- ジェネラリスト(ゼネラリスト)とは?
- ジェネラリストのメリット(強み)
- ジェネラリストのデメリット(弱み)
- 企業にはジェネラリストが必要?
- T型人材とは?
- ジェネラリストに必要なスキルとは?鍛える方法も紹介
- ジェネラリストが活躍できるポジションは?
- 変化の激しい現代ビジネス環境にはジェネラリストの需要が高い
「ジェネラリスト」は、特定の分野で深い専門知識を持つ「スペシャリスト」と対照的な人材とされていますが、具体的にどういった人のことを指すのでしょうか。
本記事では、ジェネラリストの概要やメリット・デメリット、身につけるべきスキルなどについて、キャリコンリンク合同会社代表の瀧本博史さんに伺い、詳しく解説します。
ジェネラリスト(ゼネラリスト)とは?
「ジェネラリスト(ゼネラリスト)」とは、ビジネスにおいて、幅広い知識やスキルを持ち、さまざまな分野で活躍できる人を指します。
特徴としては、多様な知識や経験、柔軟性、問題解決力、そしてコミュニケーション力が高い点が挙げられます。ジェネラリストにはこれらを活かし、多角的な視点で物事を捉え、組織全体を見渡して柔軟な判断を下す能力があるのです。
ほかにも、高いコミュニケーションスキルによって、異なる専門分野の人々とも協力しながら、円滑に業務を進める役目も担います。
ジェネラリストとスペシャリストの違いは?
ジェネラリストの対になる言葉に、「スペシャリスト」があります。
スペシャリストとは、特定の分野や専門領域に対し、深く高度な知識や問題解決能力を持つ人を指す、プロフェッショナルのことです。スペシャリストの具体例としては、プログラマーやデータサイエンティストのほか、研究・開発職や弁護士などの職種が挙げられます。
また、よく「ジェネラリストとスペシャリストではどちらが優れているのか」と議論されることがありますが、結論を出すことは困難と言えるでしょう。組織において、スペシャリストは特定の分野に深い洞察を持ったエキスパートとして認識される一方、ジェネラリストは状況に応じて異なる役割を担う柔軟性を持ちマネージャーとして活躍できるなど、それぞれに強みがあるからです。
ジェネラリストのメリット(強み)
組織においてさまざまな分野で活躍するジェネラリストですが、どのような強みがあるのでしょうか。ここでは、ジェネラリストのメリットを詳しく解説します。
多角的な問題解決能力
ジェネラリストは、幅広い知識と経験を持っているため、異なる視点から問題を捉え、バランスの取れた解決策を見つけ出すことができます。さらに、多角的に問題を検討し、さまざまな分野の情報を照合しながら考えることができるため、柔軟かつクリエイティブな解決策へ導けるのです。
高いコミュニケーション力
広範な部門・分野に精通したジェネラリストは、異なるバックグラウンドを持つ人々とも効果的にコミュニケーションがとれます。さまざまな分野の概念を理解し、説明できるので、複数の視点を理解した「橋渡し役」として活躍します。
例えば、新規プロジェクトでは、営業と技術といった異なる部門の意見を調整し、協力的な関係を築けるでしょう。コミュニケーション力を活かし、円滑なプロジェクト進行を可能にするのもジェネラリストの強みです。
柔軟な適応力
変化の激しいビジネス環境においても、ジェネラリストは迅速に適応し、新たな技術や市場の変化に柔軟に対応できます。ジェネラリストは学習意欲が高い傾向があるため、異なる分野の経験を活かしながら、新しい状況に対応し、変化を前向きに捉えた素早い行動が得意なのです。
例えば企業のデジタル化の推進によって、新たなソフトウェアの導入や業務プロセスの変更などが社内で起こった場合でも、迅速に適応し、それらのノウハウをほかの社員に伝える役割を担います。
【無料診断】あなたの仕事力はどれぐらい?リモートワークにも役立つ仕事力をチェック
ジェネラリストのデメリット(弱み)
あらゆる場面で活躍するジェネラリストですが、一方で弱みもあります。組織における、ジェネラリストのデメリットとはどのような側面があるのでしょうか。それぞれ見ていきましょう。
深い専門知識に欠ける
ジェネラリストは広範な知識を持つ一方、特定の分野に対して深い知識に欠ける側面があります。そのため、技術的な問題や専門知識が求められる場面では対応できないことが考えられます。
例えば技術開発のリーダーを担った際には、複雑な技術的課題がある場合はスペシャリストと協力して解決を図ることが重要となってくるでしょう。
意思決定のスピードの低下
ジェネラリストは、生じた問題について多くの視点から考える傾向があるので、意思決定に時間がかかってしまうことがあります。このことは、迅速な対応が求められる場面ではデメリットとなってしまうでしょう。
また、多くの情報を処理することで物事の全体像を捉えるのに時間がかかると、決断に自信が持てなくなる可能性もあります。
【無料診断】そのモヤモヤの原因は?キャリアのヒントが見つかる「モヤモヤ解消診断」
企業にはジェネラリストが必要?
