相手の本音が分かる! 5つのビジネスシーン別「微表情学」の活用テクニック

皆さんは米ドラマ「ライ・トゥ・ミー 嘘の瞬間」が発端で話題となっている「微表情学」という言葉をご存知でしょうか。

相手の本音が分かる! 5つのビジネスシーン別「微表情学」の活用テクニック

皆さんは米ドラマ「ライ・トゥ・ミー 嘘の瞬間」が発端で話題となっている「微表情学」という言葉をご存知でしょうか。

顔に表れる約0.2秒未満の表情を読み取ることで、相手の本心を明らかにするという注目の分野です。今回は、ビジネスパーソンに必要な空気を読む力を身に付けるヒントを、微表情学の識者である清水建二さんに伺います。

微表情学はビジネスパーソンにどう役立つの?


「微表情とは、抑制された『真の感情』がフラッシュのように一瞬で顔に表れて消え去る表情のこと。その微細な顔の動きを観察し、そのメカニズム、臨床・応用事例を研究する学問が微表情学です。1万種以上ある表情のなかでも、『幸福』『軽蔑』『嫌悪』『怒り』『悲しみ』『恐怖』『驚き』は誰にでも表れる万国共通の7表情。プレゼンで聞き手がこちらの話をどう感じているのかなど、人の顔があるところならばいつでもどこでも、微表情を読み解くスキルを役立てることができます」(清水さん)

先輩や後輩の気持ちも察することができれば、職場での関係ももっと円滑になりそうですよね。

本音を知るためのシチュエーション別チェックポイント


それでは実際に、相手の本音を知りたいときに注目すべきポイントとその動きの意味、その表情が出たときの対処法を5つのシチュエーション別にお聞きします。表情と同じく本心を表すボディーランゲージにも要注意ですよ。

1.プレゼンで聞き手が飽きているかどうかを見分ける秘訣


【注目ポイントと動きの意味】
「ポイントは、眉、目、口です。『眉が下がる』のは、『怒り』や『集中』。『眉が上がる』『目が見開く』のは、『驚き・興味・関心』『同意』。『口が開く』のは、『驚き・興味・関心』を表します。このような表情の動きが聞き手の顔に一切表れない場合、プレゼンに興味がない、もしくは飽きている可能性が高いです」

【ボディーランゲージ】
「ペンや書類など身近にあるモノをもてあそぶ、机を指でタップする、ひざをさする、貧乏ゆすりをする、話している人に視線を合わさない、などが飽きているときの例です」

【対処法】
「退屈を示す表情やボディーランゲージをしている人を指名して、意見を聞いたり、質問を促し、注意を喚起したりすると良いでしょう。休息を入れリフレッシュしたり、早めに切り上げてしまうのも一つの手です」

2.商談相手が自分の話に乗り気かどうかを見分ける秘訣


【注目ポイントと動きの意味】
「ポイントは眉、目、口です。1で説明した『眉が下がる』『眉が上がる』『目が見開く』『口が開く』に加え、『口角が上がる』動きに注目しましょう。『口角が上がる』のは、『幸福』感情や『同意』を示します。このような動きが見られるときに相手の興味がこちらに向いていると判断できます」

【ボディーランゲージ】
「前のめりになる、うなずく、商品やパンフレットを凝視する。こうした動きが見られたら、相手は話に興味を抱いている可能性が高いです。また、相手に顔をさする動きが見られたら、『熟考・検討中』を示している可能性が高いです」

【対処法】
「『興味・関心』には積極的にそのポイントを説明し、『集中・熟考・検討中』では話すスピードをゆっくりにして相手に質問を促し、セールスポイントを明確にする。そんなコミュニケーションの流れを生み出すと良いでしょう」

3.訪問営業の相手がこちらを怪しんでいるかどうかを見分ける秘訣


【注目ポイントと動きの意味】
「ポイントは眉です。『眉が上がる』と『眉間にしわが寄る』動きが同時に起こると、額には波状のしわができます。これは、『恐怖』や『不安』を表します。訪問営業の相手の額や眉に緊張が見られたら、そうした感情を抱いていると判断できます」

