働く人の多くが悩まされる、“肩こり”や“首こり”。特にデスクワーカーの人は発症しては治って、発症しては治っての無限ループを繰り返していることでしょう。出来るものならば、きちんと治し、仕事に集中して取り組みたいもの。
解決策として有名なのが、適度な運動。しかし、働いている人にとって、毎日運動する時間を確保するのは難しいですよね。運動しても1日で終わってしまうのが関の山ではないでしょうか?
そんな人に朗報です!運動をしなくとも、慢性的な肩こり・首こりを解消する方法がありました。その方法とは、「PNFトレーニング」。今回、「PNFトレーニング」の専門家でもある、渡邊亜紀子さんに首こり・肩こりの原因から「PNFトレーニング」の具体的なやり方までお伺いしました。
仕事の姿勢に問題アリ?首こり・肩こりの主な原因は「身体の歪み」
そもそも、首こり・肩こりが発生してしまう原因はどこにあるのでしょうか?「働き始めてから、肩こり・首こりとずっと付き合い続けている」という方も多いと思います。
渡邊さんによると、肩こりや首こりは、ほとんど「身体の歪み」が原因とのこと。「身体の歪み」は、主に同じ姿勢で長時間過ごすことに問題があり、同じ姿勢でい続けると、同じ部分に負荷がかかっていくため、血流も悪くなる一方・・・。その結果、疲労物質も流されにくく、疲労がどんどん溜まり、コリが出来てしまうのです。
他にも、身体の歪みは内臓の問題や精神的な問題によって発生してしまうそうですが、ほとんどは「姿勢」が原因。首こり・肩こりを軽減するには、まず「姿勢」を改善することが急務と言えそうです。では、具体的にどのようなことを意識すべきなのでしょうか?
あなたはどれだけ当てはまっている?身体が歪んでいる人に共通する行動習慣
渡邊さんによると、一般的には下記の3つのことをやってしまうと、身体に歪みが出来やすくなってしまうそうです。
1.脚を組んで仕事をする
2.鞄を片側だけで持って歩く。
3.パソコンやスマートフォンを長時間続けて使用する
そうはいっても、3つ目に関しては仕事で使うこともあり、どうしようもない部分があると思います。パソコンを長時間使っている人は、休憩時間などに簡単なストレッチや体操などを行うようにすると良いそうです。たったこれだけでも、だいぶ改善されるとのこと。
また、スマートフォンの使用は特に身体の歪みを促進させてしまうそうなので、時折自分の姿勢を気にしてみるようにしましょう。立ち止まった、自分の姿勢を確認してみると、意外と首が前に出てしまっているもの。その姿勢では身体も歪みやすくなり、また歩く姿勢も悪くなってしまうので、身体に悪い影響しかありません。
もちろん意識して改善できるのであれば良いのですが、自分の癖になってしまっているものは、なかなか改善できないものです。また、運動する時間も確保できず・・・。そういった中、渡邊さんがオススメするのは「PNFトレーニング」。一体、どういったものなのでしょうか?
