人見知りって?
人見知りについて、佐藤さんは「親しくない人に対して緊張してしまう状態」と言います。
「人は緊張するとつい口数が少なくなりがちです。『自分は人見知りです』と言う人をよく見かけますが、タイプはさまざまです。人前でずっと黙ってしまう人もいれば、中には『本当に?』と思うほどしっかり初対面の相手と話をしている人もいます。人見知りとは表面に表れる態度というより、自分自身の思い込みや自覚によるものなのかもしれません」(佐藤さん、以下同)
人見知りの特徴とは
初対面の人となかなか打ち解けられない人見知り。実際にはどんな特徴があるのでしょうか?
人見知りの特徴①心配性で不安が膨らむ
人見知りの特徴の一つが「心配性」だそうです。
「人見知りで相手とうまく話ができない人は『自分の一言でネガティブな影響が出たらどうしよう』と考えがちです。相手に嫌われるのではないか、相手を怒らせるのではないか、イヤな印象を与えたらどうしようと、悪い想像が膨らんで不安を抱いてしまうのです」
人見知りの特徴②控えめ・遠慮する
二つ目の特徴として「遠慮する」ということが挙げられます。
「人見知りをネガティブに捉える人もいますが、そうとは限りません。大人しく恥ずかしがり屋な印象は、誠実さ、生真面目さ、奥ゆかしさなどポジティブな面を感じさせます。実際、ガツガツと自己主張することが苦手で『相手に遠慮をする』という、控えめな性格の場合が多いです」
人見知りの特徴③リアクションが薄い
三つ目の特徴は「リアクションが薄いこと」です。
「人見知りにもさまざまな人がいます。初対面の人と話すことが緊張するという場合がありますが、相手と目を合わせるのすら怖い、相手と向き合うのが気恥ずかしいという場合、また、相手の話にリアクションを取ることが苦手な場合もあります。一生懸命、相手の話を聞いてはいるのだけれど、リアクションが薄かったり、全くなかったりすることで、『何を考えているか分からない』『ちゃんと話を聞いてくれているのかな』という印象を抱かれることもあります」
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人見知りの原因は?
「自分も人見知りだ」と自覚する人はかなり多いと思います。人見知りをしてしまう原因にはどのようなものがあるのでしょうか。
人見知りの原因①周りの目が気になる
人見知りになる原因の一つは「周りの目が気になる」ことです。
「自分がどう思われるかを過剰に気にしてしまうことが人見知りの原因の一つです。誰かと会話をしていても、相手が何を言っているかよりも自分がどう思われるかを意識してしまいます。つまり、相手ではなく、自分に意識がフォーカスされてしまうのです。そうすると、自分の発言が相手にどう受け取られるかばかりを懸念して、話をすることが怖くなってしまいます」
人見知りの原因②自己評価が低い
自分に意識をフォーカスしてしまう一方で、自分への評価が低いことも人見知りになる原因のようです。
「まだ気を許していない相手と話をすると『自分の意見を否定されるかもしれない』とつい思ってしまう。それで話すのを躊躇してしまうのは、一つには自分に自信がない心の表れ、つまり、自己評価が低いということも考えられます。相手にがっかりされるかも、嫌われてしまうかも、怒らせるかもと思うと不安が募り、できるだけ安全な場所にいたいと考えて、黙りがちになってしまうのです」
人見知りの原因③新しい環境に慣れていない
人見知りをする三つ目の原因として、「場慣れしていない」ことも挙げられます。
「例えば、休みの日にずっと一人で部屋にこもっていたり、昔からの仲の良い友だちとばかり過ごしていたりしていては新しい出会いがありません。その結果、新しい人と会ったときに緊張するようになります。いつも慣れた環境、慣れた人とばかり付き合っていると、新しい出会いが怖く感じるようになります。普段から新しい場所に行ったり、新しいことに挑戦したりしている人や、新しい出会いがある人は人見知りになりにくいと思います」
人見知りは短所じゃない?人見知りの強み
ビジネスの場では特に、人見知りはネガティブに捉えられがちです。そのため「克服したい」と思う人も多いと思いますが、人見知りにはポジティブな側面もあります。
相手を気遣える力が強みになることも
「人見知りとは正反対に、初対面でいきなり自分の意見をガンガン主張する人を想像してみてください。周囲のことを考えずに自分の言いたいことだけを言う人も、あまりポジティブな印象を持たれません。一方で、人見知りの人は控え目な態度で、相手の話をまず聞こうとする姿勢や、『これを言ったら相手はどう思うか』など、相手に対する配慮や気遣いがはたらきます。そのため『この人は気遣いができる人』と信頼を寄せられる可能性もあります」
チームメンバーの相談役として力を発揮
企業や部署といった組織に、同じタイプの人間ばかりが集まると、それぞれの強みを活かしたはたらきができません。人見知りの人にも、その性質にマッチした役割があります。
「たしかにアイデアを出し合うブレストなどでは自己主張の強さも必要です。しかし、チームメンバーが困っているときや悩みを抱えているとき、必要なのは話を聞いてくれる相手です。そうしたケアが必要な場面においては、相手を不快にさせない『人見知りの気遣い』が力を発揮することがあります」
人見知りを解消する方法とは?
