異性間だけでなく同性間も要注意! セクハラについて注意しておきたい4つのこと

職場で多く発生するハラスメントの一つにセクシュアルハラスメントがあります。20年以上前からセクハラの問題に取り組んでいる山田・尾﨑法律事務所に所属する脇まゆこ弁護士に、セクハラ問題についてお聞きしました。

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セクハラの定義とは。どんな言動がセクハラに?

セクハラの定義は職場において意に反する性的な言動が行われ、それに対する対応によって就業上不利益を受けたり、性的な言動によって労働者の就業環境が害されること。昔はコミュニケーションの一つとして女性の容姿やファッションを褒めたりすることもありましたが、現在ではそのような行為もセクハラにあたりうると考えられています。

「かわいいね」「今日は女らしいファッションだね」などと、容姿、服装、メイクなどについて褒めるつもりで掛けた言葉や、「ちょっとメイクが派手なんじゃない?」「スカート丈が短すぎて目のやり場に困るよ」など、部下に対するメイクや服装の指導のつもりの発言でも、言い方次第でセクハラと受け止められることもあります。

セクハラは男性から女性へだけではない! 女性も加害者になりうるもの

セクハラは異性間だけで起こる問題ではありません。当然、女性同士、男性同士においてもセクハラの問題は発生しています。女性同士の過度な身体接触(抱きつく、腕を組む、顔を触るなど)や容姿に関する話、恋愛経験談を強いるなども、相手が不快に思うようであれば、それはセクハラになり得ます。

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一つの言動でも、行為者と相手方の関係によって感じ方が変わるもの。仲の良い同期の女性社員同士が恋愛経験を話していてもセクハラにならない場合が多いでしょうが、先輩の女性社員が後輩の女性社員に赤裸々な恋愛話を強要するようなことがあれば、それはセクハラになり得るのです。

また、仮にAさんとBさんに同じことを言っても、Aさんはセクハラだと受け止め、Bさんはセクハラとは感じないということもあり得ます。Bさんが恋愛経験談を喜んで話してくれたとしても、すべての人からそのような話を聞こうとするべきではありません。

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理解不足が招く、意図しないセクハラ行為とは

加害者にヒアリングを行うと、「セクハラになるとは思わなかった」という事例が多いです。意図的に行われるものよりも、(セクハラへの理解不足も含め)意図しない言動の方が多いかもしれません。

加害者の言い分としては、「そういう(性的な)つもりではなく指導のつもりだった」「自分は(被害者と)仲が良いと思っていた」「相手も楽しんでいると思っていた」などがあります。立場の弱い被害者の場合、その場で言い返せず困ってあいまいな笑顔を浮かべたりすることもあるでしょう。しかし、決して楽しんだり、許していたりするわけではないのです。内心では戸惑ったり、不快に思っていたりすることがあることも理解しておくべきでしょう。

逆に、セクハラにあたることはわかっていても、その場のノリ、酔った勢いなどでセクハラを行ってしまう事例もあります。「(こんなことを言ったら)今ではセクハラと言われるかもしれないけど」などとの断りを入れてからセクハラ発言をする人も見かけますが、そのような断りを入れたからといって、許されるわけではありません。

セクハラを“受けたら”、セクハラを“してしまったら”どうすれば?

セクハラに限らずハラスメントを受けた場合、行為者に拒絶の意思を示すこと、記録を残すことや相談しやすい人に早めに相談することが大切です。さらにセクハラの場合は、加害者と二人きりになることを避け(事情を知っている人に一緒にいてもらうなど)、加害者と距離を置くようにすることも重要。

また、たとえ意図していなかったとしても自分がセクハラの加害者になってしまうことは男女共にあり得ます。その言動に心当たりがあるのであれば、不快な思いをさせてしまったことについてきちんと謝罪し、二度と繰り返さないことが大切です。また、研修を受けるなど、ハラスメントに関する理解を深め、自らの行いを省みることも、問題を繰り返さないために有効です。

<セクハラについて注意しておきたい4つのこと>

・ファッションや容姿についての褒め言葉がセクハラになることも
・同性間の過度な身体接触、恋愛経験談もセクハラになることも
・相手が喜んでいると思うのは勘違い!相手の内心を思いやって
・セクハラを受けたら記録&相談。加害者と二人きりにはならないで

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【監修】
山田・尾﨑法律事務所 脇まゆこ●1975(昭和50)年生まれ。第二東京弁護士会所属。慶應義塾大学法学部法律学科卒業。2006年、弁護士登録。山田・尾﨑法律事務所勤務。2012年~2016年、東京家庭裁判所 家事調停官。企業法務や労働事件、一般民事事件、離婚、相続などの家事事件、犯罪被害者支援、破産事件などを中心に弁護士活動を展開している。

文=松村 知恵美
編集=五十嵐 大+TAPE

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