- アイスブレイクとは?
- なぜアイスブレイクが必要なのか?
- アイスブレイクが必要な会議・必要ない会議
- その会議はなぜうまく進まないのか?
- 厳選! 会議で使えるアイスブレイクテーマ5選
- 【ちなみに】初対面同士の研修に役立つアイスブレイクゲームも
- 【補足情報】アイスブレイクを実施する際に気をつけること
- まとめ
アイスブレイクとは?
アイスブレイクとは、会議や打ち合わせなどで議論が進まない状況を打破する技法のことです。参加メンバーが緊張してかたい雰囲気になっている様子を固い氷に例え、「アイスブレイク」と名付けられました。
会議を円滑にするための「アジェンダ」については、以下の記事を参考にしてください。
なぜアイスブレイクが必要なのか?
こうした硬い空気のままで会議を始めると、発言と発言の間隔が空いてしまい沈黙が多くなったり、会議全体が間延びしたり、役職者のみが話してしまって議論が成立しなかったり、さまざまな問題が起こります。
最近ではオンライン会議も増えていますが、オンライン会議は対面の会議よりも内容が伝わりにくく、会議前の雑談もない上に冒頭はミュートで入る人も多いため、より緊張感が高まりがちです。そのため、オンライン会議が増えるにつれアイスブレイクの必要性はますます高まっています。
ではアイスブレイクにはどのようなメリットがあるのでしょうか。早速見ていきましょう!
会議や研修前の緊張感を和らげる
参加人数が多い会議や上位役職者が出ている会議ほど、開始時の緊張感は高まります。「誰が口火を切るのか?」「自分に話を振られたらどうしよう」といった不安が多い会議から「何でも話してほしい!」「どんな意見でも歓迎!」といった雰囲気に変えていくことができます。
会議参加者の相互理解を深める
アイスブレイクによく用いられるテーマは、業務と少し離れた趣味や私生活のことも多いです。アイスブレイクをきっかけに共通の趣味が見つかったり、仕事では厳しい人の優しい一面を知ることができたり、雑談ネタを探すようになったり、アイスブレイクは日常業務での円滑なコミュニケーションにも活用することができます。
積極的な発言を促す
会議の中で自分が発する最初の一言は、誰にとっても緊張するものです。会議がはじまったらアイスブレイクを通じてワイワイガヤガヤした会議の雰囲気を作り、誰もが気軽に発言しやすい雰囲気を作ることが可能です。
チームビルディングに役立つ
アイスブレイクを活用し、お互いのパーソナリティや考え方を理解することでチーム力は高まります。「数字第一の組織」よりも「関係性のいい組織」が成果を出すとも言われるように、チーム内の関係性を良くすることで会議での話量が増えるなど、日常の業務にも好影響をもたらします。
チームビルディングとは?
チームビルディングとは、各メンバーの持つスキル(能力)や経験などを最大限に発揮させて、目標を達成できるような組織づくりをすることです。目標を達成するための協力関係を指す「チームワーク」と異なり、「チームビルディング」は主に取り組みのことを指します。
メンバーのモチベーションや生産性が向上する点、アイデアが生まれやすい点などがチームビルディングの主なメリットです。
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アイスブレイクが必要な会議・必要ない会議
ほとんどの会議の場で、アイスブレイクは有効に機能しますが、特に必要な会議、また必要ない会議についても下記にご紹介します。
アイスブレイクが必要な会議の種類
会議の場が硬いことにより、その後の議論が活性化せず、良い結論にたどり着かない可能性がある会議には、ぜひアイスブレイクを活用しましょう。
①日常的にコミュニケーションをとっていない人との会議
プロジェクトのキックオフミーティングなどの初めての会話を行う会議や、久しぶりに集まる会議、部門を越えた会議など、普段あまり話す機会のない相手がいる会議の場は、アイスブレイクを行うことにより、関係性が向上しその後の議論が活性化しやすくなります。
②議論に集中してほしいテーマがある会議
特にオンライン会議の場合は、会議に参加する前、メンバーはそれぞれ別の場所で別の仕事をしています。「あの資料作りきりたかった…」「あの問い合わせになんて返信しよう…」と意識がバラバラな状態で集合しています。アイスブレイクは、直前までしていた業務への意識を断ち切り、目の前の会議に意識を向けることができます。
③発言を促したいとき
会議は始まり方でその8割が決まります。アイスブレイクで全員が話している状態を作ることで、「今日は話しやすい場だな」「全員が発言をする場なのだな」と意識付けが行われて、その後の会議での発言が促されます。
アイスブレイクが必要ない会議の種類
一方で、アイスブレイクが必要ない会議もあります。ケースとしては少ないですが、かえって逆効果になることもありますから注意が必要です。
