- 話が噛み合わないとビジネスでトラブルになることも
- なぜ話が噛み合わないのか?
- 話が噛み合わないと感じた場合の対処法
- 相手とうまく意思疎通するために意識するべきことは?
- 話が噛み合わなかったらお互いに歩み寄ることが大切
「上司に指示された通りに資料を作成したはずなのに、『全然違う!』とやり直しになってしまった…」というような経験はありませんか? コミュニケーションのズレはさまざまな弊害を生み、個人だけでなく会社や顧客にも影響を及ぼすことがあります。今回は、コミュニケーションの専門家である横山信弘さんにうかがった話をもとに、ビジネスで話が噛み合わない原因とその対処法について解説していきます。
話が噛み合わないとビジネスでトラブルになることも
ビジネスでは上司や同僚、顧客など、さまざまな立場の人と会話を交わし、コミュニケーションを図ります。そのなかで、場合によってはお互いの話が噛み合わず、トラブルに発展してしまったという経験がある人も少なくないのではないでしょうか。
例えば、上司の指示がうまく部下に伝わっておらず、作成したレポートやデータに対するダメだしを受けたり、何度もやり直しをさせられてしまったりなどのケースが挙げられます。また、これらが原因で、進行スケジュールの遅延につながるケースや、顧客の信頼を失ってしまう可能性もあるでしょう。
このように、話が噛み合わないことが原因で自分自身はもちろん、会社や顧客などにも悪影響がおよびかねないので、十分な注意が必要です。
なぜ話が噛み合わないのか?
そもそもなぜ、「話が噛み合わない」という状況が生まれてしまうのでしょうか。話が噛み合わない状況が生まれる背景には、いくつかの原因があります。
確認を怠っている
若手のビジネスパーソンの場合、上司などから指示をされる機会が多いでしょう。その際、「こう理解しているのですが、合っていますか」というような指示内容の確認を怠ってしまうと、必要な情報の取りこぼしが起きかねません。
このように、確認不足や間違った情報を鵜呑みにした結果、話が噛み合わなくなることがあります。
また、同僚に何か作業を依頼する、協力を仰ぐなど自分から人に指示する場面もあると思います。その際、分かりやすく指示を伝えられるように意識できなければ、話が噛み合わなくなることがあるでしょう。そのせいで、作業をお願いした相手のミスを誘発したり、お互いの認識のズレの調整に時間を要したりするかもしれません。
知識に差がある
どちらか一方の知識が少ない、もしくは多いというように、もともと備えている知識に差があると相手の言っていることが理解できず、話が噛み合わない状況を生み出してしまいがちです。
例えば、営業担当の社員と事務担当の社員で社内の業務効率化の会議をしても、お互いの業務に関する知識が不足しているので話がまったく噛み合わず、議論が平行線になってしまうというケースもあります。
専門用語・ビジネス用語を使っている
話し手が専門用語やビジネス用語を多用し、その意味が聞き手に伝わっていないと、話の内容が十分に伝わらず、誤解が生まれやすくなります。
例えば上司から、「アジェンダを用意してくれ」と言われた場合、「アジェンダ」という言葉の意味を理解している必要があります。言葉の意味が分からなければ、何をすればいいのか分からない状態になり、ますます話が噛み合わなくなるでしょう。
<関連記事>会議のアジェンダとは? 作成マニュアルやレジュメとの違いも解説
話が噛み合わないと感じた場合の対処法
話が噛み合わない状況を避けるには、その原因を踏まえた対処法が必要になります。代表的な方法をいくつか紹介するので、取り入れてみてください。
受けとめた内容を反復して確認する
確認不足や間違った情報を鵜呑みにしないようにするには、いったん自分のなかに正しい情報や理解を落とし込む必要があります。
指示や依頼があった時には、確認せずに「分かりました」と返事することは控え、受け止めた内容を反復するのがよいです。レストランで注文を受けた店員が、その内容を反復してお客さんに確認する姿を意識してみましょう。
