケーションがおろそかな時代になってしまったように思います。私は、そんな時代のなかでも20代のうちから人との関係を円滑に築き、好かれる人間になっていくことで、成長しながらいい人生を送ることができるのではないかと思います。この本では、対面での話し方や聞き方、態度という基本的なことが、ビジネスシーンや経営者である新さんの視点で語られています。
最初に挙げた、自助論から自分で努力していくことを学び、2つ目に挙げた本からは、お金というものの本質的な価値の話を知り、そして最後の本では人に気持ちいい印象を与えるコミュニケーション術を会得して、これからの時代をつくる20代の皆さんには大いに羽ばたいていただきたいと思います。
高田さんが選んだ、人生を飛躍させていく上で必要なことを学べる3冊の書籍。いかがでしたでしょうか? 目の前の仕事につまずいたり、立ち止まって考えてみたいと思っている人、これらの書籍を一度手にとってみてはいかがでしょうか?
識者プロフィール
高田明/1948年生まれ。長崎県出身。株式会社ジャパネットたかた代表取締役。74年父親が経営する「カメラのたかた」入社。86年に独立して株式会社たかたを設立、社長に就任。90年に始めたラジオショッピングをきっかけに通信販売業を開始。99年ジャパネットたかたに社名変更。
※この記事は2014/06/23にキャリアコンパスに掲載された記事を転載しています
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