①お客様への事故報告など、お詫びを伴う会議
こちら側の過失などによりお客様に謝罪をする場面や、社内での事故報告を行う場面など、重厚な雰囲気が重要な場面もあります。そんなときはアイスブレイクをしようとしても難しいですし、誠意が伝わらないので必要ありません。
②報告内容だけを共有する会議
業務の報告のみ行う会議など、議論が不要な会議は必ずしもアイスブレイクを行う必要はありません。朝礼や大勢が集まるような集会なども、その後議論をしないのであればアイスブレイクは不要です。
③同じメンバーで次の会議に臨むとき
会議が連続して行われる場合、メンバーが同じであれば特段アイスブレイクを挟む必要はありませんが、ずっと同じ姿勢でいたり頭を使い続けると疲れてしまうので、休憩を挟んだり少し体を動かすように促すなどでリフレッシュする方がよいでしょう。
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その会議はなぜうまく進まないのか?
そもそも会議がうまくいかない、議論が盛り上がらない理由にはどのようなものがあるのでしょうか。要因をいくつかご紹介します。
うまく進まない理由①:発言するのが怖い
何かひと言発言すると、その倍くらい「その意見がよくない理由」が返ってくることがあります。こうした会議を続けていると、思うことがあっても極力発言せず、おとなしくしていようという心理が働き会議が盛り上がらなくなります。この状態を「心理的安全性が低い」と言ったりしますが、会議だけでなく日ごろの仕事も指示を出さなければ動けない状態を作りますので、注意が必要です。
うまく進まない理由②:参加者の受け身な姿勢
部長ばかり話す、いつも話し続けている人がいるなど、自分の発言がなくても会議が進んでしまうときは、わざわざ勇気を出して発言する必要性を感じなくなります。発言の量が大幅に偏っている場合は、参加者の受け身な姿勢を生みやすく、わざわざ人を集めて会議をする必要がない、とも思われてしまいます。
うまく進まない理由③:議題やゴールが見えない
どこに向かって議論をしているか分からなくなったとき、人は議論の様子を傍観する傾向にあります。話が脱線して別の話題になってしまったり、そもそも会議招集のゴールが示されないまま会議がスタートしたりすると、議論が盛り上がらないだけでなく、足並みもそろいにくくなります。
うまく進まない理由④:相手との距離が物理的・心理的に遠い
広い会議室で、部屋の端と端に座って会議をすると、声が遠くなるため参加意識が高まりづらいです。テーブルが不要な会議の場合は椅子だけにする、机の間隔を調整して座るなど、物理的な距離を意識することで議論しやすくなることもあります。感染対策をしっかり行いながら、議論しやすい距離で会話ができるように工夫するだけでもかなり変わってきます。
うまく進まない理由⑤:参加者が多すぎる
議論が盛り上がる会議の適正人数は、7人程度と言われています。また「会議の7人ルール」と呼ばれ、7人を超えると1人増えるごとに決断力が10%低下するという研究結果もあるそうです。参加者が多すぎる会議は傍観者を生みやすく、議論全体の熱が下がりますので。必要最低限に絞っておくのがよいでしょう。
厳選! 会議で使えるアイスブレイクテーマ5選
アイスブレイクの選定で大切なのが、会議の本編との連動性です。参加者がどのような状態で会議室に来て、どのような議論ができ、会議室から帰っていくのがよいのかを想像しながら、アイスブレイクを選択しましょう。
①先週末のGood&New
参加者を複数名のグループにして、一人1分程度話します。話す内容は、24時間以内に起こった良いことなど、話しやすいテーマを選定するのがよいでしょう。あまり大きなことを話す必要はありませんので、司会者がほほえましい小さなエピソードを話すところからスタートするとよいでしょう。
一人一人発言出来て、お互いの人となりを知ることで関係性を向上させる目的でつかわれることが多いです。夏休みや年末など大型連休の前には、「次の休みの過ごし方」、休み明けの場合は、「休み中のグッドなこと」など変化を加えていきます。話題を選びやすく、発言のハードルが低いため、アイスブレイクのテーマとして気軽に取り入れることができます。
おすすめ度:★★★★★
②質問だけで「子どものころなりたかった職業」を当てよう
議論を活性化させるには、質問力が欠かせません。良い質問をするためには、質問のバリエーションをたくさん持っておくことも大切です。
質問をたくさんすることで答えを推測するゲームのようなアイスブレイクは、その後たくさんの質問で議論を活性化させることにも役立ちます。2人一組で、1人5分×2ターン。10分程度でできる手軽さも魅力です。勝負にこだわるあまり、時間を忘れてしまわないように気をつけましょう。
おすすめ度:★★★★
③わたし、実は〇〇です!
