- 楽観的とは?
- 楽観的であることのメリット
- 楽観的であることのデメリット
- 過剰な楽観主義は要注意
- 楽観的な思考を上手く仕事に取り入れるには?
- 楽観的になる方法は?
- ビジネスでは適度に楽観的であることが有効
ビジネスにおいて、その成功は単にスキルや知識の有無だけでなく、心の持ちようにも大きく左右されます。その中でも「楽観的」な思考は、仕事を進める上でどのような影響を与えるのでしょうか。
本記事では、楽観的という言葉の意味やメリット・デメリット、仕事に上手く取り入れる方法などについて、公認心理師の川島達史さんに伺い、分かりやすく解説します。
楽観的とは?
楽観的とは、未来の出来事などについて「悪いことよりも良いことが起きるだろう」と積極的に良い方向に考える姿勢のことです。楽観的な人は、ネガティブな物事があったとしても懸念や不安をあまり感じず、将来を肯定的に捉える傾向にあります。
楽観的な思考はビジネスで必要?
楽観的に考えることは、仕事を進める上で非常に有効です。例えば、悲観的に考える人は、リスクや失敗ばかりイメージして行動を起こせないため、経験不足になりやすいです。一方で、楽観的に考える人はメリットや成功をイメージできるので、行動を起こしやすく、業務に前向きに取り組めます。その結果、スキルアップや経験の蓄積にもつながりやすいのです。
さらに、業務に対しても楽しんで取り組むことができるので、メンタルヘルスが良好になりやすかったり、充実感を得やすかったりする傾向もあります。
また、ビジネスでは、例えばプレゼンテーションを行う際、楽観的な人は「緊張するかもしれないけれど、なんとかなる」という思いで、緊張しつつも人前に立つ経験をします。悲観的でも経験は積めますが、過度にプレッシャーを感じたり、ただこなすだけになってしまったりしがちです。
楽観的であることのメリット
楽観的であることのメリットには、どのようなものが挙げられるのでしょうか。具体的に解説します。
周囲から信頼を得やすくなる
楽観的であると、前向きで肯定的な発言が多くなり、周囲を元気づけることができます。そのため、敵を作りにくく、ムードメーカーとなって人を惹きつけることが可能です。その結果、同僚や部下などから、「この人について行ったら素敵な未来になりそう」と信頼を得やすくなるのです。
リーダーシップが高まる
信頼を得やすいため、リーダーに選ばれることが多い傾向にあります。楽観的なリーダーは、困難なプロジェクトや課題に直面した際も、チームを鼓舞できます。さらにチームのモチベーションを高め、コミュニケーションを活性化させることも可能です。このような経験を多く積むにつれて、自身のリーダーシップがより強化されていきます。
なお、楽観的なリーダーには注意すべき部分もあります。それについては、デメリットの項目で解説します。
創造力が増す
楽観的だと創造的な発想をしやすいものです。人間は、プラスの感情を持っている時にはプラスの発想が得られます。心理学では「気分一致効果」とも言いますが、楽観的であると脳がポジティブな状態になり、前向きで豊かな発想になりやすいです。
そのため、新たな企画を立案するときや今起こっている課題の解決策を議論する場面において、柔軟な発想ができるでしょう。
失敗を恐れて足踏みすることが少ない
楽観的であれば、目の前のタスクや問題に対して積極的に取り組めます。多少難易度が高いタスクでも「作業に取り掛かればなんとかなる」と考え、失敗を恐れずに行動を起こせるのです。この前向きな姿勢は、困難な仕事や複雑なプロジェクトに取り組む意欲も高め、結果として、タスクや問題に対する先延ばしや失敗を恐れて行動できず、足踏みするようなことが少なくなります。
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楽観的であることのデメリット
一方で、楽観的であることにはデメリットもあります。詳しく解説します。
反省が苦手
楽観的なタイプは失敗やミスに対してあまり深刻に捉えず、反省しない傾向にあります。例えば、なんでも前向きに捉えることでリスクを考慮せず、判断を誤ってしまったとしても「たまたまだ」「運が悪かった」と考えがちなのです。
失敗の原因を深く掘り下げずに「次は上手くいく」と楽観視してしまうと、失敗から学ぶ機会を逃し、同じ過ちを繰り返す原因となってしまうことがあります。
共感性が低い
楽観的な人は、その前向きな姿勢に人が集まったり、信頼されやすかったりすることが多いです。ただ、自分の視点から物事を考えがちで、常にポジティブな側面に焦点を当ててしまいます。