上記に記したように人見知りは決して悪いことではありません。しかし人見知りを解消したいと感じている人も多いと思います。そこでここでは三つの方法を紹介します。
リラックスする状態を作る
人見知りを軽減する方法の一つとして紹介するのは、「自分がリラックスする状態を作る」ことです。
「人見知りの人は場慣れせず、新しい環境が苦手だという人が多いようです。新しいことをするときには、慣れた自分でいた方がいいです。例えば、新しい取引先の人に会う時に新しい服を来て新しい場所に行けば、初めてのことだらけになります。すると緊張の度合いは増します。
そこで、場所を指定することができるなら自分に馴染みがあり、リラックスできる場所を選ぶのもいいでしょう。また、お気に入りの服装や、気持ちが楽になるアイテムを持つ、リラックスする音楽を聴くなど、自分が心地よい環境を自分で作るように心掛けます」
新しいことに慣れる練習を生活に取り入れる
普段から新しいことに慣れておくこともオススメです。
「いつもの店、いつもの場所ではない選択をしてみる。例えば、新しいお店に行ってみる、新しい道を通ってみる。ガラッと変えなくても、少し変化を持たせる。新しい場所に行けば、行きつけの場所とは違い、自己紹介をすることが必要になるかもしれません。そうすると会話の練習にもなりますし、人との会話から、仕事のアイデアや問題解決のヒントにもなる可能性があります。新しい出会いに慣れておくことで、緊張をやわらげ、リラックスした状態で臆することなく、自分らしさを表現することができるようになります」
話しかけられやすい人になる
人見知りの人は、「自分が話をしないといけない」と義務感を抱きがちです。しかし、人見知りを解消するには自分から率先して話をすること以上に、相手から話をしてもらうことが重要だと言います。
「重要なのは、話しやすい人になることです。例えば、目の前に知らない複数人の人がいるとします。その中には話しかけやすい人と、話しかけづらい人がいるでしょう。『イライラしている』『忙しそう』な状態の人や、『暗そう』『怖そう』といった雰囲気の人には話しかけづらいと思います。
一方で、笑顔で表情が明るい人、柔らかい印象で優しそうな人、落ち着いて見える人には話し掛けやすいでしょう。人見知りの人は『話しかけないでほしい』というオーラを知らず知らずに出している場合が多いです。それを、『話しかけても大丈夫』というオープンハートになるように心がけるだけでも、人見知りの解消につながると思います」
リアクションをする
さらに人見知りを解消する方法として「リアクションをする」があります。
「人見知りの人に心がけてほしいのは、リアクションを取ることです。人見知りを克服しようとすると、ついやってしまうのが自らアクションを起こそうとすること。例えば、『話のネタを用意する』とかですね。でも能動的なアクションは必要ありません。
相手が話すことをちゃんと聞く、受け止めることが重要です。『ああ、この人は私の話を真摯に聞いてくれている』『信頼できる』『好感が持てる』と思われるかどうかは聞く態度にかかっています。一生懸命聞いていても能面のような顔で聞くのではなく、相手に分かりやすいようにリアクションをとってほしいのです。笑顔でうなずくだけでなく、驚いた表情や声に出して、『へえ』『なるほど』といった相づち、具体的な感想を言うなどです。
また、質問をすることでより『真剣に聞いてくれている』という印象になります。質問もリアクションの一つで、特に大切です。相手の話をちゃんと聞いていなければ質問できないからです。『絶対に質問をする』というくらいの意識で相手の話を聞いてみてください。すると、必然的に内容を真剣に聞くようになり、意識が自分ではなく相手に向くようになります。その結果、自然と『自分がどう思われるか』を意識しなくなり、相手からも『向き合ってくれている』という信頼につながります」
まとめ
新しい出会いはビジネスにおけるチャンス。その機会を逃さないためにも「人見知り」を解消したいと考える人も多いでしょう。そうした方は本記事を参考に、人見知りの解消にチャレンジしてみてはいかがでしょうか。
【プロフィール】
佐藤智子(さとう ともこ)
プロインタビュアー。コミュニケーション講師。ヤフーニュースオーサーとして、インタビュー記事を配信中。出版社の女性誌編集部にて、1万人以上の著名人、専門家のインタビューを担当するほか、ビジネス、人間関係、恋愛記事などを手がける。また、読者の電話相談も約5千件受ける。社会人向けのセミナーやワークショップの講師、小・中・高校でゲストティーチャーとして授業も行なう。また、現在は個人セッション、個人コンサルも受けている。著書に『「人見知りさん」ですけどこんなに話せます!』(三笠書房)『「聞き上手さん」の習慣』(飛鳥新社)、『みんなひとみしり』(主婦の友社)などがある。
佐藤智子 記事一覧
「人見知りさん」ですけどこんなに話せます!(三笠書房)
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