意外な一面をオープンにするアイスブレイクです。人数が多ければグループ分けしてもよいですが、1人1分程度の持ち時間で全員一緒にできるならその方が望ましいです。
「実はわたし、〇〇です!」と打ち明けてどんどん次の人に回していきます。仕事では几帳面でも、実は面倒くさがり、など意外な一面を知ることで、話しやすくなる効果があります。
自己開示にハードルがあるような緊張感の高い場面では向かないので、同じメンバーでの会議が3回目、4回目、といったころに行うのがおすすめです。
おすすめ度:★★★
④良い聞き手と悪い聞き手
2人一組で、話し手・聞き手を分けて以下の手順で行います。
手順
- 1人2分ほど話し手は簡単なテーマを決めて話す
聞き手は始めの1分は目を合わせず、黙って微動だにせず無表情に聞きます。 - 1分経過したところで聞き手へ声掛けを行う
聞き手は、相づち、うなずき、目を合わせて聞く、メモを取るなど、聞き手としてできる最大限を精一杯行います。 - 交代して同じことを実施
- 最後に感想を話す
多くの皆さんが「最初の1分はつら過ぎて話が持たない」「心が折れそう」などの感想を持ち「後半1分は飛ぶように過ぎた」「もっと話したかった」と感じるようです。聞き手の態度一つで、話しやすさが大きく変わることをお互いに実感することができれば、そのあとの議論に生かすことができます。
特にオンラインだと1.5倍のリアクションをとらないと硬い会議になってしまうので、意識付けとしてもとても大切です。
おすすめ度:★★★★★
⑤【オンライン限定】モノでしりとり(またはモノで色鬼)
オンラインだからこそできる特別なアイスブレイクです。お家にあるものでしりとりをしたり、「赤いもの大集合!」といった色鬼をしたり、自宅にあるものを探して紹介します。お子さんのおもちゃや趣味のものなどが出てくることもあり、その方の意外な一面を知ることにもつながります。
おすすめ度:★★★
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【ちなみに】初対面同士の研修に役立つアイスブレイクゲームも
新入社員研修や初対面同士の研修などでは、お互い緊張して話が進まないことがあります。お互いのことを知らない場合、自分を知ってもらうアイスブレイクゲームを活用するとよいでしょう。
具体例を紹介します。
自己紹介ゲームでまず名前を知ってもらう!
