「このプロジェクトの担当は、君に任せようと思っているのだが」
「はい! 私には役不足ですが、頑張ります」
「君、ちょっとねぇ……」
突然、上司から仕事を任せられ、勢いづけるつもりが言葉のちょっとした間違いで台無しに……。みなさんにはそんな経験、ありませんか?
謙虚に振る舞いたくてつい言ってしまいがちな「役不足」ですが、言いたかった意味とは真逆だったようです。
「役不足」はエラそうに見えてしまうかも?
「役不足」とは、人物の力量に比べて、仕事や役割が不相応に軽いことをいいます。もともとは歌舞伎や演劇などで、自分の実力には見合わない軽い役を与えられたことへの不満を示す言葉として使われました。
言葉に「不足」が含まれているため、控えめな仕草で発言すると、謙虚な雰囲気が感じられる気もしますが、実は「自分の実力からしたらこんな仕事じゃ物足りない!」と言っているようなもの。謙遜が重んじられる日本では、自分に対して使うとエラそうに思われてしまう可能性が高いでしょう。
使うとしたら、例えば先輩に対して。
「山田さんには役不足で申し訳ないのですが、プロジェクトのこの業務のサポートをお願いできませんか?」
「力不足」を使ってみましょう
任されたプロジェクトの、最初の会議。
「私では力不足かもしれませんが、頑張ります!」
力不足とは、役不足とは反対に、役割に対して人物の力量が足りていないこと。謙遜して使いたいときは役不足ではなく、このように力不足を使うのが正しいといえます。
また、謝罪の際に「私の力不足で申し訳ありません」などと言うのも正しい用例です。
「役不足」と「力不足」を一言で表すと
今回、解説した「役不足」と「力不足」の違いを一言で表すとこちら。
正反対の意味を表す言葉なので、意味を覚えて、正しく使いましょう。
文=遠藤光太
イラスト=前田はんきち
編集=五十嵐大+TAPE
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