ですので、周囲のネガティブな感情や困難な状態にある悲観的な人を理解する能力が浅く、共感性が低いといった傾向があります。特に楽観的すぎる人がプロジェクトリーダーなどの立場にいる場合は、このデメリットが顕著に現れてしまう懸念があるでしょう。
指導が不得意
楽観的だと、基本的に「何とかなる」と考える傾向にあるため、失敗やミスを軽視しがちな上、他人の課題や問題点も軽く捉えてしまいます。それゆえ、例えば、楽観的な上司が部下に対して、具体的な解決策や詳細な指導をできないことなどが起こりがちです。
その結果、部下が同じミスをしてしまったり、自分の評価も得られなかったりするおそれがあるのです。
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過剰な楽観主義は要注意
楽観的であることのメリットは多くありますが、その一方で、楽観的すぎるとデメリットになってしまうため、注意が必要です。
過度に楽観的だと前向きな未来ばかりに囚われてしまい、現実的なリスクへの対策が疎かになります。例えば、プロジェクトが途中で破綻してしまったり、大きな失敗につながってしまったりと、冷静に検討できていれば避けられたはずの問題が取り返しのつかない事態に発展してしまうことにもつながります。
ビジネスでは損得をしっかり見積もらなければならない場面も多いので、常に楽観的でいすぎることは気をつけるべきでしょう。
楽観的な思考を上手く仕事に取り入れるには?
仕事において、他人と関わりながら企画をするなどの発想が必要なケースでは、存分に楽観的な思考を取り入れましょう。
人と一緒に新たな企画を出していくときは、ネガティブだと良い発想が出ません。楽観的であれば、豊かな発想や積極性などの前向きな感情が刺激され、実りあるアイデア出しや議論ができるでしょう。
また、前述したように、楽観さは適度である必要があります。ただし、それは通常より少し悲観的であれば良いというわけではありません。ビジネスをはじめ、物事を決定するときは、楽観的であったり悲観的であったりするのはノイズとなってしまい、正確な意思決定の邪魔になることがあります。
基本的には楽観的であったほうが、物事を進めやすい傾向にありますが、重要な局面では楽観的・悲観的といった感情論をいったん脇に置いておいて、判断するようにしましょう。その際には、数値データを活用したり、より論理的に思考したりすることが大切です。
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楽観的になる方法は?
自分が悲観的すぎることに悩んでいる人や、楽観的になりたい人は、一体どうすれば適度に楽観的になれるのでしょうか。具体的に解説します。
健康的な状態を維持する
楽観的になりたいのであれば、心身ともに健康的になることを心がけましょう。食事をきちんととったり、日光に当たったりと、まずは体と心の緊張をほぐします。その上で、人に相談を聞いてもらう、笑い話をするなどをしてストレスを減らすことが有効です。
普段から心も体も健康的でよく笑う状態であれば、プラスの感情が生まれやすくなります。それが習慣になると、楽観的な思考を得やすくなるのです。
自分が安心できる人間関係を大事にする
令和4年の内閣府の調査によると、相談できる人や困ったときに助けてくれる人がいる場の数と自己認識の関係において、そのような場が多ければ多いほど、将来への希望が高いという結果が出ています。自分が安心できる場があることやより良い人間関係は、プラスにはたらき、楽観的になりやすいと言えます。
思考中断法を取り入れる
前述した方法を心がけても悲観的な思考が止まらない場合は、思考中断法を取り入れてみましょう。頬を軽く叩いてみたり、「10分経ったら切り替える!」と時間を定めて別の作業に取り組んでみたりするなど、強制的に行動を切り替えて、悲観的な思考を止めるようにすることがおすすめです。
ビジネスでは適度に楽観的であることが有効
楽観的であることは、周囲から信頼を得やすかったり、リーダーシップが高まったりと、仕事を進めやすいメリットがあります。しかし、楽観的すぎてしまうと、きちんと対処していれば避けられた問題の発生につながってしまうケースもあるのです。そのため、ビジネスにおいては、適度に楽観的であると非常に有効と言えるでしょう。
監修:ダイレクトコミュニケーション 代表取締役 川島達史
目白大学大学院心理学研究科を修了し、現在ではコミュニケーション講座の講師として、心理学や人間関係に関するワークを行う。専門は成人のソーシャルスキルが孤独感・対人不安に与える影響。普段は「コミュニケーション講座」の主催や、YouTubeチャンネル「ダイコミュ大学」による情報発信を行っている。
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