自己紹介に関するアイスブレイクゲームで、まずはお互いの名前を知る機会を設けましょう。例えば、記憶力を試す「積み木式自己紹介ゲーム」を開催すれば、参加者の名前を覚えるよいきっかけになります。
4人の社員(A・B・C・D)が参加する例で、「積み木式自己紹介ゲーム」の流れを確認していきましょう。
手順
- Aが自分の名前を紹介する
(例:わたしはAです) - Aの隣のBが、Aを紹介してから自分の名前を紹介する
(例:わたしはAさんの隣のBです) - 同様に、CはAとBの名前を説明してから自分の名前を紹介する
(例:わたしはAさんの隣のBさんの隣のCです) - 最後のDが全員の名前を言えればゲーム終了
(例:わたしはAさんの隣のBさんの隣のCさんの隣のDです)
途中で忘れて言えない参加者がいたら、最初からやり直します。後ろの人の方が覚える量が多いため、一周できたら順番を変えて再度チャレンジしてもよいでしょう。
ゲームが終了することには、メンバーの名前を記憶しているはずです。
ペアの相手を周囲に説明する他己紹介も有効!
他己紹介とは、他人のことを自己紹介のように複数の人に紹介することです。ペアを組んだ相手のことを周囲に説明する「他己紹介ゲーム」を実施すれば、メンバーのことにより関心を持つようになります。
他己紹介ゲームの一般的な流れは、以下のとおりです。
手順
- 2人一組でペアをつくる
(お互い相手のことを知らない人同士で組むことがポイント) - 相手にヒアリングする
情報がなければ、他己紹介もできません。何かみんなに紹介できることはないか考えながら質問するため、ヒアリング力の向上も期待できるでしょう。 - あらかじめ設けた制限時間が来たら、1人ずつ順番に参加者全員へ向けて他己紹介をはじめる
初対面同士の研修でなかなか打ち解けられなそうな雰囲気であれば、「積み木式自己紹介」や「他己紹介ゲーム」などの実施を検討しましょう。
なお、セミナーや会議に限らず、初対面の人と会話を長く続かせるのは簡単ではありません。初対面の人と会話が続くコツを知りたい方は、以下の記事も参考にしてください。
【関連記事】
初対面の人と会話が続く5つのコツとは?盛り上がりやすい会話ネタも紹介!
【補足情報】アイスブレイクを実施する際に気をつけること
アイスブレイクを実施する上で、気をつけなければならない点もいくつかあります。ここで確認しておきましょう。
参加者がスムーズに発言しやすい環境を用意する
主催者側で、参加者がスムーズに発言しやすい環境を整えなければなりません。アイスブレイクを試みても参加者がなかなか積極的に話しにくい雰囲気であれば、主催者自ら最初の発言者になるとよいでしょう。
また、アイスブレイクにはさまざまな種類があるため、メンバーの構成や会議の目的にあったものを選ぶことが大切です。一部の人が盛り上がっても、他の人はハラスメントや不快感を覚える話題は避けましょう。
間延びしないように制限時間を設ける
アイスブレイクで間延びしないように、制限時間を設けることも重要です。アイスブレイクで場が盛り上がっても、その後の会議で議論が活発に行われなかったり、時間が足りなくなったりすると実施した意味がありません。
アイスブレイクを行う際は、短時間でメリハリをつけて次の会議にスムーズに移行するようにしましょう。
まとめ
いかがでしたか? どういった会議にしたいかによって、最適なアイスブレイクは変わっていきます。せっかくなら楽しく議論できるよう、冒頭にしっかり空気を温めておけると、短時間でも充実した議論をすることができますよ!
【プロフィール】
大畑 愼護
ワーク・ライフバランスコンサルタント
一般財団法人 生涯学習開発財団 認定コーチ
さまざまな課題を抱えるクライアントに対し、メンバーと同じ方向を向きながら丁寧に議論して、解決策を自ら考え出す力を身に付けてもらう手法に定評がある。解決策に向けた「答え」を提示するのではなく「問い」を提示することで、クライアント自身が”自走”できる組織へと変革させている。前職では長時間労働が引き起こす危険性に強い問題意識を抱き、個人の業務効率化はもとより、チーム内業務内容の改善や配分の見直し、メンバーのモチベーションコントロールなどの施策を積極的に展開して、残業時間を半減させた経験も持つ。3児の父でもあり、第三子誕生の際、1年間の育児休業を取得し家族5人で南国フィジーに“育休移住”をした経験を持つ。
https://work-life-b.co.jp/staffprofile/shingo_ohata
※本記事は有識者への取材に加え、編集部で再編集・記事更新を行っております。
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