現代は、急速な技術革新や市場の変化に対応する能力が必要です。ジェネラリストの持つ、幅広い知識と経験を活かした柔軟な対応は、まさに求められる資質と言えるでしょう。
先述したように、ジェネラリストは課題に直面した際、異なる視点から問題を解決し、組織全体を俯瞰しながら総合的に判断します。この能力は、新規事業や異業種連携のプロジェクトなどでは欠かせません。ジェネラリストの多角的な視点は、組織のイノベーション推進に不可欠なのです。
またジェネラリストの役割や特徴を理解することは、自身のキャリア形成にも役立ちます。例えば、新たなビジネスアイデアやプロジェクトを立ち上げる際には、管理職や経営層を統括する存在、つまりジェネラリストの資質が必要です。加えて、経理や総務、人事などの管理部門でも広範な業務知識が求められるため、十分に活躍が期待できるでしょう。
ジェネラリストは、企業の柔軟性と適応力を高め、組織を全体的に捉える能力を持っています。現代のビジネスシーンでは、その価値を発揮する場面は数多く、多様なニーズに対応できる人材として今なお期待されているのです。
ジェネラリストとスペシャリスト、どちらを目指すべき?
自分のキャリアに悩む若手ビジネスパーソンが今後のキャリア形成をしていく際、まずはジェネラリストのスキルを磨き、その上でスペシャリストの道を選ぶ柔軟性を持つことは有効な選択肢の一つです。
最初からスペシャリストであれば、そのままキャリアを築いていくことも大いに素晴らしいですが、自分の興味や強みが分からない場合は、キャリアの初期段階で広範な知識と経験を積むのが良いでしょう。これにより、自分の強みや興味を見極めながら、ビジネスの全体像を理解する能力を身につけることができます。このような経験は、自分が進む分野を判断する際の基盤としても活かされます。
その後、特定の分野に興味を持ち、深く掘り下げたいと考えた場合は、スペシャリストを目指すことを視野に入れて専門性を深めていきましょう。ジェネラリストのスキルを身につけてからスペシャリストへ転向することで、柔軟かつ強固なキャリアパスの構築が期待できます。
T型人材とは?
ジェネラリストやスペシャリストに関連して、ビジネスシーンでは「T型人材」も注目を集めています。
T型人材とは、特定の専門分野で深い知識とスキルを持ちつつ、幅広い知識や異なる分野との連携能力を兼ね備えた人材を指します。
アルファベットのTに見立てて、縦軸でデータサイエンティストやマーケティングの専門家などのような高度な専門性、横軸で異なる分野の知識やスキルを持ち、多様なチームやプロジェクトでの協力を得意とする汎用性を表しています。
現代のビジネス環境では、T型人材が競争力を高め、イノベーションを促進できると考えられています。T型人材を目指すことは、キャリアアップへつながる一つの道と言えるでしょう。
【最新版】社会人の平均年収はどれぐらい?年代別・職種別・業種別ランキング
ジェネラリストに必要なスキルとは?鍛える方法も紹介
ジェネラリストを目指すためには、どのようなスキルを身につければいいのでしょうか。スキルを鍛えるための方法について解説します。
多角的な視点と分析力
さまざまな問題が生じるビジネスの現場では、ジェネラリストの広い視野で物事を捉え、解決に導く力が求められます。例えばマーケティング部門では、新製品の市場調査で、消費者心理や市場のトレンド、競合他社の動向の総合的な分析が必要です。この分析は、効果的な戦略の立案や実行へと導きます。
こうしたスキルを鍛えるには、異なる業界や分野の知識を積極的に取り入れることが大切です。具体的には、日常的な業務で多様なデータを分析したり、さまざまな分野のスペシャリストと交流したりすることなどが挙げられます。
柔軟な対応力
予期せぬ問題やチャンスに対処するためには、柔軟な対応力が必要です。例えばプロジェクトの進行中、ビジネス環境に変化があった場合は、素早い状況把握と計画の立て直しが求められます。これに対応することによって、ビジネスチャンスを逃さず、プロジェクトの成功率を高められるのです。
柔軟な対応力を鍛えるためには、予期せぬ状況に直面した際に自分で対策を考えることや、異なる業務や役割に積極的に取り組むこと、また日常生活でも予定外の出来事にどう対処するかを意識することが大切です。これにより、柔軟性を高めることができます。
コミュニケーションスキル
