東京・六本木ヒルズで開催中の第31回東京国際映画祭(TIFF)において、特集「アニメーション監督 湯浅政明の世界」の上映イベント『夜明け告げるルーのうた』のトークショーが10月28日に行われた。イベントでは湯浅監督による『ルー』制作秘話に加え、“宮崎駿愛”についても語られた。
自身もアニメ好きである司会の笠井信輔アナウンサーが3作目となる長編アニメーション『ルー』を今どのように振り返るかを湯浅監督に尋ねると、根底にあるのは「初心に返る」だという。
湯浅監督がもっと多くの人に自身の作品を届けるにあたり、メッセージがより伝わるように、そしてアニメーションが好きだという監督の気持ちをこめた。それは主人公・足元カイが自分の大好きな歌で思いを伝えるようなものだと話した。
もうひとつこの作品の主軸となるのは「誤解」と「誤解が解けること」。カイの祖父やタコ婆はそれを表すキャラクターだという。
また、ルーのパパがトトロに似ているという笠井アナの指摘に対し「彼は僕が子どもの頃に見て大好きになった『パンダコパンダ』のパパパンダをイメージした」と宮崎駿についても言及。
さらにルーがポニョに似ていることについては、後になってから気づいたという。加えて、初期構想時のルーは人魚ではなくヴァンパイア・ファミリーの女の子で『アダムス・ファミリー』をイメージ。「怖い/かわいい」の二面性はこの頃に生まれたものだった。
『ルー』ではカイとルーのラブストーリーになりそうでならない絶妙なラインだ。これにはルーの頭身も関係している。
頭身をカイたちと同じにすると「生々しくなって、これは恋愛関係を匂わせてしまうなと感じた」と頭身を低くすることでラブストーリーの予感を作中から排除している。
ラブストーリーの部分を引き継いだのがこのイベントで発表となった2019年初夏公開予定の新作『きみと、波にのれたら』だ。
制作の進捗を笠井アナに聞かれると「ちょっと遅れ気味ですが宮崎監督よりは早く作っています」とジョークを交えてこたえた。
第31回東京国際映画祭は2018年11月3日(土)まで開催中。特集「アニメーション監督 湯浅政明の世界」では「湯浅政明 自選短編集 1992-2014」と題し、『アドベンチャー・タイム「フードチェーン」』『スペース☆ダンディ 第16話「急がば回るのがオレじゃんよ」』なども上映。
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