また、話し手の立場の場合は、相手が理解してくれているかという聞き手の反応を見ながら、「ここまでで何か質問ありますか?」など、こまめに確認するのがおすすめです。
いったん文字としてアウトプットする
話し手、もしくは聞き手の知識の過不足が埋められないまま会話が進んでしまうと、話は大きくズレていくばかりです。知識の差を埋めるには、そのズレた部分を揃える手段が必要になります。
その際におすすめなのが、会話だけでなく文字としてアウトプットし、内容を見える化することです。
例えば、紙やホワイトボード、オンラインドキュメントなどにトピックスを書きながら話してみましょう。どちらかの知識が不足していても、テキストとしてアウトプットすることによって話の内容が整理できるようになります。質問もしやすくなるので、より伝わりやすくなるでしょう。
図で表現してイメージを共有する
専門用語を用いて説明しなければいけないときや、うまく言葉で説明できないとき、話の内容をより分かりやすく伝えたいときは、図で表す方法も有効です。言葉や文字だけでは伝わりにくいことも、図を用いてビジュアルで説明すると理解を深めることができます。
例えば、相手が専門用語でつまずいていたとしても、図を示すことによって「そういうことを言っているのか」と納得でき、勘違いや憶測などを生みにくくなるでしょう。
日を改めて仕切り直す
さまざまな対処法を用いても話が噛み合わず、問題が解決しない場合は、日を改めることも効果的です。時間を置いて仕切り直すことで、お互いが冷静、かつ客観的な状態で自分や相手を見られるようになり、話がしやすくなるケースがあります。
会話がヒートアップしてしまうと、「本当は何を話したかったのか」ということが見えにくくなりがちです。日を改めて仕切り直すと、本来のテーマや話題を思い出すきっかけになるでしょう。
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相手とうまく意思疎通するために意識するべきことは?
相手と意思疎通をとりながら、円滑にコミュニケーションを図りたければ、「クールヘッド&ウォームハート(冷静な頭脳とあたたかい心情)」という言葉を意識しましょう。
会話の内容に熱量を持たせつつ、定期的に立ち止まって冷静さを保つことは、コミュニケーションで重要なポイントです。自分で「話が噛み合わないことが多いかも」と感じる人は、「伝えたい」という気持ちを大切にしつつも、衝動的になって話の本質を見失わないように心がけましょう。
話が噛み合わなかったらお互いに歩み寄ることが大切
話が噛み合わないという状況は、必ずしもどちらか一方に原因があるわけではなく、複数の原因が絡み合っている可能性もあります。話をする際には、冷静に「自分が何を伝えたいのか」を意識すると同時に、「相手が自分に何を伝えたいのか」を丁寧に汲み取る気持ちが大切です。注意深く話を聞きながら、相手の思いや意図を引き出すことを心がけていきましょう。
また、誰でも勘違いや誤解、憶測を生んでしまうことがあるため、「話が噛み合わないから、自分はコミュニケーション能力が低いんだ」と卑下する必要はありません。「本来、人間はそういうものだ」と受けとめることも重要です。
もし誤解が生じたのであれば、相手を批判するのではなく、ズレてしまった部分の答え合わせを相手と一緒にする姿勢を持ちたいですね。
監修:株式会社アタックス・セールス・アソシエイツ 代表取締役社長 横山 信弘
企業の現場に入り、目標を「絶対達成」させるコンサルタント。15年間で3,000回以上の関連セミナーや講演、コラム執筆、昨今ではYouTubeチャンネル『予材管理大学』を通じ「予材管理」の普及に力を注いでいる。大企業から中小企業にいたるまで、200社以上を支援した実績を持ち、各種ビジネス誌への寄稿、多数のメディアでの取材経験がある。メルマガ「草創花伝」は3.8万人超の企業経営者、管理者が購読。主な著書には「絶対達成」シリーズのほか、「『空気』で人を動かす」「キミが信頼されないのは話が『ズレてる』だけなんだ」等多数。
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