- 「ご放念」とは
- 「ご放念ください」の意味
- 「ご放念ください」を使うタイミング
- 「ご放念ください」の使い方・例文
- 「ご放念ください」を使う際の注意点
- 「ご放念ください」の類語・言い換え表現
- 相手に「ご放念ください」と伝えられたら返信する?
- 「ご放念ください」を英語で表現するには?
- 「ご放念ください」は目上の相手に使える表現
「ご放念ください」とは、誤ってメールを送信したときや、相手にお願いするときなどに使う言葉です。「ご放念いただけますと幸いに存じます」や「既に対応済みでしたらご放念ください」などと表現します。
使用にあたって、「ご放念ください」が社外向けの表現であること、「失念」とは異なる意味を持つことなどを理解しておかなければなりません。本記事では、「ご放念ください」の意味や正しい使い方を解説します。
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「ご放念」とは
そもそも「放念(読み方:ほうねん)」とは、「気にかけないこと」や「心配しないこと」です。「放念」に接頭語の「ご」をつけて「ご放念」とすることで、丁寧に表現しています。
「ご放念ください」の意味
「ご放念ください」は、「ご放念」に尊敬語の「ください」をつけた言葉です。相手に「ご放念ください」と述べると、「気にしないでください」「心配しないでください」という意味になります。
「ご放念ください」を使うタイミング
ビジネスにおいて、さまざまな場面で「ご放念ください」を使う機会があります。ここから、「ご放念ください」を使う具体的なタイミングをいくつか確認していきましょう。
誤ってメールを送信してしまった場合
宛先を間違えてメールを送信すると、受け取った相手を困惑させてしまうでしょう。そこで、「ご放念くださいますようお願い申し上げます」などの表現を使うことで、「相手に送ったメールのことは気にしないでください」という意図を明確に伝えられます。
ただし、個人情報・機密情報の流出は大きな問題です。誤って顧客の個人情報を別の顧客に送ったり、取引先A社の機密情報を別の取引先B社に送ってしまったりするなど、情報漏洩につながりうる場合は、安易にメール1通で対応してはいけません。自分ひとりで判断・対応せず、速やかに直属の上司に相談しましょう。
相手から謝罪を受けた場合
取引先などから謝罪を受けた場合も、「心配しないでください」の意味を持つ「ご放念ください」で返答できます。すでに問題や課題が解消している場合に、「本件は既に解決しているので、どうぞご放念ください」と伝えることで、相手を安心させられます。
相手に断りを入れる場合
相手に断りを入れる際も、「ご放念ください」を使うことがあります。具体例は、お中元やお歳暮・年末年始の挨拶などを断る場合です。
例えば、いつもお歳暮のやり取りをしている取引先に「来年から結構です」と伝えると、失礼な印象を与えかねません。そこで、「来年以降のお歳暮は、ご放念くださいますようお願い申し上げます」と伝えることにより、丁寧な印象を与えられます。
相手にお願いする場合
取引先へ何かお願いする際も、場合によっては「ご放念ください」を使うことがあります。
例えば、「今週〇〇様の都合のよろしいときに、直接ご説明させていただけますでしょうか」といった文章に「難しい場合は、ご放念ください」と付け加えれば、相手にとって断りやすい状況を作り出せるはずです。自分の気遣いが相手に伝われば、今後さらに良好な関係を築き上げられるでしょう。
依頼したことを中止してもらう場合
自分から相手に何かを依頼していたにもかかわらず、状況が変わって必要がなくなった場合にも、「ご放念ください」を使うことがあります。
具体例は、相手にメールや資料の送信を依頼した後に自分自身で関連情報を確認できたり、会社の方針が変わって関連情報自体を用いる機会がなくなったりするケースです。早めに「ご放念ください」と伝えることで、相手に余計な手間をとらせることを避けられます。
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「ご放念ください」の使い方・例文
「ご放念ください」に関連した定型文としてよく使うのが、「既に対応済みでしたらご放念ください」「ご放念いただけますと幸いです」「ご放念くださいますようお願い申し上げます」などです。それぞれの使い方を例文とあわせて解説します。
依頼時に「既に対応済みでしたらご放念ください」
取引先に何かを依頼する際、既に相手が対応している場合や、行き違いの場合があることも考慮しなければなりません。ビジネスメールの本文に「既に対応済みでしたらご放念ください」と添えれば、既に相手が対応済みでも不快な思いをさせずに済むでしょう。
以下は、販売先からの入金が期日になっても確認できない場合の例文です。
昨日がお支払い期限でしたが、本日16時現在入金の確認ができておりません。お忙しいところ恐れいりますが、状況をご確認の上、〇〇までご連絡いただきますようお願い申し上げます。
なお、既に対応済みでしたらご放念ください。
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誤ってメールを送信したら「ご放念いただけますと幸いです」
作成途中のメールを誤って相手に送ってしまった場合、「ご放念いただけますと幸いです」を使用します。以下の例文のように「存じます」をつけると、より丁寧に伝えられるでしょう。
□□様
いつもお世話になっております。△△会社の●●と申します。
先ほど、作成途中のメールを誤って□□様に送ってしまいました。
大変申し訳ございません。
ただいまお送りしたメールの内容については、ご放念いただけますと幸いに存じます。
あらためて、メールをお送りいたします。
何卒よろしくお願い申し上げます。
丁寧に表現するなら「ご放念くださいますようお願い申し上げます」
「ご放念ください」に相手を敬う表現の「お願い申し上げます」を付け加えて「ご放念くださいますようお願い申し上げます」とすることで、より丁寧に表現可能です。例えば、取引先に資料を依頼するも急遽不要になった場合に、「ご放念くださいますようお願い申し上げます」を使って以下のように伝えられます。
