睡眠のメカニズムとは?
睡眠には記憶・疲労回復・成長の3つを促す役割があり、心身の健康を保つうえで非常に重要な役割を持っています。
ご存じの方も多いかと思いますが、睡眠は「レム睡眠」と「ノンレム睡眠」のふたつに分かれています。レム睡眠はまぶたの下で眼球が急速に運動しており、身体は眠っていて脳は目が覚めた状態です。夢を見ていることが多く、1回のレム睡眠は10~30分間持続しています。一方ノンレム睡眠時では身体も脳も眠っている状態で、実は眠りの深さで3段階のステージがあります。1回の睡眠中にも“70〜90分のノンレム睡眠→10~30分のレム睡眠→ノンレム睡眠→レム睡眠……”というサイクルを何度か繰り返しているのです。
睡眠リズムがレム睡眠とノンレム睡眠を繰り返しているなか、体温は就寝時にグッと下がり、目覚める直前から徐々に上昇していきます。
【無料診断】そのモヤモヤの原因は?生き方のヒントが見つかる「モヤモヤ解消診断」
夜の睡眠にまつわる噂を徹底解明!
睡眠についてはさまざまな噂がありますよね。なかには医学的・科学的根拠のないものも多いので注意しましょう。次は、睡眠にまつわる噂について、ズバリ〇×で回答していきます。
睡眠は90分単位で区切ると良いって本当?
⇒「×」周期は90分と明確に決まっているわけではありません
「睡眠には90分のサイクルがある」「90分区切りで起床するといい」とよく言われていますが、睡眠周期はきっちり90分ではありません。個人差もありますし、一晩でも最初は70分、次は90分、その次は110分と一定ではないこともあります。疲れがたまっている状態や寝不足の場合、寝付いてからの最初の睡眠サイクル(ノンレム睡眠→レム睡眠)が長くなることもあります。人によって周期やリズムが異なるので、“入眠後90分の倍数で起きると目覚めがいい”とは言えないのです。ただし、睡眠習慣も関係しているので、十分な睡眠時間を確保しつつ規則正しく寝起きすると、いつも起きている時間に自然に目覚めやすくなりますよ。
耳栓+アイマスクで睡眠の質が上がる?
⇒「△」睡眠環境の改善が必要な場合は効果的
睡眠の質を上げるために、無音や真っ暗な環境を作り出している方も多いのではないでしょうか。たしかに、睡眠の質を下げないためにも静かで暗い環境が理想的です。人は40~50デシベル以上で覚醒反応が起きるとされているので、大きな道路や繁華街に近いマンションや家であれば音や光を避けるために耳栓やアイマスクの使用も効果的でしょう。ただし、耳栓は目覚ましの音が聞こえにくくなるなど、起床の妨げになる可能性もあるので睡眠環境に問題がない場合にはあえて耳栓やアイマスクを着用する必要はありません。
寝不足だと集中力が落ちるって本当?
⇒「〇」寝不足状態は、お酒を飲んだ直後と同じ状態
睡眠時間が足りていない場合、どんなに仕事に打ち込もうとしても頭が冴えずにボーっとしてしまうこともしばしば。頭痛やめまいが生じることもあり、作業効率は著しく低下してしまいます。さらに、睡眠不足が本当に恐ろしいのは“慣れてしまう”こと。自分では眠気を感じていなくとも、脳や体は大きなダメージを受けているのです。
24時間寝ていない状態、つまり徹夜明けの場合の作業効率指数をアルコール血中濃度換算すると約0.08%にもなります。酒気帯び運転だと判断される基準が0.03%であることを考えると、作業能力の低下レベルは一目瞭然ですよね。
昼寝にまつわる噂を徹底解明!
昼寝は10~15分だと目覚めやすい?
⇒「〇」20分以上眠ると、深い眠りに入ってしまいます
強い眠気が生じている場合には、どんなに我慢しても集中できません。心と体をリフレッシュするためにも、10分程度の昼寝はおすすめです。ただし、入眠後20分以上経過してしまうと、深睡眠に入ってしまうため目覚めにくくなるので注意しましょう。また、昼寝は万能なわけではありません。午後の生産性を高めるためには効果的ですが、あくまで一時的な“仮眠”として捉えて夜もしっかり眠りましょう。
昼食のあとは、お腹いっぱいで眠くなる?
⇒「×」胃腸が動くと眠くなるというのは、真っ赤なうそです!
「昼食のあとは胃腸が動いて眠くなる」という迷信がありますが、医学的・科学的な根拠はまったくありません。昼食後に起こる眠気の正体は“眠気のリズム”のため。空腹時に眠気が生じにくいのは確かですが、満腹感だけで眠気が生じるわけではありません。満腹感に加え睡眠リズムとして14~16時前後は眠くなりやすい時間帯なので、眠くなるのは仕方のないこと。14〜16時に眠気が強まることを見越して、立ち仕事など影響の少ない業務をする時間に充てるとよいでしょう。
睡眠を制する者は、仕事を制する!
ビジネスパーソンとして成長するために、「睡眠時間を削って仕事をしたい」と考えている人もいるのではないでしょうか。しかし、解説したように睡眠不足が招くデメリットは計り知れません。日中の最高のパフォーマンスを維持するために「眠るのも仕事」と考え、ライフスタイルや自分にぴったり合った睡眠習慣を身に付けて、より高いパフォーマンスを発揮できるように土台を整えてくださいね。
【監修】
中村真樹●日本睡眠学会専門医。2008年睡眠総合ケアクリニック代々木に入職。2012年、同病院の院長となり、睡眠で悩むビジネスパーソンを月に300人以上診察する。2017年6月には青山・表参道睡眠ストレスクリニックを開院。
https://omotesando-sleep.com/
文=山本杏奈
編集=五十嵐 大+TAPE
【関連記事】
【睡眠専門医に聞いた】「8時間が最適」は本当? 自分に合った睡眠時間を知る方法
【睡眠専門医に聞いた】「休日の寝だめ」は意味がない?ビジネスパーソンの疲れを効果的にとる睡眠方法
【睡眠専門医に聞いた】就寝前の些細な行動で“眠り”が激変! 睡眠の質を上げるためのコツ
【睡眠専門医に聞いた】「ショートスリーパー」の見極め方とは?知られざる“短時間睡眠体質”の実態
【睡眠専門医に聞いた】睡眠のゴールデンタイムは存在しない?! 20代のための質の高い眠り方
あなたの本当の年収がわかる!?
わずか3分であなたの適正年収を診断します