多様な部門や専門分野の人々と連携するには、優れたコミュニケーションスキルが欠かせません。例えば、新製品の開発プロジェクトでは、エンジニアやデザイナー、マーケティング担当者など、異なる部門の人々が集まります。ジェネラリストには、これらのメンバーと効果的にコミュニケーションをとり、共通の目標に向かって推進していく役割が求められます。
コミュニケーションスキルを鍛えるには、相手に定期的なフィードバックを求めるようにしましょう。加えて、プレゼンテーションや会議で積極的に発言したり、チームプロジェクトに参加する経験を増やし、さまざまな人との交流を持ったりすることが有効です。
プロジェクト管理能力
ジェネラリストは、プロジェクト管理を担う機会が多い存在です。スケジュール通りの進行やリソースの最適活用など、事前にリスク対策を講じながら、プロジェクトの成功を目指すことになるので、計画の立案や進捗管理、リソース配分、リスク管理といった幅広いスキルが求められます。
こうした能力を鍛えるには、まず小規模なプロジェクトの担当に就くことから始めてみましょう。また、プロジェクト管理に関する専門知識を学ぶため、研修やオンライン講座を受講したり、プロジェクト管理ツールを活用したりすることも効果的です。
ジェネラリストが活躍できるポジションは?
ジェネラリストは会社組織のどのような場所で活躍しているのでしょうか。ジェネラリストの能力が求められるポジションをいくつか紹介します。
イノベーション推進
イノベーション推進は、新規事業開発や改革プロジェクトで重要な役割を果たし、部門横断的なプロジェクトをリードします。
幅広い知識と経験に基づいて多角的なアプローチが求められるため、ジェネラリストの異なる部署の協力を得ながら、新たなアイデアを具体化し実行に移す能力が重宝されるでしょう。
具体的な業務例としては、市場調査から事業計画の策定、マーケティング戦略の立案、製品開発の進行管理、予算管理などがあります。全体のプロジェクト進捗を統括するスキルが求められるので、ジェネラリストに適したポジションと言えるでしょう。
リスクマネジメント
リスクマネジメントは、企業のリスクを特定し、評価、対策を講じる役割を担います。
ジェネラリストは多角的な視点でリスクを評価でき、部門間の調整に優れています。加えて、全社的なリスク管理を実現し、迅速かつ柔軟な対応が得意なので、リスクマネジメントとして全体的なリスク管理対策の立案もできるでしょう。
カスタマーエクスペリエンス(CX)推進
カスタマーエクスペリエンス推進は、顧客の製品やサービス利用体験を管理し、向上させる役割を担います。
ジェネラリストとして、顧客の多様なニーズを理解し対応する力、部門横断的な調整能力、改善のための戦略的な思考が活かされます。
具体的には、新製品の公開時にマーケティングや開発チームと共に、顧客のフィードバックに基づく迅速な製品改良を担当するケースや、顧客からの問い合わせの対応プロセスを見直し、効率的で満足度の高いサービス提供を実現するシステムの導入などが挙げられます。
【無料診断】いまの仕事に対する満足度は?仕事探しの軸がわかる
変化の激しい現代ビジネス環境にはジェネラリストの需要が高い
問題を俯瞰的に捉え、多角的に解決策を導くジェネラリストは、組織に欠かせない人材です。分野や部署を飛び越えて、協力的な関係を築くこともできるため、組織の中の架け橋役として、活躍できる場所が多くあります。
そのため、変化の激しい現代のビジネス環境において、ジェネラリストの需要は高いと言えます。ここで紹介したような必要なスキルを鍛えることで、更なるキャリアアップを目指してはいかがでしょうか。
監修:キャリコンリンク合同会社代表 瀧本博史
転職コンサルタント・心理カウンセラー。国家資格 2 級キャリアコンサルティング技能士、産業カウンセラー、心理相談員など多数の資格を保有。キャリアの専門家として職業訓練校での就職指導、大学講師、ハローワークや公共機関などの相談員を務めているほか、心理カウンセラーとして心の問題のケアにも従事。NHK 総合の就活ドラマを監修。著書は『オンライン就活は面接が 9 割』(青春出版社)、『2026 年度版 本気で内定!面接対策』(新星出版社)など。
【関連記事】
人脈づくりはなぜ重要?ビジネス上のメリットや広げ方、注意点について解説
スキルアップとは?メリットと効果的な高め方を分かりやすく解説
あなたの本当の年収がわかる!?
わずか3分であなたの適正年収を診断します