旅行や結婚、いざというときの備えなどのために、20代のうちから貯金をしておくことは大事です。
でも「よし、明日から貯金しよう!」と決意しても、しばらくするとつい使ってしまっている。皆さんもそんな経験があるのではないでしょうか? 「私には貯金って無理なのかな…」と諦めるのはちょっと待った! 私たち、意志が弱い人間にぴったりの貯蓄法があるのです! それが、「積み立て貯蓄」という方法。今回は積み立て貯蓄の超簡単な始め方について、ファイナンシャルプランナーの坂本綾子さんに聞きました!
積み立て貯蓄って?
積み立て貯蓄とは、積立額と日にちを指定すれば自動的に普通預金から定期預金に指定した額を振り替えてくれるサービスのこと。このしくみを利用すれば、たとえばお給料日にあらかじめ決めた額(手取りの1割や2割など)を、一定期間内は引き出せない口座に貯めることができるのです。
この「積み立て貯蓄」を利用すれば、ついついお金を貯めるのを先延ばしにしてしまったり、貯めたお金を切り崩してしまう私たちでも、無理なくお金を貯めることができそう!
積み立て貯蓄の始め方
では、具体的に何をしたらいいのでしょう?
1.目標を立てる
「目標を立てることは貯蓄をするうえで絶対に必要です」と坂本さんは言います。
「20代や30代だと先のことは分からないことも多いから、5年先の目標が目安です。金額の目標は、何か病気や事故などで働けなくなっても1年は生活していける額、という意味で、最低200万円。できれば手取りの年収分は貯めたいですね。100万円だといざというときには底をつくかもしれません」
2.月々に貯める金額を決める
長く貯蓄を続けていくためにも、無理のない計画を立てたいもの。月々にどれくらいの金額を積み立てておくといいのでしょうか?
「まず手取りの1割を積み立ててみるといいと思います。1割から始めて、無理がないかチェックしながら、可能そうなら2割に上げてみる。未婚で実家暮らしなら、2、3割は積み立ててほしい。いずれにせよ、自分にきつすぎない程度で貯めるのがポイントです」
たとえば手取りの2割を貯めていくと、ちょうど5年で貯蓄が年収分になります。1と2を擦り合わせながら、自分に無理のない目標と計画を練っていきましょう。
3.積み立て貯蓄の制度に申し込む
目標と計画が決まったなら、具体的に積み立て貯蓄の申し込みです。具体的には、「財形貯蓄」と「自動積み立て定期預金」があります。
■財形貯蓄
「まずは、会社に『財形貯蓄』のしくみがあるか確認しましょう」と坂本さん。
財形貯蓄(勤労者財産形成貯蓄)とは、働く人が事業主の協力を得て、賃金から定期的に天引きで行う貯蓄のこと。会社側が払込みを代行してくれるしくみですね。
財形貯蓄には「一般財形貯蓄」「財形年金貯蓄」「財形住宅貯蓄」の3つがあります。「一般財形貯蓄」は、貯蓄目的に制限がないかわりに、税金面での優偶はありません。「財形年金貯蓄」は、文字どおり年金として受け取ることを目的としており、使途が限られます。同じく「財形住宅貯蓄」は、住宅の取得が目的で、使途は限られます。しかし「年金」と「住宅」なら、目的通りに使えば利息にかかる税金が非課税になるメリットがあります。
「これらの財形貯蓄の制度があなたの会社にあるなら、加入して積み立てておけば、たとえば将来の住宅購入の頭金などに使えるお金が給与天引きで貯まります。さらに解約するには会社に申請が必要ですから、解約しにくいですよね。つまり意志が揺らいで貯金を切り崩してしまうことが起きにくいというメリットもあります」と坂本さんは言います。
■銀行の自動積み立て定期預金
自分の会社には財形貯蓄のしくみがなかった…。そんな人も大丈夫。
「財形貯蓄の制度が勤務先になければ、銀行の自動積み立て定期預金を申し込むといいでしょう。日にちと金額を決めて申し込むと、定期的に普通預金から定期預金にお金を振り替えてくれるしくみ。たとえば『毎月月末に2万円を定期預金に』と申し込むと、自動的に振り替えてくれます」
申し込みは基本的には窓口でになりますが、忙しいビジネスパーソンだと平日昼間に窓口に行くのは厳しいところです。
「郵送での申し込みも可能である銀行が多いです。ATMコーナーに書類があることもあるので、チェックしてみてください。いまではネットバンキングで積み立ての申し込みができる銀行もありますよ」と坂本さん。
4.PDCAサイクルをまわす
無事に積み立て貯蓄の制度に申し込みが終わったら、ひとまずは安心。しかしたまには、自分の貯蓄の成果を見直すことが必要だそう。
「1年に1回は必ず、自分の収入と今年増えた貯蓄額を把握しましょう。今年増えた貯蓄額は今年の残高から去年の残高を引けば、今年純粋にいくら増えたかがわかりますよね。そしたら貯蓄率(稼いだお金のうちどれくらいの割合で貯蓄しているか)もわかります。
そしたら、「この貯蓄率で30歳になった時に○○円たまるのか」など、目標と取らし合わせて検証をする。この振り返りが無いと、なかなか目的に進んでいかないと思います」
「面倒くさいなぁ」と思いますよね。でもよく考えたら、最低1年に1回の振り返りでいいのです。毎日家計簿とにらめっこして節約するのが性に合わない人は、このほうが合っていそう。
あとはまめ知識として、月に1回でも通帳を記帳する習慣をつけると、お金の流れが見えるので、振り返りをするときの判断の材料になるそうです。
一度申し込んでしまえば、あとは自動的にお金が貯まっていく積み立て貯蓄。これなら意志が弱い人でも着実にお金を貯めることができそうですね。しかも手続きは簡単。さぁ、皆さんも明日から、積み立て貯蓄をはじめてみませんか?
識者プロフィール
坂本綾子(さかもと・あやこ)/ファイナンシャルプランナー。大学在学中より雑誌の編集に携わり、卒業後に取材記者として独立。1988年よりマネー誌、女性誌にて家計管理や資産運用の取材記事を執筆。1999年ファイナンシャルプランナー資格取得。2008年より情報サイト「オールアバウトマネー」ガイド。2010年ファイナンシャルプランナー坂本綾子事務所設立。執筆に加えて、家計相談やセミナー講師も務める。著書「お金の教科書」全7巻(学研教育出版)。
※この記事は2014/11/17にキャリアコンパスに掲載された記事を転載しています。
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