「1日8時間、1週間40時間」労働時間は法律で定められている
パートやアルバイト、正社員といった雇用されている労働者には法律で労働時間が定められています。
「労働基準法 第32条1項」で、
と書かれている通り、「1日8時間、1週間40時間」と使用者が労働者を働かせることができる時間が決まっているんです。これを超えた場合「時間外労働」(いわゆる残業)となり、使用者(雇用主)は1時間あたりの賃金の25%増の「割増賃金(いわゆる、残業手当)」を支給しなければいけません。
なお、この原則「1日8時間、1週間40時間」の条件以外にも、会社が就業規則等を定めることで柔軟な労働時間制を採用することもできます。それが変形労働時間制という制度で、1カ月や1年間などの期間を平均して月間の所定労働時間を超えない範囲にて、1日および1週間の所定労働時間を8時間以上または40時間以上とすることが可能となります。隔日勤務などのタクシードライバーや繁忙期や閑散期などがあるリゾートホテルの従業員に多く採用されています。その他にも、「フレックスタイム制」(出勤・退勤時間や労働時間を働き手が自由に決定できる制度)を導入している企業が増えています。この制度も変形労働時間制の一種です。
休憩時間にも決まりがあるって知ってた?
12時過ぎになるとランチ休憩を取るビジネスパーソンは多いはず。この休憩時間にも決まりがあるのです。雇用する側は労働者に、業務の途中で以下のような休憩時間を与えないといけない、と法律で定められています。
もし労働時間が6時間未満の場合、休憩が与えられていなくても法律違反ではありません(パートやアルバイトで働く方に該当するケースが多い)。また休憩時間を60分以上取得したいという場合、雇用主と契約を結んでいれば、労働者は取得することもできます。
働き方改革関連法の成立により時間外労働の上限ができた
労働時間が1日8時間、週40時間までと定められていても、残業しなければいけない時はありますよね。
この時間外労働の時間(残業時間)、2018年度までは上限は法律条文としてはなかった(大臣告示のみの基準であった)のですが、働き方改革関連法の成立により、以下のように上限が定められました。
・(原則)
― 月45時間
― 年360時間
・(臨時的な事情)
― 月100時間未満(休日労働を含む)
― 2~6カ月平均80時間以内(休日労働を含む)
― 年間720時間以内
― 原則である月45時間を超えるのは年6回まで
大企業では、2019年の4月1日から法律が施行され、中小企業では2020年4月1日から施行。なお時間外労働をした場合、先述したように労働者は「残業手当」を受け取ることとなります。
残業時間が多い職種ってなんだ?
職種によって残業時間はバラバラ。残業が多い職種はいったいどれなんでしょうか?
dodaが実施した「残業時間ランキング2019 【15,000人調査】」によると、トップ3は以下のような結果に。
【残業の多い職種】
・1位:設備施工管理…月41.6時間
・2位:建築施工管理…月36.7時間
・3位:食品/消費財メーカー…月35.9時間
一方、残業が少ない職種のトップ3は以下の通り。
【残業の少ない職種】
・1位:美容関連職(理美容/エステ/マッサージ)…月10.3時間
・2位:営業事務・アシスタント…月11.1時間
・3位:生産・製造・プロセス開発(医療系)…月11.4時間
ちなみに、ビジネスパーソン15,000人に聞いた、1カ月あたりの平均残業時間は24.9時間でした。これを多い・少ないと捉えるのは千差万別だと思いますが、労働者が働く時間は法律で決まっています。自分の職場は、決められた時間を守っているのか、法律違反をしていないか。改めて見直してみてはいかがでしょうか。
記事監修=勝山竜矢(社会保険労務士)
文=野田綾子
編集=TAPE
監修者プロフィール
社会保険労務士(社労士)┃勝山竜矢
株式会社リーガルネットワークス代表取締役。1976年東京都生まれ。2005年に開業。独立する1年前よりソニーグループの勤怠管理サービスの開発、拡販などに参画。これまで1,000社以上の勤怠管理について、システム導入および相談を担当してきている。
http://www.kintaikanrikenkyujo.jp/
【関連記事】
「控除」ってなんですか? 給与明細の見方を社労士がじっくり解説
正社員が副業する上で注意すべきことって?本業と副業の合計労働時間には要注意!
「地方への転勤が決まったけど家庭の事情が…」 その転勤、拒否できる?
残業時間が多い職種は?少ない職種は? 残業時間ランキング2019 【15,000人調査】
あなたの本当の年収がわかる!?
わずか3分であなたの適正年収を診断します