筋力の向上や正常な可動域を取り戻すことが目的。慢性的なコリに悩まされている人、必見の「PNFトレーニング」
まず言葉の説明からすると、PNFは 、「Proprioceptive(固有受容性感覚器)」、「Neuromuscular(神経筋)」、「Facilitation(促通)」という3つの言葉の頭文字をとったもの。
身体の感覚受容器を刺激することにより、弱まった筋肉と脳神経の結び付きを活性化させていくトレーニング。 主に脳血管障害や脳性麻痺のリハビリとして用いられてきたそうです。
また、PNFトレーニングは人が本来持ち合わせている運動機能を引き出していくことから、今ではリハビリ目的以外にも筋力の低下や可動域制限など、日常生活に必要な運動機能の向上にも用いられるようになってきているとのこと。
「肩こりや首こりのコリの部分にのみ直接アプローチしコリを取り除くのではなく、トレーニングを行うことにより筋力の向上や正常な可動域を取り戻す。これによって、コリにくい身体を目指していくのが『PNFトレーニング』です」と渡邊さん。コリを取り除いても、またすぐにこってしまう人にはお勧めのトレーニング方法だそうです。
今日から早速実践!「PNFトレーニング」の具体的なやり方
では、「PNFトレーニング」をやろうと思った際、どのようにやればいいのでしょうか?具体的なトレーニング方法についても、渡邊さんにお伺いしました。
1. まずは身体を軽く動かし、固まりをほぐす
「PNFトレーニング」は、動かす方向に軽い抵抗を入れて静止するのを基本とします。ですので、いきなり抵抗を入れる前に、固まっている身体を軽く動かしましょう。
デスクワークでは背中や肩が固まっていることが多いです。まずは左右に軽く捻り、ラジオ体操のような感じで軽く左右に身体を動かしていきます。
次に両手の指先を肩に乗せ、胸を開くことを意識しながら外側に腕を回します。このとき、ゆっくりと深呼吸に合わせて回すことが大切。胸を開く時に息を吐き、縮める時に息を吸うことも意識しましょう。
2. 右手を頭の後ろに回し、深呼吸をしてストレッチ
ちょっとした準備運動が終わったら、それから肩のPNFトレーニングを行なっていきます。右手を上げ、頭の後ろの背中に回し、顔の脇に肘がくるようにしましょう。
そこから左手を右手の肘を押さえます。このとき、掌で押さえると安定します。そして右肘を前に下ろすように力を入れ、左手はそれに反発するよう力を入れます。
力を入れている時に息を吐き、力を抜いた時に息を吸いまましょう。これを3~5回ほど行います。力加減ですが、最初は無理のないよう30%程度の力で行い、少しずつ力を入れていくのが良いでしょう。そうすることで、徐々に可動域は拡がってきます。
右手が終わったら、次は同じように左手も行なっていきます。この際、気をつけなければならないのは、すでに四十肩や五十肩で腕が上がらない方です。
「肩が上がりにくいけど上がる」という方はぜひ試して欲しいのですが、肩が上がらない方は無理して上げてはいけません。 四十肩や五十肩用のストレッチや体操のほうが効果的です。
3. 首を前後左右に曲げ、ストレッチ
次に首のストレッチです。 軽く前後左右に曲げていくのですが、曲げにくいほうを覚えておくとよいでしょう。
まず前後で曲げにくいほうからストレッチしていきます。 おそらく、後ろに首を倒すほうが難しいと思うので、 両手を頭の後ろに添えて、頭を後ろに倒していきます。その際、両手は反発するよう抵抗を入れます。 肩と同様に力は少しずつ力を入れていきましょう。 頭を倒す時にゆっくりと息を吐いていくと、より効果的です。
次に左右の曲げにくい方もストレッチしていきます。 左が曲げにくい場合、 左を向きながら、左手で反発するよう抵抗をいれます。 掌で押さえるとやりやすいでしょう。 これも同様に最初は弱めに、少しずつ力を入れていきます。
首もそれぞれ3~5回くらい行うとよいでしょう。 最後に首を優しく上から下にさすります。 特に耳下から鎖骨にかけては念入りに行ってください。
この3ステップを毎日、息抜きの時間に継続して行っていけば、慢性的なコリも改善されていくでしょう。
小まめに動くことが大切!コリに悩まされないために意識したいこと
首こりや肩こりに悩まされないようにするためには、なるべく小まめに動くことが何より大切。会社は、個人個人の歪みに合わせて細かくは机や椅子を調整してくれることはありません。その結果、知らず知らずのうちに身体が歪んできています。
小さな歪みを調整するのは難しいことではなく、ちょっとした意識を持つことで予防できることもあります。
また小さなことや簡単なことを続けることが大切です。どれだけ効果的でも難しく続けられなくなってしまうよりも、簡単なことを続けるほうが後に大きな差を生むもの。
コリやすく悩んでいる方は、部分的で一時的な解消よりも原因を見つけて根本を解決してコリにくい身体にするほうが、遠回りにみえて実は近道だったりします。こまめに体を動かし、コリに悩まされず、集中して働ける身体を手に入れましょう。
※この記事は2016/11/04にキャリアコンパスに掲載された記事を転載しています
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