【ボディーランゲージ】
「顔、胸、腕など自分の体を手でさする動きや、まばたきの増加は、『不安』や『緊張』を表します」

【対処法】
「笑顔で接するというのも一つの手ですが、あまりニコニコしていると逆に怪しまれる場合があります。訪問営業の相手がどのポイントについて『恐怖』や『不安』を感じているのかを見抜く、もしくは質問し、一つ一つ誤解がないか確認するのが良いでしょう。相手が聞いていないのにもかかわらず、さまざまな情報を開示し続けても、逆に怪しまれる可能性があります。聞かれたことを真摯に丁寧に答えることがベストです」

4.後輩が本音を我慢してうそをついていないかどうかを見分ける秘訣


【注目ポイントと動きの意味】
「ポイントは全ての微表情と口です。微表情とは抑制された感情の表れですので、うそがつかれる可能性が高い状況において微表情が表れた場合、『言葉に出せない何か』を心に抱いている可能性があります。またうそをつくとき、うそをつくことから生じる感情を抑制するために口の周りに力を入れる動きが見られることがあります」

【ボディーランゲージ】
「身振り手振りが極端に少なくなることがあります。またうそをついている後輩がこちらの様子をうかがうために、あえて凝視してくる場合もあります。『うそつきは目をそらす』というのは、実は科学的根拠はないのです」

【対処法】
「後輩に安心感を与えながら、『何か心配なこと』『今話しておいた方が良いこと』などはないか尋ねてみると良いでしょう。また確認したいことや相談したいことがあれば、いつでも話してほしいと伝えておくと良いでしょう。うそを明らかにするには、相手に強制的に自白させる『北風アプローチ』よりも、安心感を与える『太陽アプローチ』の方が有効であることが知られています」

5.先輩が心を許して自分に接してくれているかどうか


【注目ポイントと動きの意味】
「ポイントは笑顔、目尻です。笑顔は大きく分けて、真の笑顔と愛想笑いの2種類です。真の笑顔の第一条件は、左右対称であること。第二条件は『目尻のしわ』です。『目尻のしわ』は、心から楽しんでいないと生じないサイン。話をしている先輩の笑顔が左右対称で目尻にしわが生じていれば、あなたの会話を心から楽しみ、心を開いていると判断できます」

【ボディーランゲージ】
「リラックスした姿勢やボディータッチは、親密度を表します。相手の心が開かれていない場合、相手の体はこちらを向いておらず、こちらの視線を合わせようとする動きも拒否される、ということがあります」

【対処法】
「相手が何を欲しているのかよく観察しましょう。プライベートには踏み込まれたくないのか、飲みに行くと打ち解けられる人なのか、頼られるのが好きな人なのかなど、さまざまなことを考慮してアプローチする必要があります。また物理的な距離と心理的な距離は関係があります。先輩に心を開放してもらいたいのなら、何かにつけて先輩の近くで仕事をしたりするのも一つの手です」

いかがでしたか。ビジネスの現場では、相手の反応が気になっても直接は聞きにくいということも多いはず。でもそんなときに微表情学のスキルを用いれば、最適な次の一手が打てるようになるかもしれません。対人関係を円滑にしたい皆さんは、ぜひ参考にしてみてくださいね。

識者プロフィール
清水建二(しみず・けんじ)/株式会社空気を読むを科学する研究所代表取締役。早稲田大学政治経済学部卒業後、東京大学大学院でコミュニケーション学を学ぶ。学際情報学修士。20歳のときに巻き込まれた狂言誘拐事件をきっかけにウソや人の心の中に関心を持つ。日本国内にいる数少ない認定FACS(Facial Action Cording System:顔面動作符号化システム)コーダーの一人。微表情読解に関する各種資格も保持している。


※この記事は2015/04/06にキャリアコンパスに掲載された記事を転載しています。

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