□□様
いつもお世話になっております。△△会社の●●と申します。
本日は弊社までお越しいただき、ありがとうございます。
先ほど、弊社の〇〇がすでに貴社の■■さまからプロジェクトに関する資料を拝受していたことが判明しました。
そのため、面談時にお願いしていた資料の準備につきましては、ご放念くださいますようお願い申し上げます。
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「ご放念ください」を使う際の注意点
「ご放念ください」は目上の相手にも使用できる丁寧な表現です。ただし、使う際にはいくつかの点に気をつけなければなりません。
それぞれ解説します。
主にビジネスメールで使用する
「ご放念ください」は、主にビジネスメールや書面などで使います。日常会話や雑談などで、「ご放念ください」を使うと、堅苦しい印象を与えてしまうでしょう。
会話の中で「ご放念ください」を表現する際は、「お気になさらないでください」などで言い換えることが一般的です。
主に取引先など社外の相手に対して使用する
「ご放念ください」は、主に取引先など社外の相手に対して使用しましょう。
社内の相手に使用できないわけではないですが、かしこまった印象を与える可能性があります。この場合も、「お気になさらないでください」などの言い換え表現を用いるとよいでしょう。
自分が何かを忘れたら「失念」を使う
自分がメールの返信やスケジュールなどを忘れたときは、「失念」を使うようにしましょう。「放念」は相手が「気にかけないこと」や「心配しないこと」を意味するのに対し、「失念」は自分が「うっかり忘れること」です。
失念の詳しい意味については、以下の記事も参考にしてください。
<関連記事>「失念」の意味とは?ビジネスシーンでの使い方を例文付きで解説!
自分が謝罪する場面では使わない
「ご放念ください」は、謝罪して相手に自分のしたことを許してもらう場面には使いません。
謝罪メールを送る際は、シンプルに「大変失礼いたしました」「申し訳ございません」「お詫び申し上げます」などを使いましょう。また、相手の要求・希望を断ることを詫びる場面や、相手に理解・同意を求める場面では、「ご容赦ください」を使うこともあります。
<関連記事>ご容赦くださいの意味や使い方をマスター!了承との違いも理解しよう
「ご放念ください」の類語・言い換え表現
「ご放念ください」には、いくつか類語や言い換え表現があります。それぞれ確認していきましょう。
(お)気になさらないでください
「(お)気になさらないでください」は、相手の謝罪に対して気にする必要がないことを伝える言葉です。「ご放念ください」が相手に伝わりにくそうな場面や、自分の発言で堅苦しい雰囲気にしたくない場面では、「気になさらないでください」と言い換えましょう。
「気になさらないでください」の例文
(日付を間違えていたことを相手から謝罪されて)
こちらの説明不足でもありますので、どうかお気になさらないでください。
お見捨て置きください
「捨て置く」とは、「そのままにしておく」「かまわないで放っておく」という意味の言葉です。自分が送ったメールに対して相手が返信する必要がないことを伝える際に、「お見捨て置きください」を使うことがあります。
「お見捨て置きください」の例文
(メール本文でスケジュールなどを説明して)
なお、本メールはお知らせになりますため、どうぞお見捨て置きくださいませ。
ご放心ください
「放心」とは、「気にかけないこと」や「心配ごとを心から払いのけること」です。「ご放念ください」と同様に、相手に気にしないで欲しいと伝える際に「ご放心ください」を使います。
「ご放心ください」の例文
先ほどの件は解決済みですので、ご放心くださいませ。
相手に「ご放念ください」と伝えられたら返信する?
取引先からのメールに「ご放念ください」と記載されていると、そのメールに対して返信すべきか悩むことでしょう。
文脈から、相手が「ご放念ください」を返信不要の意味で使っていることがわかれば、特段返信する必要はありません。ただし、内容の中に自分への質問や確認が含まれている場合は回答のメールを送りましょう。
また、相手が得意先である場合は「ご配慮いただきありがとうございます」などと返信をすることもあります。
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「ご放念ください」を英語で表現するには?
「ご放念ください」を英語で表現する方法として、主に「①無視してください」「②忘れてください」「③心配しないでください」の3つがあります。
それぞれを表現した英文は、以下のとおりです。
1. Please disregard my previous message.
(先ほどのメッセージにつきましては、ご放念ください)
2. Please forget about the matter I mentioned before.
(先ほどお話しした件につきましては、ご放念ください)
3. Please don't worry about this matter.
(こちらの件につきましては、ご放念ください)
「ご放念ください」は目上の相手に使える表現
「ご放念ください」は、ビジネスメールなどで目上の相手に使える丁寧な表現です。誤ってメールを送信してしまった場合や相手から謝罪を受けた場合などに、「気にしないでください」という意味で使います。
ただし、「ご放念ください」は主に社外向けの表現であることに注意が必要です。また、「失念」は「自分」が忘れることを指すのに対し、「ご放念」が「相手」に「気にしないこと」「心配しないこと」を伝える表現であることも理解しておきましょう。
今後、取引先に「気にしないでほしい」と伝える際は、注意点を理解した上で「ご放念ください」を使用してください。
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