【社内で起業できる!?】イントラプレナーになれる人材の5つの条件とは?

日本でもようやく「アントレプレナー(起業家)が一般化してきましたが、いま、「社内起業家」を意味するイントラプレナーにも注目が集まっています。

【社内で起業できる!?】イントラプレナーになれる人材の5つの条件とは?

日本でもようやく「アントレプレナー(起業家)が一般化してきましたが、いま、「社内起業家」を意味するイントラプレナーにも注目が集まっています。

『社内で起業?』と不思議に思う方も多いかもしれません。しかし、大手企業ではアイデアを社内公募するなど、新しい風を起こすイントラプレナーが求められています。

そこで今回、イントラプレナーの養成講座を開催している社会起業大学で事業統括を務める、瀬田川史典さんから、イントラプレナーが注目を集める理由や、イントラプレナーになるための条件や必要なことを聞きました。

イントラプレナーとは?


まず、イントラプレナーとは何なのか、その定義を聞きました。

「イントラプレナーを直訳すると『社内起業家』を意味しますが、一般的には企業内において新しいビジネスを立ち上げる際、その責務を担うリーダーとなる人のことを言います。

社内公募制の新規事業プランコンテストや新規事業開発の部門への異動などを通じて、イントラプレナーになる例が多いようですが、最近はさまざまな形態が出てきています」

では、どのようなかたちがあるのか? 瀬田川さんからいくつかの例を伺ってみました。

株式会社ボーダレス・ジャパン

「ソーシャルビジネスの世界で注目されている『株式会社ボーダレス・ジャパン』では、事業プランを会社に認められた人はイントラプレナーとして事業リーダーとなり、事業資金と同時に専門家チームを提供されます。

完全独立採算制のもと、決裁権や人事権などほぼすべての権限を与えられ事業を運営していきます。同社は現在、そのようなかたちで育った9つの事業を展開しています」

ヤフー株式会社

「ヤフー株式会社の『復興デパートメント』は、ボトムアップ型でイントラプレナーが生んだ事業の例として挙げられます。

東日本大震災の際にボランティアベースで東北の支援活動を行っていたチームが、東北のためになる事業を行いたいと役員に直談判したことで、復興支援の拠点となる現地事務所である『ヤフー石巻復興ベース』が開設されました。

そして地元の方とのコミュニケーションを進めるなかで『Yahoo!ショッピング』のプラットフォームを利用し東北の産品を販売する『復興デパートメント』を立ち上げました」

イントラプレナーが注目されている理由


新たな市場の開拓

「グローバル化、テクノロジーの飛躍的な進歩、社会構造の変化など、世界がこれまでにないスピードで変化しています。顧客ニーズは日々変化、多様化すると同時に、既存のビジネスモデルはすぐに模倣され、厳しい価格競争に陥っていきます。

このような現代において、どのような企業でも、時代の変化を捉え新たな市場を開拓する挑戦を続けることが、いままで以上に求められています。そのため、新たな事業にチャレンジする担い手、『イントラプレナー』がいま必要とされているのだと思います」

優秀な人材の育成

「また、別の側面では、もっとやりがい・働きがいのある仕事をしたいという思いを持った優秀な人材が増えてきていることも要因かもしれません。

新しい事業を立ち上げることは、責任も大きく負荷がかかることですが、それでもなお、誰かの役に立っている感触を得て、自分の力によって事業を動かしている手応えを感じることができます。会社員でも、そうした『やりがい・働きがい』を感じることができるのがイントラプレナーです。

企業側も、新しい事業を立ち上げようという優秀な人材を生かそうと、チャンスを与える機会も増えてきているのだと思います」

イントラプレナーになれる人材5つの条件



イントラプレナーになるために必要な条件は何なのでしょうか。瀬田川さんは次の5つを挙げます。

1.社会課題への意識

「事業とはそもそも、誰かの困り事の解決であるはずです。それは社会課題にほかなりません。社会にはどんな課題があり、その真因は何か、それに対しどうしたら応えていくことができるかを考えることが必要です」

2.ビジネスをトータルで見る力

「課題をビジネスで解決していくためには、その仕組みづくりが必要です。商品開発やプロモーションも必要ですし、業務設計も必要。また、どんな人員がどれだけいるかといった組織構築も欠かせない。当然売り上げとコストも考慮しなければならない。こういった一連の仕組みをトータルで考えることが、イントラプレナーには求められます。そのため、持続可能な事業を創るために欠かせないビジネスの定石を学ぶことも大切です」

3.らしさの追求

「会社のミッションや強み、あるいはイントラプレナー本人の持つ思いや強みが事業に生かされたとき、その事業はまねのできない唯一無二の価値を持つ事業となります。どうやって『らしさ』を事業に生かしていくか追求していくことが、イントラプレナーには求められます」

4.時代の要請の把握

「成功する事業を創るためには、いま社会でどんなことが求められているかという“時代の要請”を捉えていることが大切です。

例えば社会起業大学の卒業生では、毎朝5紙の新聞に目を通すという人がいます。大変ですが毎日続けていると、世界がどういう方向に向かっているかが見えてくるそうです。そのように、アンテナを高くして時代を捉え、謙虚に学び続ける姿勢がイントラプレナーには求められます」

5.揺るがぬ志

「会社の支援があるといえど、ゼロから事業を立ち上げるのは容易なことではありません。多くの困難が伴います。そのときに、『自分はなぜこの事業に取り組むのか、何を成し遂げたいのか』ということをしっかりと自分の中で持っていることが推進力となり、また羅針盤となります。そのため、自分の志を明確に持つことが何より大切です」

会社員も起業家精神が必要な時代になる



最後に瀬田川さんから、今後のイントラプレナーに関する展望を聞きました。

「まず言えることは、イントラプレナーは間違いなく社会の中で広がっていくということです。

前述のとおり世界はものすごいスピードで変化していきます。その中で企業は常に新しい事業にチャレンジしていくことが求められています。

新規事業コンテストなどを制度化している企業はまだまだ少ないですが、今後はもっと増えてくるでしょう。また、制度化されていなくても新しい事業アイデアを提案することを歓迎する風土は広がってくると思います。

企業が本当に必要とする人材は、新たな価値を創造できる人材です。だからこそ、イントラプレナーとなりうる人材は非常に重要な存在となっていくと考えられます。誰もが自分自身を磨き、会社に属していようがいまいが、起業家的に生きていくことが必要となっていくのでしょう」

まとめ


いかがだったでしょうか? イントラプレナーは既存のビジネスモデルを打破して、唯一無二の事業を展開する、企業内の新しいリーダーであることが分かりました。イントラプレナーは、志を持ったビジネスパーソンが今後目指すべきポジションなのかもしれません。皆さんも、企業に新しい価値を生むイントラプレナーになってみてはいかがでしょうか?


識者プロフィール
瀬田川史典(せたがわ・ふみのり)
社会起業大学 事業統括、中小企業診断士、JCD認定 キャリアデベロップメントアドバイザー、生涯学習開発財団 認定キャリア診断士。
塾講師、教育系ベンチャー企業を経て、P.F.ドラッガー氏が終身名誉顧問を務めるグローバル人材育成プロバイダーに参画。その後、社会起業大学 事業統括として、スクール運営、講師、学生のキャリアカウンセリングに携わる。

※この記事は2016/02/16にキャリアコンパスに掲載された記事を転載しています

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